日常のちょっとした隙間におこりうる短絡的な殺人事件からすべてが始まった

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NO.1

誰かの着メロがなった。(E.L.Tの”fragile”だったかな)と思ってる間にすぐ彼女は携帯に出た。
彼女とわかったのは、僕の斜め前に座っていて美人だったので何となく視野に入っていた。
さりげなく観察してみると、今時珍しく髪は真っ黒でストレートのロングヘアー、前髪は眉のあたりで、まっすぐ切り揃えられ、時折窓の外を眺める目はいわゆる一重なのだが切れ長でくっきりとした印象である。面長の整った顔立ちは、イタリアやフランスでファッションショーモデルとして好まれそうに思う。

神秘的でいかにも東洋的で・・・。しかしこの彼女は身長がたりないだろう。

日本人独特で小柄であった。
 

 
 
ここ京都四条河原町のルネッサンスビルの大きなデジタル温度計が今ちょうど38と表示された。
河原町通り一帯が地面から立ち上る陽炎によって異空間を見ているように歪に揺れて見えた。
こんな日の夕方6時、1人の小柄な女性がルネッサンスビル向かいのデパートメントハローズ京都の正面入口から黒いロングヘアーをなびかせ急いで中に入っていった。
 
それが、彼女の最期の姿であった。

 

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