第3章
さらに数日がたち、ついに街が見えた。僕は地図を確認してみた。
「えっと………。王国がここだから、あった。"ムスタ"………ここが鹿砦(ロクサイ)都市ムスタか」
鹿砦都市ムスタ……この街は、小さな街ほどの大きさにもかかわらず、どの国とも協力関係にならない完全に独立した街となっている。
近づいてみると、町全体が大きな鉄の塊のようでそれに象徴である6つの煙突が刺さっていた。
街の中に入ると、さらに驚いた。建物だけでなく家具や日用品にいたるまで金属でできており、まるで街そのものが金属だった。
「なんか王国とまるで違う………こんな街もあるんだ。」
「あっ」
周りに気を取られていたようで、何かにぶつかってこけてしまった。顔を上げてみるとそれは人だった。
「すいません。周りを見ていて気付きませんでした。本当にごめんなさい」
「………」
ぶつかった人は何も言わずにそのまま歩いていった。まるでぶつかった事にさえ気付いていないみたいだ。
「何だったんだろう。あの人」
尻餅をついたまま、ボーっとその人が去っていくのを見ていると別のところから声がした。
「大丈夫かい?」
「え、ええ。大丈夫ですよ。」
「それならよかった。でも、あんたこの街のもんじゃないだろう?」
「東にある王国から来たんですよ。」
「そうかい。でもここは危ない。この先に酒場があるから寄っていかない?」
「ちょうど喉が乾いていたんですよ。水も買いたいからお願いします」
「ついてきな」
男はそう言うとささっと歩いていってしまった。
「ちょっと待ってくださいよ」
男の後を必死になって追いかけたが、とうとう見えなくなった。
「あら?どこ行ったんだろう」
突然、後ろからさっきの男の声がした。
「こっちだ」
「なんだ。そっちにいたんですか………。えっ…何ですか?それ」
男はこっちに細長い筒のような物を向けていた。
「悪いな……」
……バンッ……
甲高い音とともに、胸に痛みを感じた。そして僕の視界は急に暗くなっていった。