禁忌の恋4

 

ダナークは取り合えず自分の部屋に戻って一人くつろいでいた。いや、くつろぐというには少し語弊がある。くつろぎに部屋に戻ったわけではない、朝食時から妙な視線がダナークの背中にあたるのだ。振り向いて確かめたかったが、あまりに露骨なので罠かもしれないと思い確認できなかったのだ。

そしてその視線から逃げるようにたった今部屋に戻ってきたのだが・・・・・。

「なのにどうして、扉のところから人の視線を感じるんだか・・・・。」

と、ため息混じりに小さくつぶやく、せっかく部屋に戻ってもこれではいけない、意味のない行動に過ぎなかったということだ。ダナークは仕方なく、足音を忍ばせて扉の前に近ずく。ここで堂々とへたくそに聞き耳を立てているやつに少し興味がわいてきた。

ドアの前に立つとダナークはひとおもいに扉を開け放った。

「うわぁっっっ!!」

「・・・・・・・・。なんだ君か、さっきからずっと僕を見ていたのは。僕に何かようかい?」

いきなり扉が開き、転がり込んできた闖入者を見て、ダナークは半ば脱力した、何が罠だ、神経を使いすぎだな。と、仕方なく自分を元気つけた。

何せ。ダナークの目の前にいるのはロイドなのだから。

「ドアを開けるときは開けるって言ってよね。まったく礼儀知らずな奴なんだから・・・・。」

人の後ろをつけ、人の部屋の前で聞き耳たててるような奴に、礼儀云々といわれたくないが、と思い苦笑する。ロイドは、その顔が気に入らなかったらしくたいして怖くもない目つきでダナークを見上げる。

「なんだよその顔、言いたいことあるならはっきり言えよ!」

「・・・・・・・・人のあとを散々付回し、なおかつ部屋の前で聞き耳立てつつ、のぞき穴からのぞいてるようなあなたに、礼儀についてとやかくおっしゃるのですか?と、言いたい顔ですよ、さあ、誇り高きガーテンタ家の長男がそのような行為に及んだわけをお聞かせください、」

と、半強制的にダナークはロイドを部屋に連れ込んで、ドアを閉める。きて早々騒ぎを起こしたくはなかった。大人びたことを言っているが、ロイドはまだ6歳なのだ、今のセリフでそれなりに起こったにちがいない、廊下で騒がれるとあとでいろいろと大変だろうし・・・・。とめんどくさい事が嫌いなダナークはロイドを部屋に入れたのだ。

「なぁ。ダナーク、あんた、フェリシア姉ちゃんと婚約するのか?」

「はぁ??」

何を言い出すんだこいつは、といいたげな顔でロイドを見返す。いや、実際驚いているのだ、あたらずとも遠からず、ダナークの目的はフェリシアとフォーランドとの婚約を阻止することにあるのだから。

しかしよくよく考えてみると、それなりの内部情報を知ってる人にとってそれは当然の考えなのかもしれない。イグルはフェリシアとフォーランドの婚約に反対している、そこにいきなり若い貴族の男がきたのだ、そしてフェリシアを口説き始めたのだから、何かあると、幼いロイドも感じたのだろう。

「えっ、違うのか?」

明らかに落胆したようなロイドに、こいつは何か知っているかも、と思い取り合えず誘導尋問を仕掛けてみる、

「フェリシア様には、フォーランドとかいう奴が、婚約してると聞きましたが・・・・。違ったんですか?」

「うん、そうだけど、俺も父さんもあいつのこと嫌ってるんだよ。まぁ父さんは単なる親ばかだから、姉ちゃんを誰とも結婚させる気なんてないんだけどさ。でも母さんと姉ちゃんは乗り気みたいだし。あいつなんて、ただの金目当てに決まってるさ!2人ともあいつにだまされてるんだ。」

「騙されてる?」

聞き返すと、ロイドはこくこくとうなずく。が、不意にハッとしたように顔をあげてダナークをにらむ。

「あんた、俺をはめようとしただろ、俺は騙されないぞ。あんたが何者か話すまで、俺が知ってること話さないからな。ダナーク、あんた何者なんだ?俺が知ってる奴によく似てる・・・・・・・・・そんなはずないか、いや、でも・・・。」

一人思案に沈むロイドを、ダナークはひどく冷たい瞳で見つめていた。こいつは何か知っている、もしかしたら、こいつが言ってるよく似た奴は、祖母の肖像画のことじゃないのか?僕のことを知っているなら、僕の仕事の邪魔になる。殺すべきか?

いろいろ考えたが、やはり殺すのは気が引ける、兄弟なのだ、しかも自分とよく似ている弟なのだ。

「ダナーク、俺のばあちゃんの肖像画にそっくりだ。」

きっとロイドはそう言いたかったんだと思う。が、ダナークの名前を呼んだところでダナークはすばやく動いた、ロイドの口をふさぎ、後ろから羽交い絞めにし、左手に毒薬の塗った針を握り外に漏れない声でささやいた。

「それ以上は言わないほうがお前のためだぞ、僕はこれでも薬に関しては専門なんだ、死にたくなければ黙っているんだな。わかったか?手を離すでも逃げ出すなよ、妙な行動もとるな、そして騒ぐなそこに座ったままだ。今言ったことを守らないと容赦なくこの針をさすぞ。」

ダナークはゆっくりとロイドから離れた。彼は少し驚いていたが、やがて勢いよく話し始めた。

「ダナーク、フェリシア姉ちゃんを助けてよ、医者なんだろ、姉ちゃん病気で長く生きられないんだ!!」

ロイドの一言で、ダナークはひとつ確信した。これは単なるお家騒動ではない、ということだ。

 


話がぜんぜん進まん!

一体どうしたことだ、と、大変迷惑おかけします。

ホントどこまで続くんだろうこれ・・・・・。

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