つらつら短歌 その4
・テロからの一年思う9月11日平和を祈り「ご坊さん」に集う
・あちこちに低く飛びかう赤とんぼ車いすの吾を高みへ誘う
・曼珠沙華ほむらだち咲く川土手の赤き繚乱に亡き祖母想う
・短歌集を難病の友が送り来ぬハンドルネームの「さくら」色の表紙
・今日寒露なる雨の日の身にしみて夜の献立を湯豆腐に決む
・甘味噌の味見をと吾にヘルパーはフウフウをして蒟蒻呉れぬ
・ひとつ葉を水に浮かべ持ち呉れぬあらめずらしや新芽の吹きおり
・美しき歌の断片が閃くもメモを取り得ず筋ジスの吾
・引越しの日取りも決まり友言へり終の棲家を「聖十字」に決むと
・ものづくりホームページの作成も今の心をそのまま映す
・野の花を写真に納め友は今日ホームページに送りてくれる
・山葡萄、むらさき、あけび、またあざみこの秋装うわが好きな色
・秋冷の空に朝顔一輪の小さけれども筒の花立つ
・とりどりの花楽しませしランタナもいま青実付け剪定を待つ
・オリーブの翻(かえ)る葉裏が銀に輝り遠くひかれり白鰯雲
・街路樹は道の左右でその紅葉赤、黄に緑いろの濃淡
・10キロのワンデイウォークにチャレンジと車いすの吾砂利道を越ゆ
・寄り添えば心の隙間をうずめたる心地して夫に朝の言葉言う
・竹林の一角に朝の光り受けほろほろ開く白き茶の花
・「炭手前」願いのままにその手順友はこなして吾を慰む
・朝日受け山頂はいま落葉の木々も交じりて雪を待ちをる
・終の棲家と移りしに友が齟齬きたし悔いいるという胸つまるなり
・夢追いしあとの寂しさあまりにも独りよがりの夢のまた夢
・風唸り霙降り降る方形のけむる視界を鳥群れて飛ぶ
・体験を学習発表する子らの一人ひとりが瞬時輝く
・待つ春は来ぬかもしれぬが吾はまだ大声あげることだけはできる
・筋ジスの若き友逝くイブその日選んだように誕生日なりし
・煤払い、玄関磨き布団干し夫の働きに感謝の尽きず
・身を委ね湯舟に浸かりゆく年を送り来る歳をわれは迎える
・筆文字の「春」に願いを込めし貴女伝わりてくる思い受けとむ
・陽射し消え視界は忽ち雪の獅子白く乱舞し青空暗む
・一夜明け庭はすっかり銀世界その真白さに代わる色無し
・長き餅並べたように屋根の雪朝の日を浴び忽ち細る
・新雪の水滴集め蕾はや息づき香る白沈丁花
・「さがります」宅配トラックの繰り返すを我が儘と聞く雪降る朝は
・「微笑みは最高の化粧」とお年賀を下されし叔父の言葉忘れず
・ふっとわれ人恋しくて鏡台に向かいて今朝のルージュひいてる
・ルージュひき独りテンションあげながらパソコンにうたを打ち込みていく
・点字ゆえ漢字知らずと言葉添えメール届けど変換完璧
・虫歯には自然治癒なしと不安なりしわれ診てくれき歯科医来たりて
・人はみな線香花火パッパッと最後は火の玉仕事を遂げる
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