◆ 犬山(狗山)・明治(明示)村オフレポ(森博嗣S&Mシリーズ風) ◆

++ 日付・場所 ++

2002年11月2日(土)・3日(日)
犬山温泉・白帝の湯
明治村観光

++ 参加者 ++

雨男
あめじ
ウイング(旦那)
ウイング(妻)
つばさちゃん(ウイングさん夫妻の子)
かお
桐生未月(女王様)
工事屋(こーちゃん)
鈴木(仮)(課長)
そらたろう
西村要
まりかちゃ(大御所様)
れみすけ

まます(一日目のみ)
みて太(一日目のみ)

+ 初顔合わせ +
(化粧は完璧だわ。荷物を積めて・・・・・・・。漫画の本はどうしよう・・・・・・・)

そんな事を考えながら、旅行の準備を進めていく未月。彼女にとって化粧とは、自分の大人しい素顔を隠し、女王として振舞うための儀式のようなものである。それゆえ、疎かには出来ない。ほんの少しの不完全な部分から、自分の素顔がポロリと出るのが怖いのだ。

彼女は結局、漫画本を持っていくのは諦めた。
荷物が多くなるのはイヤだったし、持っていった本を誰も貰ってくれないと困るからだ。掲示板に書き込んで、誰かが欲しいと言ったら次のオフ会に持っていこう。そう決めた。

車のトランクに荷物を詰める。車を買って2年半、トランクに死体以外のものは乗せた事がない…。
微かに唇に笑顔を浮かべ、彼女は隅の方にそっと荷物を乗せた。

木曾川の堤防を、真っ赤な軽自動車が走る。
雨上がりの道路は湿気を含み、少し空気の抜けかけたタイヤを少し滑らせた。
未月は小さく舌を打つ。

今日は那古野から車で30分ほど行った先にある狗山(いぬやま)温泉と明示村(めいじむら)で、未月がネットで知り合った本好きの人たちによるオフ会が行われる。全国各地からこの日のために、総勢15人もの人数が集まるのだ。現在、西之園萌絵は海外旅行中だった。未月はわざと彼女がいない日にオフ会をセッティングをした。彼女に黙って行こうというハラである。参加者全員に口止めもした。いくら友達とはいえ、さすがに毎日のようにお嬢様である萌絵と一緒にいるのは息が詰まる。

途中、信号待ちで停まっているとき、名古野集合の幹事である、まますから電話が入った。
「今、みんな到着したんだけど、どこにいればいい?」まますが聞く。
「イトーヨーカドの方にいて下さい」
そう言い置いて、信号が青に変わってしまったので仕方なく通話を切ってしばし車を走らせる。この先、堤防を少し行くと車寄せがある事を思い出した未月は、そこに車を停め、もう一度まますに電話をした。ウイング家族が到着しているのを伝えておいたほうがいい、そう思ったのである。
「ウイングさんはもう着いているの。本屋へ行くと言っていたわ」未月は言った。
そしてまますに本屋の位置を伝える。最初は伝わらなかったようだが、何度も説明している内に、とりあえず行ってみるとの返事が帰ってきた。後で思えば、この時ウイング親子はイトーヨーカド内の本屋にいたそうだから、イトーヨーカド内に本屋があると、まますに言えば良かったのである。本屋を探すためにまますに待ち合わせ場所近辺を歩き回らせてしまった事を後で後悔する事になる。

30分後。
彼女は駐車場にいた。この駐車場は無料で停められる。さすが田舎だ。未月の実家がある鏡原市は、田舎であるにもかかわらず、駐車場に停めると一日600円かかる。それを考えると狗山市の駐車場は大変便利だと彼女は思った。

未月は待ち合わせ場所に慌てて向かった。スカートには、左足の太ももまで深いスリットが入っており、風が吹くたびひらひらはためく。そして男たち、いや、女性ですらも振り向かせる。待ち合わせ場所にまます等電車組が集まっているのが見えた。彼女はそこへ向かおうとした。

その瞬間、彼女の携帯電話がけたたましく鳴った。

「はぁい♪女王ー?」聞き慣れた声が飛び込んで来た。
電話は関西組からだった。電話の主はれみすけ。小柄で未月好みの可愛い女性だ。結婚さえしていなければ確実に襲っていただろう…。未月は男でも女でも、自分の琴線に触れた者は皆好きになってしまう困った性癖を持っていた。男にいたっては、気に入った人物は全て「しもべ」にしようとする。それゆえ、男性陣は彼女に近づかない。誰だってしもべにはなりたくないだろう。かく言う筆者もそうだ。

関西組はすでに狗山へ到着しているらしい。しかし話しを聞くとどうやら反対側にいるようである。未月は電話で場所の説明を試みる。しかし試みるまでもなく、関西組まりかちゃの運転する車のナビのおかげで未月がいる場所まで無事に辿りついた。
「あそこの駐車場ならお金がかからないから」建物を指差して未月は言った。
これで、今日の未月の道案内の仕事は終わった。

関西組が駐車場に車を停めている間、やっと未月は電車組と合流する事が出来た。電車組は、先ほどから名前の出ているまます、そして後はすべて初参加の、あめじ・みて太・鈴木(仮)の4人である。初めて会ったにもかかわらず、まますはすでに全員と仲良くなっているようだ。さすがである。まますの服装は、「本好き連」でも言っていたように、学校の女教師風で、スーツが良く似合っていた。そして初参加のあめじ。最近まで未月は彼女の事を男性だと思っていた。そんな自分の考えが恥ずかしく思えるほどに、あめじは可愛らしい女性だった。そしてみて太。薔薇の花を待ち合わせに持っていくと言っていた彼。未月は彼に真っ赤な薔薇の花を見せてもらった。そう、「薔薇」と赤いマジックで書いた札を。中々おちゃめな人のようだった。そして鈴木(仮)。一見して年齢が分からない人であった。

未月は病的なまでに細い男性が大好きである。そして関西組の一人、れみすけは少し柔らかそうなぷにょっとした体型が好きだ。鈴木(仮)は、どちらともつかぬ体型をしている。しかしこの時点で彼が未月のしもべになるのは火を見るより明らかだったのである。みて太は隙のないオーラを発散していたのに対し、鈴木(仮)には明らかに隙が見られた。そこを女王である未月は見逃さなかったのである。

+ しばしお茶会 +
遅れる事が確実な関東組を置いて、未月と、関西組、そして電車組は一軒の喫茶店へ入る。
未月は前に、参加者であるウイングの子、つばさのバースディ・ケーキの予約を頼まれていた。ケーキを予約したのがその店だったのである。ケーキは6号。15人で食べるには少なすぎる量だ。
(一番大きいケーキにすれば良かった・・・・・・)
何度も未月は後悔した。

あまり広くない店内。
この時点での人数は11人。店内の席の半分以上が本好きの人々で埋まった。
未月は、YOU、鈴木(仮)、れみすけ、まりかちゃと同じ席に座る。このテーブルは言ってみればヘビィ・スモーカの集まりだ。YOUと未月以外は煙草を吸う。
「コーヒー」まりかちゃが頼む。
れみすけもコーヒーだ。やはり煙草を吸う人間にはコーヒーが良く似合う。
「これ、使えますか?」
未月は、ケーキの予約をした際に、コーヒーチケットを貰っていた。このチケットが紅茶にも使えるのかを確認する。
「使えますよ」ウエイトレスが答えた。
「じゃあ・・・・・・ミルクティを下さい」

注文を終えた後、さっそく未月は行動を開始した。
「鈴木(仮)さん。電話番号教えて」名前を登録し、後は電話番号だけの状態にして、未月は微笑んだ。
「ちょっと待ってください。自分の番号覚えてないんです」鈴木(仮)は携帯電話を取り出す。
そして鈴木(仮)は、自分の携帯電話の番号表示の画面を出そうとする。しかしなかなか出て来ない。
未月は痺れをきらした。
「早くしなさいよ!!」堪忍袋の緒が切れたらしい未月は怒った。
それを見て笑う、まりかちゃとれみすけ。
自分の携帯番号を、慌てて画面に出しながら、
(女王様ってこえぇ〜)と、鈴木(仮)は密かに心の中で呟いたのだった。

そんな時、向こうのテーブルの方で声が上がった。
ちょうどみて太とあめじに携帯番号を聞きに行った未月も、それを見て感嘆のため息を漏らした。
「わぁ、すごい、みて太さん。ありがとう」声の主はウイング妻。
ウイング夫妻の子、つばさが手に木で出来た人形を持っている。顔には満面の笑顔が溢れていた。
「見て見て、名前も入ってるわ」それはみて太手作りの人形だった。
人形の腹に当たる部分につばさの名前が入っている。
「つばさちゃんの誕生日プレゼントです」つばさの嬉しそうな顔を見て、みて太は照れたように言った。

未月とあめじは待っていた。
ケーキが出来あがるのを。
会計を済ませて、頼んでいたケーキを貰い旅館に向かうはずだった未月。
「今日、ケーキを予約してたんですけど・・・・・・」そう会計で未月は言った。
店員さんは予約の紙を持って、厨房の方へ向かった。しかし、すぐ困ったような顔をして戻ってきた。
「申し訳ありません。手違いがあったようで、未だケーキが出来ておりません。後30分お待ち下さい」
「・・・・分かりました」
ケーキが出来あがるまで、未月と、貧乏籤を引いたあめじが残る事になり、他のメンバは先に旅館へ行く事になった。仕方なく二人は店内の本屋へと足を運んだ。
「どうしよう、買っちゃおうかな」近頃大人気のハリー・ポッターの新刊を見ながらあめじが言う。どうやら地元には数が少なく、手に入りにくいらしい。
「買っちゃえ買っちゃえ」未月は自分では買わないが、無責任に人には本を薦める。
結局あめじは本を買った。
本のお薦めや、あめじの好きな作風などを聞いているうちに、あっという間に30分が経過した。
「そろそろ出来ているかなぁ?」未月は不安げに言う。
「行ってみましょう」
ケーキはちゃんと出来ていた。ケーキを受け取る。やっと旅館へ出発、である。
駐車場で、未月の運転する車が一方通行を逆走したのをここに明記しておこう。

+ 本の交換会 +
前にしっかりと下見をしていたおかげで、迷わずに旅館へ到着した。二人。
(やっぱり汚い建物だわ・・・・・・・・)未月は建物を見上げてそう思った。
ロビーに入ると、いかにもと思われる初老の紳士が私達を迎えてくれた。
「あの・・・・・、西尾で予約していた者ですけど・・・」未月は初老の紳士に言う。
「お待ちしておりました」彼はそう言って最高の笑顔を浮かべた。
そして私達はカギを渡される。
「後でみえた方に、このカギをお渡しするよう申し付けられておりましたので・・・・・・」
私達はそのカギを持って、部屋がある5階へ向かった。

先ほど外観を見て思った通り、建てられてからずいぶん年数が経っているであろう建物は、エレベータも骨董品だった。階数表示は遅いし、登るスピードもカタツムリ並だ。それも、扉が開く前に、ガタンと揺れる。
(このまま落ちるんじゃないでしょうね・・・・)高いところが苦手な未月は内心冷や冷やしていた。
5階に着き、先ほど渡された部屋に向かう。カギは今時プッシュ式で真中にボタンが付いていて、それを押すとカギが閉まるというまさに骨董品だ。それもその部屋は、カギをかけないと自然にドアが開いてしまう。
「萌絵が大喜びしそうなカギね・・・・・・・・」
部屋のドアの前で不安そうな表情の二人であった。
502号室の中に入る。しかし誰もいなかった。皆はどうやら別の部屋(下に聞いたら505号室にも部屋が取ってあるらしい)にいるようだ。先ほどから廊下まで聞こえる声はどうやら505号室のものらしい。私達二人は502号室のカギを閉め、荷物を持ったままで505号室に移動した。

「すごい・・・・・・・」
部屋に入った私達を迎えたのは、大量の本の山だった。
みんなが持ち寄って本の交換会が行われるのだ。
荷物を起き、本の山に見惚れていると、ウイング親の愛娘、つばさがポッキーを持ってきて私達二人に手渡してくれた。何と可愛いのだろう。前に会ったのはいつの事だったか・・・・・・未月は記憶を辿るも、元来物忘れの激しい彼女には思い出せなかった。しかしその時よりも各段に可愛さに磨きがかかっている・・・・・・・・。子供は可愛い。とりわけ人の子は。

未月は先ほど、5階に上がってくる際、重い荷物は後であげるつもりで車の中に置いたままにしておいた。慌てて下に取りに戻る。ロビーにいた初老の紳士は相変わらずの笑顔で私の行動を見守っていた(見張られていた!?)。重い荷物、そう。本である。しかしマンガ本を持って来なかったので、実際の本の量は少ない。重いといってもほんの少しの重量だ。きっと帰る頃にはこれが何倍もの重さになっているに違いない・・・・・・。未月は心底『本好きとは恐ろしいものだ』と思った。

持ってきた本を並べる。今回は2冊ずつ持っている古処誠二も一冊放出する事にした。ほかにも某ミステリ好きの集まりで貰った本や、古本屋で買った本など。まりかちゃが古処誠二を目ざとく見つけて、自分のものとばかりに名前を書いた付箋を貼ったのはご愛嬌だ。とにかく、まだ到着していない関東組が来る前に、未月の放出本の行方がほぼ決まったのである。

関東組から今いる場所の連絡がまりかちゃの携帯に入った。
「違う、違う!」まりかちゃが叫ぶ。
どうも関東組はさっきまで私達がいたイトーヨカドーの前にいるらしい。
「先に旅館に行くから現地集合って言ったじゃない」声を荒げるまりかちゃ。まりかちゃがこんな話し方をする相手は一人しかいない。電話の主が聞いている私達にも知れた。雨男だ。

未月は窓に近づく。そろそろ関東組の乗った車が狗山に到着する頃である。窓もいつ掃除をしたのか分からないほどに汚れていた。部屋もくすんだ印象で、やはり骨董品のようだ。5階から下を見ていると、見慣れた車が旅館の駐車場に入って来るのが見える。『青い鳥(ブルーバード)』だ。かなめの愛車、アリス号である。窓近くにいた者は皆、5階の窓から大きく手を振った。

これで全員が揃った。部屋は本を中心に、本を囲むように座っている状態であった。傍から見ると変な光景である。関西と関東のお笑い系幹事、れみすけとkaoが抱き合っているのを余所に、未月の目はもう本の山しか見ていなかった。別の机の上ではまますが持って来たしゃちほシュークリームの公開や、れみすけがつばさに絵本をプレゼントするなどのイベントが行われていたようだが、やはり未月の眼は本の山しか見ていなかったのである。そんな時、ちょっとしたハプニングが起こった。
ロリコン雨男が、愛するつばさの為に持ってきたクマのプーさんのぬいぐるみを誕生日プレゼントとして渡したのだが、つばさは喜ぶと思いきや、
「はい」
何と鈴木(仮)に手渡したではないか!笑いを誘う一幕であった。

そしていよいよ本の交換会の開始である。
まず最初に、放出先が決まっている本が各人に手渡される。未月はみて太から都築道夫先生の著作や、まりかちゃから「紅はこべ」などをいただく。そして余った本に関しては欲しい人の早い者勝ちでいただく事になった。この時点で未月が持ってきた本の中で行方が決まっていなかった本を強引にまりかちゃにプッシュ。そして全ての本の放出に成功した。

ここで余談だが、未月がどうしても話したいと言っているので書き手をバトンタッチをさせてもらう。

まりかちゃんがもらってくれた岩崎正吾は中々良いよー。元々は鮎川哲也賞の人なんだけどね、新人なんだけど歳はすごいいっちゃってるのね(笑)。だから新人さんっていうよりも、書き方はすでにベテラン。人気があまり無い作家さんなんだけど読んで損は無いと思う。「刻Y卵」はねぇ…幻想ミステリかな?作者はどうも最近肝臓癌か何かで亡くなったらしい。デビュー作が遺作って何か寂しいよね。鈴木(仮)さんに押し付けたせいりょーいんはまぁ・・・・・シリーズのではないから少しは読めると思う。ごめんね、引き取ってもらっちゃって。ああ、清々した(<おい!)。以上、女王様でした。

さて、未月の独り言も終わったようだし次へ進もう。
交換会が終わった後は部屋分けである。男性陣は一つの部屋、ウイング親子も一室。そして女性は二手に分かれる事になった。早寝と遅寝に分けるのである。未月はもちろん早寝組だった。次の日の貴婦人変身の為に、疲れを取っておき、美しく写ろうとするハラである。早寝組は未月、そらたろう、あめじ、YOUに決まり、502号室へ移動となった。502号室は、汚いながらも窓からは狗山城が真正面に見えるロケーション。部屋も広く、部屋の中にシャワーやトイレも付いている。ここで付記しておきたいのは、男性部屋に指定された503号室はトイレが部屋に無く、黄色い水が出てきたらしい。部屋割りは成功と言えよう。早寝の4人は荷物を置き、お金を金庫に仕舞い、お風呂へ行く事にした。

待ちに待った温泉、である。アルカリ単純硫黄泉。けっきょく女性陣全員が同じ時間に温泉に入りに来た。温泉は6階にあり、他に誰も入っていなく、未月たちの貸し切り状態であった。
「わぁ、気持ちが良い」
「ぷよぷよしてる♪」
「わぁ、ここも良いわ」
「きゃあん♪えっちぃ」
などの会話が飛び交う。
残念ながら筆者は湯気で何も見えなかった。

温泉にも入り、次は宴会の時間である。
「お風呂入ると化粧落とさないといけない。どうしよう」
「お風呂から出たらまたし直すのよ」
「ええー面倒」
「写真撮るんだよ!?」
お風呂の前にそう言っていたにもかかわらず、お風呂に入った後の未月達は面倒臭がって、けっきょく化粧をしなかった。

+ 宴会にて +
宴会の席に赴く502号室の面々。女性陣とウイング一家はすでに到着しているが、男性陣の姿が見えない。昨今、巷では「良い女は男を待たせるもの」という風習があるのだが、連の女性陣にそれは当てはまらないらしい。男性陣が来ない事を良い事に、さっさと場所決めをする。
「鈴木(仮)さんは煙草を吸うからこっち〜」
カオとまりかちゃの間に決定。
「雨ちゃんはもちろんここよね」
未月女王とそらたろうの間に決定。
「そうなると必然的にこーちゃん(工事屋さん)はここよね」
開いていた場所(まりかちゃの逆となり)に決定。さっさと全員の席が決定した。説明させてもらうと、全体的に席は上から見るとUの字で、入り口に近い方から、れみすけ・カオ・鈴木(仮)・まりかちゃ・工事屋。かなめ・未月・雨男・そらたろう。そしてあめじ・YOU・ウイング一家である。

席を決める間にも、ステージ上ではウイング妻の携帯電話の音楽に合わせてつばさが歌っている。可愛い。これを遅れてきて見る事の出来なかった雨男はバカである。

遅れて男性陣が到着したので席に強引に決めた席に座らせた。
まりかちゃの音頭で乾杯をし、いよいよ宴会の開始である。
未月は、魚はだいっきらいだが刺身は食べられる。骨と皮がないものなら大丈夫なのだ。大好きな鮭の刺身を口に入れる。が、何かいつもと違う味がする・・・・・・・・・・・。
そんな時、れみすけとkaoから声が上がる。
「これ、ソースじゃない!?」
「ホントだーーーーーーーーー!!」
全員のものがソースだったことがそこで判明。
「あらー、ごめんなさいね」笑いながら仲居が皆の皿を取り替える。あまりすまなさそうな顔はしていない。それも未月とかなめ二人だけの料理の火をつけずに仲居は去っていった。
「どうゆう所よここ!!」
未月は中部が誤解されたような気がした。
「これ、味が濃い」
「これもー」
どうも中部の味は関東や関西人には不服のようだ。未月はこのあたりの生まれなので濃い味には慣れている。彼女の母が濃い料理ばかりを作るからだ。
「まぁ仕方が無いわね・・・・・・中部ではこれが普通なんだけど」未月はそうひとりごちた。

穏やかに滞り無くその後の宴会は続く。
すると、まりかちゃの方から携帯電話が回ってきた。
「久しぶり〜」それはドクタの声であった。
ここで知らない人の為に。ドクタとは、連の中で「マッドドクター」と称する現役の女医である。弟に教授を持つマッド兄弟の上だ。
「まりかちゃに『ぼけなす』って伝言しといて〜♪」明るく言われてしまった。
未月は元来、真面目なタチなのでその通りの伝言をまりかちゃに伝えた。後で聞いたところによると、どうもその伝言はれみすけからもまりかちゃに伝わったらしい。

未月も携帯を取り出す。
そしてある番号に電話した。
そう、電話の相手は未月女王様のしもべ、ウルフである。
「そっちから電話しなさいよー!!」理不尽な事を云われているらしいウルフであった。携帯電話はその後、全員に回り、未月の元に戻ったのはしばらくしてからだった。未月の横ではそらたろうがまるで彼氏と話す乙女のように頬を染めながら魔王(エウロス)と話している。その光景は傍から見ていても微笑ましいものだった。

会場の盛りあがりは最高潮に達していた。なぜか雨男が逃げまわり、kaoが後ろから走って追いかけている。未月の隣でかなめはナプキンで大きな鶴を折っている。何気にあめじの目の前に置いてあるお酒がどんどん無くなっていく。ウイング(旦那)と鈴木(仮)がまるで上司と部下のように話しをしている。そんな時、やっとケーキタイムがやってきた。元々、本日はウイング(子)、つばさの誕生日。ケーキナイフを用意するようにお願いをしていた。しかし仲居さんが持ってきたのはなぜか包丁であった・・・・・・。ケーキに3本のロウソクを立てる。その間もつばさの目はケーキに釘付けだ。ハッピバスディの歌を歌い、見事につばさがロウソクの炎を吹き消す。ロウソクの炎は見事に一発で消えた。

そしてケーキカット。雨男は何を思ったのか、ケーキナイフ(この場合は包丁)を持ち、つばさと一緒にケーキを切りたがっている。どうやら結婚式のケーキカットのような事がしたかったらしい。
「このロリコンめっ!!」回りから怒りの声が起こる。
結局、雨男の大きな野望は皆に阻まれてしまった。れみすけからも包丁を向けられる雨男。ロリコンもたいがいにしたほうが良い。死にたくなければ。
ケーキを皆に配った後はプレゼント攻撃だ。つばさは色々な人から誕生日プレゼントを貰ってご満悦のようだ。にこにこしている。その笑顔がたまらなく可愛い。やはり人が喜んでいる顔というものは良いものだ。

+ パソコン教室 +
宴会も終わり、皆が505号室へと集まる。そこで未月はかなめに今までのオフ会の写真を貰った。可愛く写っている。未月もご満悦だった。横ではそらたろうが持ってきた日本酒で一杯やっている。やはりここでも特筆すべきはあめじで、日本酒もいける口らしい。どんどん日本酒が無くなっていく。そしてkaoは何本ものマニキュアを取り出し、YOUやかなめにネイルアートをしている。
「あれ?男性陣が来ないね・・・呼んでくる〜」未月は部屋を出て、隣の503号室へ顔を出した。
503号室では雨男がまりかちゃのパソコンを触っている所だった。他にも工事屋、鈴木(仮)もいる。先ほど抜けたまりかちゃの姿もあった。どうやらまりかちゃのパソコンを、雨男が直しているらしい。
「わ。よくこんなので使ってたなぁ」
「これ、ダメだ」
などの声が飛び交う。工事屋も雨男もパソコンには詳しく、専門的な言葉が飛び出している。未月に分かった事と言えば、まりかちゃのパソコンが際限無しに壊れている、ということだけだった。
その後も未月は503号室に居座り続けた。鈴木(仮)の秘密の話しや、まりかちゃ講師の未月の人生相談なども行われた。505号室とは違う、静かな時間が流れていったのである・・・・・・・・・・・。

その後、505号室にいたれみすけもやって来た。
「きゃん、気持ちが良い〜」雨男にもも枕をしてもらっている。
(旦那さんがこれを見たらどう思うかしら・・・)未月は恐ろしい事を想像する。
鈴木(仮)はお腹がすいたーとばかり、みかんを食べている。
ん?そのみかんは確か・・・・。
雨男が先ほどの宴会で、皆からもらったみかんであった。
一つ、二つ、三つとみかんが無くなっていく・・・。
鈴木(仮)は人のみかんを勝手に食べているのであった。

さて、先ほどから筆者は鈴木(仮)、鈴木(仮)と書いている。が、それを訂正しなければなるまい。連ではオフ会に参加したものに、日頃のHNとは違うニックネームを付けることが慣習となっている。いつもニックネームを付けるのはkaoである。東京・秋葉原オフで、迷いばとを「ちーちゃん」と呼んだのもkaoが最初だった。そして今回決められた鈴木(仮)のニックネームとは・・・・・・・。「課長」である。宴会でウイング(旦那)と話しているのを見て、ウイング(旦那)は「部長」、そして部長にへつらって話をしている(ように見える)鈴木(仮)が「課長」というわけだ。これからは鈴木(仮)の事は課長と呼ぶことにする。

503号室に来たれみすけの話によると、505号室のkaoはすでに眠ってしまったらしい。夜中まで語り明かそうと思っていたれみすけは、しきりと「遅くまで起きて話をしようって言ってたのに〜」と少し寂しそうだった。未月達は夜中の1時を過ぎた頃、502号室に戻り眠りについた。次の日の明示村オフでの貴婦人姿に思いを馳せながら・・・・・・・。

二日目に続く>>