2002年 6月2日 花時計 〜被講〜    幹事 中川睦

 

あじさいの色も日増しに濃くなってまいりましたね。

大変遅くなりました。花時計春の号の被講をお届け致します。

今回の出詠者は、 桑田国子、海老沢光世、小林たり子、中川睦、の計4名で、

題は「蔦若葉」「藤」「蜂」「へ」で始まる、の4つでした。

 

抜け道の蔦の若葉のざわめきぬ 小林たり子

 

▼さわやかですね。葉擦れの音が聞こえてきそう。上五も案外軽くついていていい

感じです。(光世)

▼抜け道を通るのっていくつになってもどきどきするものよね。若葉のざわめきが

人の声に聞こえたりして、蔦の絡まる家にドラマを想像したりとか。

「抜け道」は、秀逸。(国子)

▼国子さんの解説を読んでなるほどと思いました。歩いて通る抜け道なんですね。

ざわめき、も何かありそうでかっこいいですね(睦)

 

争へる両家の塀を蔦若葉  桑田国子

 

▼蔦はどんどん伸びますね、双方の境目がなくなるくらい覆っているのでしょう

か、人的なトラブルを、自然が無関係に覆っているのが愉快です。(たり子)

▼私と似た発想で詠まれた句(ちなみに私の句は「忽然と空地は生まれ

蔦若葉」)。蔦の生命力ってすごいですよね。象徴的だなあ。(光世)

 ※たり子さんは、「選外」としてこの句を選んで下さいました。

 

 

藤の下妄想までも藤の色  桑田国子

 

▼よくぞ言ってくれました。妄想が薄紫なんて言い得て妙。(光世)

▼何だか、妖しいような妖しくないような、不思議な味わい。どんな妄想?(睦)

 

留守がちの隣家の藤の盛りかな  中川睦

 

▼私の個人的な「藤」の一つのイメージとして、「人気の無いところでにぎやか

に咲いている」というものがあるのですが、それにぴったりでした。「隣の家が

留守がちである」という、作者のちょっとした生活感も面白いです。(たり子)

 

熊ん蜂唸りながらに透きとほり 海老沢光世

 

▼蜂と言えば唸りながら飛んでいて、それを「見る」対象としては考えたり

しなかったのですが、「透き通っている」ということを発見するほど見ると

いうのは面白いと思いました。(たり子)

 

えんどうの筋を取る時母の席  中川睦

 

▼家族の座る場所が固定されているんですね。台所に一番近い席なので

しょうか。(たり子)

 

▼これぞ俳句って思いました。いつも定位置に座って、えんどうの筋取りに

余念のない作者の母の姿は、意識せぬままに作者の脳裏の中で家庭の風景と

なって収まっていて、作者が母の席に座って同じことをしたときに、鮮やかに

意識されて出てきたようで、その、ほとばしるような感じに心を動かされました。

(国子)

 

春の蚊や壁に時計のありし跡  海老沢光世

 

▼どんな理由で時計の位置を動かしたのか、興味を持ちました。あるいは中古の

家か賃貸の家に引っ越して、前の居住者の時計の跡なのかも知れませんね。

時間の経過を思わせるのですが、何かに思いをはせている作者の状態、やや放心

したような状態を、蚊という点が横切っていく構図が、まるでマグリットの絵の

ようだと思いました。(国子)

 

ヘリウムを得て風船の生まれけり 中川睦

 

▼ちょっと理屈っぽいけど、擬人化したことで味のある句になってると思いました。(光世)

作者より……「へ」の題を貰って始めてヘリウムを思い付きました。作品はイマイチ。

 

フェミニズムゼミの窓から初夏の峰 小林たり子

 

▼郊外の女子大かな。何のかかわりもなくそそり立つ峰の存在感。(光世)

 

以上、春の号の被講を終了します

〜〜光世様より〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

漢字一字や季語でない言葉の題詠、月に一度だけ出ている句会でよく

やってます(特に漢字一字と決めてはいませんが)。

黒板いっぱいに季語とそうでない言葉を、出席者が思い思いに書き出して席題で

つくるのです。

ちなみに、先日の句会で出た題は「短夜」「ビール」「床」「演歌」「こぶし」「走り

梅雨」「拍子」などなど。

で、私の句……

   短夜の最後は叫ぶ演歌かな      光世

   走り梅雨降り込むリノリウムの床に

   手拍子をとらねば麦酒注がねば

 と、こんな感じでした。

 次回、「ほ」で始まる題以外にも、やってみると結構盛り上がるかもしれませんね。

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とのことでした。ありがとうございました!!早速夏の号から、漢字一字題を

出したいと思いますので

皆様宜しくお願いします。

***次回について(夏の句会)****

十薬(どくだみ)

冷奴(ひややっこ)

「ほ」で始まる

「本」の一字を入れて

当期雑詠      以上5句、出句してください

幹事は、桑田国子さまあてにお願いします。

締め切り2002年7月7日まで 以上