平成14926日 花時計披講(担当 国子)

兼題‥‥‥十薬、冷奴、「本」、「ほ」で始まる句、その他雑詠1句

 

長く暑かった夏も過ぎ去り、いつのまにか、セーターを探す季節となりました。

では、披講をお届けいたします。

 

冷蔵庫嫌ひなものの詰まりをり  光世作
 夏ばてして、何もかもが美味しくない!、という感じをよく捉えている。
 詰まりをり、が面白い(睦)
 何かよくわかる・・・。(和美)


段丘の限りどくだみ大河かな  由布子作
 この句のポイントは段丘でしょう、河岸段丘かな?
 あまり人の立ち入らない川原での眺めでしょうか(睦)

どくだみの大河という光景になんだか恐怖しつつ、面白い。(和美)

 

髪切って耳のとんがる冷奴  睦作

 短く切った時に耳の形があらわになる(和美)

 散髪したばかりの髪型が気になって仕方ない様子か?(国子)

 

手びねりの皿に豊かに冷奴  和美作
 「食べ物の句は美味しそうにつくれ」とは我が師辻桃子の教えだが、この句はまさに

それを実践している。欲を言えば、切れがあるとなおいいかも。助詞の「に」の重なりも

避けたいところだし。〈手びねりの皿や豊かに冷奴〉〈手びねりの皿に豊かや冷奴〉どちらが

いいかな。(光世)

 陶器も大豆ももともとは土からできている、そして、これほど洗練されたものになって

いることをおもうと、感動。(国子)

 

まばたきのあいまにとかげ消えにけり  国子作
 今回の中でいちばん飾り気がなくて好感のもてた句。「消」以外をひらがなで表記した

のも素直な驚きが現れていていい感じ。類想はあるかもしれないけど。(光世)

とかげの動き方を言い得て妙。(由布子)


星合の真白き紙に朱を入れて  光世作

 朱を入れているという事は、お習字の先生かしら。
 ま白き紙、は七夕の短冊かとおもいましたが‥‥‥?(睦)

浮輪して四本足と二本足  光世作
 動物と人間がいっしょに海水浴をしている、多分イヌだと思いますが、ただそれだけを

こんなかっこよく表現しているなんていいなあ。(睦)

どくだみや亀の子古墳はどこですか  由布子作
 亀の子古墳とどくだみが不思議なハーモニーを奏でている。中八だけど、ここの「は」

をとってしまうと舌足らずになるかな。会話調の句なので致し方ないとしますか。字余り

は上五にもってくるとすわりがいいんですが。例外的に下五の字余りもあることはあり

ますね。〈約束の寒の土筆を煮て下さい 川端茅舎〉

〈ランプ売るひとつランプを霧にともし 安住敦〉など。蛇足でした。(光世)


噴水は高し「女神の狩り」描く  由布子作
 日曜画家だろうか。なんとも平和な風景の中に描くのは「女神の狩り」。平和の中の戦闘。

しかも男ではなく女。何を暗示しているのだろう。不気味な句。(光世)

保養地の看板朽ちて草いきれ  睦作
 うーん、ちょっと類型的かなと思ったんですが。下五「草いきれ」だとハマリすぎ

ちゃうので、何かほかの季語を持ってきたい。蝉時雨じゃまだまだだし、芒原(季節が

違うけど)では哀れすぎるし。もう少し、ありがちなイメージから離したい気もします。

(光世)


草刈しりあと十薬の濃くにほふ 睦作

「濃く」というのはありふれている気がするのでもっと言い方があると考えられますが。

草刈りのあとたしかにこんなです。(由布子)

 

犬ゆびをねぢらせ駈ける夏の坂 由布子作

犬がくるっと方向転換する様子が上手く表現されている。

 

蛍狩り旅の客無き木曽の川 由布子作

俳風じみていて最近似ない雰囲気がいい。

 

自慢してのちの後悔冷奴  国子作   
 つい、人の間で虚勢を張ってしまうことってあります。そんな晩は冷奴を食べながら

いろいろ考えてしまうかも(睦) 以上でした。
次回の花時計

兼題
りんどう、虫(秋の虫一切、松虫、馬追い、鈴虫、こおろぎ・・・・)
漢字一字は「心」 、その他当季雑詠二句、計五句。

締め切り 十月二十五日(金)

提出先 海老沢 光世 さん