花時計 2003年夏の句会 〜披講〜(披講担当 国子)

お待たせしました。花時計の披講です。選句結果と講評を発表します。

兼題 「桑の実」 「サングラス」 「め」で始まる句

参加者 光世 睦 国子 以上3名。

3人だけなので、まとめずに並べます。

 

中川睦さん選

桑は実に火星かがよふばかりなり(光世さん作)

いつの間にか桑が実になっている。季節の移り変わり。空を見上げると秋空に火星が。

 

サングラス奥の眼の透けてゐる(光世さん作) サングラスと言ってもいろいろな

濃さがある。眼の色まで注目した観察眼。

 

サングラス溶岩台地が月となる(国子作)

色眼鏡をかけると溶岩大地が月のクレーターのように見えるかも?という発想。

なかなか面白いですね。

 

砦ある湾をあまねく秋日かな(国子作)

砦という字は、日本ではなく、たとえばヨーロッパの地中海を思わせます。

海上の覇権を争った歴史に思いをはせる……

 

坂本光世さん選

ふいに乗るリフトのてすり灼けており(国子作)

 あちち……と手を触れた感じ。わかるわかる。上五でそれをはっきり言ったほうが

いいかな。「ふいに乗る」状況が今ひとつぴんとこないので。

 

太陽神アポロンを恋ふサングラス(睦さん作)

すごいなあ、の一言。今回の題「サングラス」は難しかったです。こんなふうに

正面切って堂々と詠いたかった。うらやましい。

 

砦ある湾をあまねく秋日かな(国子作)

「砦」のインパクトがありますね。砦で私が思い出したのは(ずれてるかもしれない

けど)、十年位前に見た映画「ザ・ロック」(付記:ネットで調べたら96年米作品でし

た)。アルカトラズ島だったかな、アメリカのサンフランシスコ沖だかの監獄島の話。

案外この句の描写に似通ったイメージがありました。

(選外評)放たれて蜻蛉の戻る小藪かな (国子作)

上五がどうして? と思うけど気になる句です。あ、もしかして、自然界に

いなくなっちゃったから、小学生かだれかが繁殖させて放した、ということかな。

だとしたら、この句の内容は二句にできるかも。中七下五だけで十分、いい感じの

俳句になっているので。

(選外評)サングラス溶岩台地が月となる(国子作)

  不可思議な句。サングラスをかけると月は見えにくいと思うし……。だけど、

  意外性という点では今回群を抜いていたと思います。言葉のアクロバット!(光世)

 

国子選・

太陽神アポロンを恋ふサングラス(睦さん作)

アポロンが生まれて約3千年、古代ギリシャでの本当の姿よりも、近代ヨーロッパ

で紹介された姿がわれわれのイメージで、やはり、私自身も年をとってきて、

ヨーロッパ仕込みの彼にはそろそろ飽きてきたところですが、俳句にするととても新鮮

で、見直しました。

 

メモたまる上司の机夏休み(睦さん作)

今頃上司は、どこかの避暑地で会社のことも忘れて羽を伸ばしていることでしょう。

わかる、わかるってうなずける職場の風景です

 

桑は実に火星かがよふばかりなり(光世さん作)

「かがよふ」ってとてもあっている言葉ですね。かがやくだと華やか過ぎて、

あの、星の冷たい感じがでないので。地上の桑と天上の火星の距離感が壮大です。

 

暑い国のカーディガンなら、肌に涼しく、日本の秋に着るにはちょうど良さそう。

ふっと力が抜けてしまい、言葉少なくなり、自分やものを見つめている感じを受けます。

 

地下鉄の風をまともに九月来る(光世さん作)     

地下鉄に降りる階段の入り口で詠んだ句ではないかと思います。風をまともに、

という表現がちょっと落ち込んでいる気分にさらに追い討ちをかけたのかなと

想像しました。   以上披講でした。

……

今回は3人だけでしたが、次回はより多くのご参加を期待しています。

〜花時計 次回紙上句会のご案内〜

秋冬合併号です。兼題は

「からす瓜(秋)」、「山茶花(冬)」、「も」で始まる句、 秋冬の雑詠句、計5句

締め切り12月25日

あて先 中川睦 メールYQF00577@nifty.com

では、皆様よろしくお願いいたします。