「花時計」二〇〇三年冬号披講 (二〇〇三年三月二〇日)
「歴史が大きな転換点を迎えてしまった」と、昨日ラジオで学者が言っていました。
……遅くなりましたが、冬号の披講をお届けいたします。
九九暗誦きいて大根厚く切る 4 和美
●実感として、よくわかりました(^^)(由利子)
●本来なら「暗誦聞きつつ」なのだろうけど、母親というものの日常のひとこま(睦)
●やや緊張して、父に九九を言わされた昔がまざまざとよみがえります。(国子)
●今も昔も変わらぬ夕方の風景。「きいて」は「ききつ」だといやらしいかな。(光世)
沈黙の区切りにコートかき合わす 4 国子
●寒いところでの立ち話か何かでしょうか、「他愛無いおしゃべり」とは何か違う雰囲気が
想像できますね。(由利子)
●沈黙に区切りがあったのか……という斬新な発想に惹かれました。別れ話なのかなあ…
…(睦)
●沈黙の時間を埋め合わせる行為として、冬らしさが現れています。(和美)
●ほかにすることもなくて。掻き合わせたはいいものの、気まずい雰囲気は続いてるよう
な気がします。(光世)
コテージに新聞受けて霜柱 3 由利子
●人気の無い冬の別荘地の感じが見事。(国子)
●高原の肌にしみるような冬の朝の冷たさが伝わってきます。(和美)
●日常と非日常のさりげない邂逅が魅力的。(光世)
川土手の冬草にふと獣臭 3 由利子
●あまりでてこないようでも、人間の知らない時間とかに、ひそかに活動しているのが冬
の獣です。(国子)
●獣臭という単語が少し強い気がしますが、気配ということなのでしょうか。(和美)
●下五は「けものくさ」と読みたい気がします。空気の冷たい冬にこんなにおいを感じた
のは新鮮。(光世)
方位磁針恵方の辺りをゆうらゆら 2 和美
●方位磁針というサイエンスの事物が恵方という言葉と出会った面白さを感じる(睦)
●「ゆうらゆら」が、方位磁針のうごきをよくあらわしている。恵方に特別な磁力がある
のだろうか?(国子)
富士塚の小さき風穴恵方かな 2 由利子
●そこを通る風は、心なしか温かい風で、ユーモラスな景色でもあります。(国子)
●日本各地にある富士塚。風穴も丁寧に作られたものなのでしょうか。(和美)
旧正や唯ひとつある一の蔵 2 由利子
●一の蔵と呼ぶのだから、かつては、二の蔵、三の蔵が立ち並んでいたのでしょう。(国子)
●きっと、最後に残ったのが「一の蔵」なんでしょうね。陰暦と昔々の面影が重なり合う
ようでムードがあります。(光世)
待春の筆一息に弧を描く 1 和美
●書き初めなのか、毛筆の持つダイナミックな雰囲気を活写(睦)
雀らの舞い立つ恵方参りかな 1 光世
●欣喜雀躍ではないけれど、最近では、雀が集っていられるというだけで、楽しくて、和
やかな感じがします。カラスの多い都会ですから。(和美)
みちのくの宿は無口な客ばかり 1 睦
●キマッタ! ただ、「みちのく」「無口」の取り合わせはちょっときまりすぎの感もある
かな。(光世)
登校子避けて残れる霜柱 1 和美
●こどもの通り過ぎたあとの静寂がよく伝わる。(国子)
一月や祖母の楷書の墨の跡 1 睦
●張り切ってお習字をしたおばあちゃんが、墨をどこかにつけてしまったという光景でし
ょうか。「あれ、こんなとこに墨が」なんて言っている様子かな、面白いですね。(由利子)
霜柱そそり立つ深大寺裏 1 光世
●霜柱をズームで写した先に寺があるといった構図が、新鮮です。(和美)
道ならぬ径をまつすぐ探梅行 1 光世
●「道ならぬ」でどきりとしますね。その後ろに続く、至極まっとうな健全さが意表をつ
いて面白い!(由利子)
卦のごとく定規束ねて寒教室 1 国子
●最近そういう「占いのおじさん」ってあまり見かけなくなりましたネ。(睦)
発熱の額に胼(ひび)の手を置けり 1 和美
●発熱しているのは子供か大人かわかりませんが、発熱した肌と日々の皮膚の対照が見事。
(国子)
山と積む大根リヤカー山車のごと 1 国子
●山と積まれる大根に圧倒される気持ちが、よくわかります。(由利子)
テニスコートに寒林の影が満ち 1 光世
●寒林の影の長さ、濃さが目に浮かびます。(和美)
蹴りあいが蹴り合いを呼ぶ炬燵かな 1 国子
●ありそうありそう。(和美)
日本国憲法前文読み始め 1 由利子
●日本は平和憲法を大事にしていきたいですね。(睦)
大根に金箔散るやほろ酔いに 由利子
霜柱出来映えの良き美田かな 由利子
大根の味噌汁は濃く父好み 睦
相続の決まらぬ畠の霜柱 睦
聖護院大根まろき味したり 光世
ミサ曲のもれ来る御堂(みどう)冬ざるゝ 和美
パソコンの一本指の寒復習 光世
検診の館より出て霜柱 国子
恵方道むかし手をひかれし祖父と 睦
【お便り欄〈近況報告〉】
▼小林由利子さんより
一番上の子がこんど中学生になります。制服やら何やらの準備がこまごまとあって、け
っこう負担になっています。泣きたいです。入学説明会で服装の説明があって「くつし
たは白に限る、ワンポイントは可」なんて話もありました。今でもそんな校則があるの
かと、ちょっとびっくりです。
▼中川睦さんより
根岸駅前に転居して一ヶ月。駅の目の前と言うのはなかなか便利です。意外に電車もう
るさくないし、出かける事がおっくうでなくなりました。
最近読書にあけくれています。モースの書いた「日本その日その日」を読み、明治時代
の日本人の優れた点を書き連ねているモースの炯眼にあらためて感銘をうけました。
▼三島和美さんより
いつも遅くなって、足をひっぱりすみません。今後とも見捨てずよろしくお願いします。
ところで、先日ヴェルサイユ展に行ってきました。1月のハプスブルグ展に行けなかっ
たので、とても楽しみにしていましたが、平日にもかかわらず、大変な混みようで、風
邪までもらってきてしまいました。色々と、見るべきものはあった中、アントワネット
の首飾りのレプリカが出ていました。例の首飾り事件のヤツです。「川」という銘が付い
ていたと記憶していたので、私の中では、さらさらと流れるようなたくさんの細かいダ
イヤで構成された長いものをイメージしていたのですが、実際は、結構ごっついゴロゴ
ロとした石でした。私のもつ「川」のイメージって、極めて日本的だったのかなと、思
いました。(瀬をはやみ・・・みたいな)今度はロマノフ王朝展があるそうです。次々や
ってくれます。日本って便利ですね。
▼海老沢光世より
左にご紹介した(遅すぎる!)花時計のウェブサイトBBSでもちょこっと書きました
が、縁あって台湾を何度か訪れる機会があり、ついでに(?)大陸へも三回ほど出かけ…
…といったことをここ数年、年中行事のように繰り返しています。学生時代、和美さんが
中国へ行かれたことが俳句とともにすごーく印象に残っていて、私も一度くらいは行くこ
ともあるかな……と思ってたのも懐かしい。で、このたびついに両親を大中国旅行へ連
れて行く計画が持ち上がり、やむなく私も(?)中国語を勉強する羽目になりました。な
ーんか、冗談みたいな展開に自分でも驚いていますが、宣言しちゃった以上、せめて旅行
中国語会話ぐらいはものにしないと……。だからというわけではないけれど、戦争絶対反
対!
【花時計のウェブサイト】
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/8143/
すでにご存じの方はもちろん、しばらく「花時計」とはご無沙汰で「ええっ、そんなの
出来てたの!」とたったいま驚いた方も、ぜひぜひアクセスしてみてくださいませ。
中川睦さんによる労作です(感謝!)。掲示板(BBS)も開設してくださっています。
【次回の兼題】
風車 「む」で始まる句 ……の厳選ニつ(!)と 当季雑詠 で、
五句以上七句まで。
【送り先】
小林由利子さまあて
【締め切り】
二〇〇三年四月十五日(火)
それでは、次回も皆さまの投句をお待ちしています! 以上