清子のこと 2
清子のアパートは住宅街の中の、こじんまりした瓦屋根の二階建てだった。
清子の部屋は二階の突き当たりの4畳半で、半畳の台所がついていた。ガス台と小さな流しがついていた。私は後ろから、ぬれたまま立っている彼女を抱いた。胸も腹も冷たくなっていた。彼女は、スカートを脱ぎブラウスもぬいだ。スリップが肌に張り付いて、臍のくぼみも少女のようなスリムな下腹の形もはっきりみせていた。押し入れから、シーツを引き出し肩に掛けて、わたしの視線をさえぎった。
「あなたも、着替えたら。そこのタオルつかっていいわよ。」彼女は、私に背を向けシーツの中でパンティを脱ぎ、スリップもぬいだ。わたしは、また背中からシーツごと抱きしめ彼女の乳房を掴んだ。痩せたからだのわりに大きい。乳首が寒さで堅くしぼんでいる。右手で腹をさぐり下腹にのばした。陰毛が濡れて体にぴったり張り付いている。
煎餅ぶとんを引出し、私達はシーツを上にかけて裸でよこたわった。
清子は相変わらずむくちだ。黙ってゆるく足をひろげて伸ばし、わたしの手を迎えいれた。
目を閉じて、すこし息を弾ませた。
「彼女がいるの?」彼女も私の下腹をまさぐりながら言った。
「うん、いるよ。」
清子をまじかでよく見ると、青白い綺麗な肌をしている。
すこし、上に向いた鼻の下にうっすら産毛のヒゲがある。まくれ上がった上唇がすこし開いて、熱い息を漏らす。彼女はもう十分濡れている。
私は彼女の折り曲げた脚の間に入り、清子の中に滑り込んだ。
なにが良いといっても、この瞬間に勝る物は無い。
わたしは、ゆっくり腰をうごかす。彼女は薄めを開けて私の目をまともにみる。
こいつ、初めてまともに眼をあわせてきた。
まるで、赤ん坊が自分を抱いてくれているのが誰なのか、確かめているみたいだ。
彼女はまた、目を閉じて快感に身をゆだねた。
いつもの難しい顔から想像もできない、柔らかないい表情だ。
「外に出してね。」荒くなった息で、いった。眉を寄せて、我慢をしている。胸から首筋が真っ赤に染まって、汗もふきだしている。
下腹の私の腹の当たるところが、ぴたぴたっと鳴った。私の脳天に快感の第一波が急激くる。
すばやく私は抜いて、清子の腹に精液をだした。
乳白色の液がピクツピクツと脈打って、たいらな清子の腹と陰毛の上に飛び散った。
雨音が静かになってきたようだ。トランジスタラジオのスィッチをいれた。利根川が栗橋あたりで氾濫したらしい、荒川も多摩川も決壊寸前までいっていた。それより、都内の小さい河川がいたる所で氾濫して、交通機関も麻痺状態という。
清子はガラス窓を開けて、外をみている。おかっぱの髪も乾いた。素肌に白いスリップを着ただけだ。まだ雨雲は低くたれていたが、西の空は明るくなってきていた。
「わたし、雨が大好き。雨の音を聞くのも好きよ。」
彼女は、チキンラーメンにお湯を注いで出してきた。家具といえるものは、小さなちゃぶ台と小振りの鏡台だけだ。三段重ねのみかん箱に花柄もようの紙を張って、本箱と小物置き場にしている。文庫本が重なって乱雑に突っ込まれている。白水社の仏和、和仏辞典、フランス語の原書がある。教科書らしきものと、他の本が無秩序におかれている。ギリシャ悲劇集、ボーボワール。万葉集、チェホフ、石川啄木、毛沢東選集。深沢七郎。それに雑誌類、殆んど空気の抜けた抱っこちゃん人形、目覚まし時計、裁ちばさみ、とにかく雑多だ。
ラーメンを食べ終わると、彼女はまた窓辺で外の雨をみている。六月に大学に退学届けをだしたことや、親から仕送りを止められたことなどをぽつりぽつりしゃべる。
わたしは、清子のおかっぱの髪を撫でスリップの上から乳房をおさえた。
「彼氏はいないの?」彼女はこたえなかった。
ガラス窓を閉じようとすると、開けて置いてという。窓のすぐ先に楠の枝が張り出して、どこからも見られないという。私達は窓ぎわの畳の上で雨音を聞きながら、互いの体をさぐりあった。清子は私の脇毛を舌でねぶり、胸から腹をなめた。彼女の濡れていた下腹の陰毛がすっかり乾いて立ちあがってこんもり爆発していた。「ここの毛ってきれいだな。隠すためじゃない、目立たす為に生えているんだ、こいつ等。」清子は声を出して笑った。清子は和やかないい顔になっている。彼女は、気取らない嘘のつけない女の子だ。なんだか、好きになりそうだ。
こんどは彼女は目を開けたまま私の硬くなったものを受け入れた。入り口ですこし抵抗感があって、すぽっと入ってゆく。ああ、気持ちいい。いいよな。わたしが念をおす。彼女は、私の胸の下でうなずいた。さっきより、ずっと打ち解けて私の腰の動きに合わせて、腰を横にゆすった。彼女は両手で私の耳をつまんだり、耳穴に指を入れてきたり、髪の毛をぐしゃぐしゃにかき混ぜたりする。私は指で彼女のクリトリスを刺激し、さらに会陰部を撫ぜた。清子は言葉にならない声をもらした。断続的に忙しく声を発して、脚をつっぱり体を反らして、最後の階段をのぼりつめて行った。同時に私もいった。危なく、中で射精するところだった。
私も清子も目を閉じ、長い間裸のまま体中の力を抜いて窓際で横たわっていた。
何時の間にか雨が上がり、青空さえ覗いている。窓のさきの楠の緑の葉が、まだ濡れていてカッツと差してくる夏の日に、きらきら反射していた。
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