愛しの久美ちゃん 2 

抱きついてキスを求める久美ちゃんを引き離したして、共同台所じゃいつ誰が帰ってくるかわかりゃしない。駄目だよ、久美ちゃん。部屋にいこう、部屋に。

部屋にもどると、くみちゃんは裸になって畳のうえにじかに横たわった。久美ちゃんは初めてのことで緊張していた。
隠しどころは十分に濡れていたが、手足の筋肉が硬くこわばっていた。わたしは、足先から太もも、そして中心の割れ目を唇と指で撫でて緊張を解きほぐしてやった。わたしの太くて固いものは、するりとくみちゃんの中に抵抗もなく入った。

久美ちゃんは、ちり紙で股間を拭きながら鼻をぴくぴくさせた。
「なにか、臭くない?」
アッ、しまった、ガスの火を止めてなかった。わたしは慌ててズボンをはき、台所に行ってみた。お釜のご飯は見事に焦げてしまっていた。
久美ちゃんは、共同炊事場でしょげているわたしに後ろから抱きつき、焦げご飯を食べようといった。
久美ちゃんはおこげが大好きなのよといった。
わたしもお腹ぺこぺこで、いまさらもう一度ご飯を炊く気になれない。
久美ちゃんは矢鱈にはしゃいでいた。コタツの足がぐらぐらするので面白がり、このおこげは硬すぎるといっては笑い、味噌汁がとってもおいしいと言って、おかわりをした。

わたしは、しあわせそうな久美ちゃんの顔をまじまじと見た。久美ちゃんは19歳になったばかりだ。田舎から東京に出てきて、まだ3か月だ。人生の中で一番いい時なのだ。

「なにをそんなに見ているの?何かついている?わたし、おかしい顔でしょ?」

「久美ちゃん、綺麗だよ。」

わたしは、正直そう思った。久美ちゃんの眉は濃く一文字に上がっている。そして、一重まぶたの目じりもすこし釣りあがっている。しかし真っ黒い瞳が輝き、強い光を出しているようだ。

久美ちゃんは、笑い顔をふとやめて、真顔になった。
「わたしとお母さんと、どっちが綺麗?」
でも、それは一瞬の事。すぐ、笑い顔に戻り、勿論わたしの方が綺麗よねと大きな声でおどけて見せた。

外に遊びに出ていたアパートの学生たちが下駄の音を鳴らして、帰ってくる時間になっていた。中にはノックもしないで、いきなりわたしの部屋のドアーを開けるやつもいた。しかし若い女性のお客さんにきずいて、慌ててドアーを締めた。

久美ちゃんの寮の門限まではまだ時間があったが、ともかく電車に乗って寮のちかくの駅までいった。久美ちゃんはわたしの腰に手を回し、わたしは久美ちゃんの肩を引き寄せ、街灯の少ない道を選んで歩いた。久美ちゃんは暗い場所になるとみじかいキスをしたがり、小さい雑木林に入るとながいながいキスを求めてきた。わたしたちは、脇道をさらにそれて、茂みのなかの狭いこみちに入り、安心して抱き合った。

わたしの硬くなった下半身は久美ちゃんの柔らかいお腹にあたった。久美ちゃんのスカートのホックをはずし、うしろからパンツのなかまで手を差し込んで久美ちゃんのお尻をさすって、さらに尻の割れ目にいれた。くみちゃんは伸び上がり、わたしはひざを屈めた。
久美ちゃんはわたしの肩にあごを乗せ、耳もとで荒い息をしてきれぎれにわたしの名前を呼んだ。久美ちゃんのお尻のあたりを撫ぜてやり、その先にゆくと濡れていた。久美ちゃんは私の首に両手を回し耳元で、好きよ、好きよとくリ返し、わたしの名前を何回も呼んだ。
そして、わたしを捨てないでと言って、わたしの耳たぶを噛んだ。

久美ちゃんは、わたしに凄い力で抱きついてきた。あまりの勢いに押されて、私はよろよろ後ろに下がった。すると、久美ちゃんは私の胸に顔うずめました。そして、久美ちゃんが、突然泣き出したのです。

私の背中に手をまわし、シャツをがっちりつかんでなきだしたのです。

久美ちゃんはひとしきり激しく泣きじゃくったが、泣き止むとわたしから離れて、寮の方に一人でどんどん歩き始めた。
何事もなかったように、いつもの快活な足取りだった。寮の入り口でくるりと振り向いて、まったくいつもと同じように、「じゃあね、ありがとう。」といつもの、挨拶をして門の中に消えた。

その後、わたしが寮に電話すると、寮監の先生は無愛想に、ただいま彼女は外出しているだとか、もう就眠中だとかいって取り次いでくれなかった。久美ちゃんはわたしを避けていたのだ。どうしたんだろう。

久美ちゃんは、わたしと妙子先生の間にあったことを、感ずいているんだろうか。でも、アレは済んだことなんだよ。むかしのことなんだよ。

季節は夏になって、わたしはアルバイトに追われていた。久美ちゃんどうしているんだろうと、気にはなったが短大の寮に電話する気になれなかった。夏休みも始まり、わたしは昼も夜もアルバイトにせいをだした。ここで、授業料ををがっちり稼いでおかなくっちゃ。きっと久美ちゃんは田舎に帰省してしまったんだろうな。


バイトの休みの前日は、新宿の深夜興行の映画館でうとうとしながらスクリーンの高倉健を見た。久美ちゃんはどうしているのかなと時々思い出した。あいたいなあ、久美ちゃんに。


久美ちゃんから葉書がボロアパートの郵便受けにはいっていた。 ありきたりの残暑見舞いだ。文面から、彼女の感情を読み取る術もない、決り文句だけだった。余白にむくげの花のスケッチがあった。うすいピンクでさっと色をつけてある。久美ちゃんの家の縁側のちかくのむくげの花だ。あれは、秋の知らせだ。そうか、もうお盆も過ぎたんだ。山陰の海沿いの町では、もう朝晩ひんやりした秋の気配が感じられる季節になっているのだろうな。


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