ひろしの夏休み
1
夏休み。
ひろしは、お父さん、お母さんと、いなかのおばあちゃんの家に、泊まりがけで遊びにいくことになりました。
三年ほど前にも、遊びにいったことがあるのですが、ひろしはまだ小さかったので、よく覚えていません。
田んぼ、山、青空がきれいだったような気がします。
お父さんが運転する車に乗って、さあ、出発です。
途中、道が混んでいましたが、高速道路に乗ると、車は少なくなりました。
ひろしは、窓の外の風景を眺めていました。
向こうに見える山の上を、もう一人の自分が走っている姿を想像しながら。
ピョーン、ピョーン、とひろしは、山の頂上から、頂上へとジャンプしました。
雲の中にも、入りました。
ひろしは、なんだかうきうきしてきました。
「このまま、おばあちゃんの家まで飛んでいくぞ」
にこにこしながら、窓の外を眺めているひろしを、お母さんも楽しそうに見ていました。
ガタン、ガタン。
車がゆれて、ひろしは目を覚ましました。
どうやら、いつの間にか眠っていたようです。
「さあ、ひろし。もうすぐおばあちゃんの家だぞ」
お父さんが、言いました。
「うわあ……」
ひろしは、窓の外を見てびっくりしました。
緑がいっぱいです。
まだ青い稲の穂が、風にそよいでいます。
「ひろし君、よく来たね」
と優しく、ささやいているようです。
その向こうには、山があります。
「ひろし、よく来たな」
とほほえみながら、こちらを見ています。
小鳥たちが、
「ひろし君、ひろし君」
とさえずりながら飛んでいました。
「やあ、みんな、こんにちは。よろしくね」
ひろしは窓を開けて、笑顔であいさつをしました。