MATIKOからMAKO
夏休みも終わり、また仲間と再会する。
友達もこの夏休みで何か変わっていた。
学校に来なくなった者、考え悩む者、そして素晴らしい写真を撮ってきた者、
オレは大切にして来た物を失いかけているような気がする。
そんな中、向井、田坂、黒川、MISUE、MATIKO、オレの六人で大島に撮影に行く、
オレはMISUEやMATIKOが一緒なのですぐに賛成した。
待ち合わせ場所は、銀座の三愛の前、いつもこんな時オレは一番先だった。
するとMATIKOがやって来た。途中で買ってきたのか「これ食べる」と、
オレの目の前にドーナツを差出す、そんなきっかけで急激にMATIKOと親しくなった。
MATIKOは入学した時から憧れていた。
オレなんか絶対、付き合ってくれないと思う位可愛かった。
大島行きの船は晴海から出航した。
夜の東京を海から見ながら、ビルの明かりがとてもきれいだ。
だんだんと明かりが小さく成って行く。
デッキに出て潮風にあたっていると、MATIKOがやって来て。
自然にオレ達は触れ合っていた。
自然がオレ達を結びつけるように。
MISUEの目を気にしながら、二人だけの秘密だ。
大島には朝早く着いた。
大島の町はまだ眠っていた。
港だけが、ざわざわ観光客でにぎわっている。
まだバスも動いて居ないようなので港の前の小さな旅館で待つ事にする。
これからの計画を皆と練って、三原山に行く事にした。
朝一番のバスに乗り、後部座席を六人が占領して騒がしく乗っていた。
岩がごろごろしている道を進むと、けむりが見えはじめた。
あれが三原山だ。
けむりが色んな形をしながらオレ達を迎えてくれた。
あれは奴の顔に似ている、あれは彼女のようだ。
すると黒川は、けむりを夢中になって撮り始めた。
この山で自殺する奴が沢山いる事を聞いた。
自殺する奴の気持ちが知れない。
今のこの幸せな気持ちに慕っていると自殺なんてとんでもない事だ。
オレ達には明日がある、だけど明日になると気持ちが落ちこむ恐怖が襲ってくるかも知れない。
人間はもろい者で少しのつまづきで死んだり生きたりする事を考える。
今はこんな深刻な事は考えられない。
こんな考えは三原山のけむりと一緒に飛んで行くのだ。
今は皆と一緒に楽しくやれば良い。
オレ達六人は、伊豆の下田から箱根の芦ノ湖へと撮影しながら旅を続ける。
MISUEが「ここから私の実家が近いよ」と言うので皆で押しかける事に成った。
家にはMISUEの母と兄の二人だけ。
父は離婚して今千葉の勝浦で旅館をしているそうだ。
二人だけでぶどう畑を維持してるようだ。
MISUEも複雑な事情があるんだなと思った。
でもMISUEは明るかった。
ふどう畑で種無しぶどうを作る為、
一つ一つピンク色した薬に漬けて行く作業の手伝いを六人でやった。
皆初めてなので面白がってやっていた。
大島の撮影旅行も終わり数週間が過ぎたある日。

MATIKOがオレのアパートに初めてやって来た。
学校の課題を一緒にする為に、
この時オレは広告写真のカミソリ刃の撮影に追われていて、
時間など全く気にしなく没頭していて気が付くと夜遅く成っていた。
MATIKOはもう帰りの電車もなく泊まる事になった。
若い二人が一夜を共にして、する事はすでに決っていた。
MATIKOもオレの事好きなのか受け入れてくれた。
この時からMATIKOの事をMAKOと呼ぶように成った。
オレの心の隅っこのHIROKOも完全消えてしまった。
MAKOも夏休みまでは彼氏がいたらしいが別れたと言っていた。
朝、二人食事をする、まるで新婚のようだ。
MAKOが何か作ってくれた。
MAKOがそばにいるだけで何でも出来るような気がする。
オレは自信に満満ちていた。
女の子の力、パワーはすごい。
二人で学校へ行くとMISUEがやって来て、
うすうす感じていたのかMAKOとの事を認めてくれた。
仲間も二人の事を知った。
先生までも冷やかす位皆知った。
オレのアパートにはだんだんとMAKOの服や持ち物が増えて行く。
MAKOの家は渋谷のNHKホールに向ってJANJANの前を通り過ぎ、
公園通りの坂の途中にあった。
お店屋をしてて、両親と兄二人、末娘のMAKOの五人家族、
下の兄はもう結婚して独立している。
MAKOの家に行っては、よく食事もさせて貰った。
父親の方は、オレとはあまり話さないが、母親は良くしてくれる。
上の兄はオレと似てて物作りが好きなようだ。
いつやら、下の兄夫婦に赤ちゃんが生まれる為、一緒にベビーベットを作った。
オレと兄が材料を切ったり、組み立てたりし、MAKOはペンキを塗ったりした。
MAKOの親はオレの事どのように思っているか分からないが、
MAKOがオレのアパートに泊まっても何も言わないみたいで、次の日MAKOの家に行っても、
普段と変わり無く接してくれる。
付き合っている事を認めているんだなと思う。
MAKOの父親が写真が好きで、父親から貰ったNIKOMATでMAKOはいつも写真を撮っていた。
MAKOの部屋の屋根裏が暗室に成ってて、一緒に現像もしたりした。
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