「嫌な天気だ・・・・」
部屋の窓から顔を出し、ふっと呟く。
いつものように午前中のうちはワイドショーを見て情報収集。
職業柄、世事に疎いでは済まされないのだ。
どんなにくだらない芸能ネタでも仕事のタネだ。見逃すわけにはいかない。
昼にはコンビニへ昼食の買出し兼雑誌の立ち読み旅行。
店員の視線が痛い。でも気にしない。仕事だから。
夜の出勤までの時間は易学の勉強。
とどのつまり、私の職業は占い師なのだ。
一度は普通の就職をした。でも何かが違っていた。
その仕事に何かを望んでいたわけではないが、なぜだか自分が居た堪れなくなって、
「辞めます。」
昔から勘は人一倍はたらくほうだった。
だからといって占い師になろうというのはかなり安直な考えではあると思うが、結構この仕事は気にいっている。
そんな私が受けた今朝の第一印象が「嫌な」感じ。
淀んだ雲が空一面に広がっている。
こんな天気生きているうちに何度でも見ることはあるだろう。でも今日は何かが違って思えた。
「雨・・・・降るんだろうな・・・・・・。」
案の定、仕事に出る夜の六時にはかなりの雨が降っていた。
町で行きかう人たちは皆足早に歩いて行く。
「普通はそうだよなぁ・・・・。」
雨の中わざわざ手相を見てもらおうなんて考えるわけがない。
仮に私が皆の立場であっても、こんな日は家路を急ぐに決まっている。
私が仕事場である商店街に着いたころにはもう人影はまばらだった。
二時間待ったが客は来ない。
「今日は早めに切り上げよう。」
そう思った矢先だった。
「蟹沢さん・・・・ですか?」
いつのまにか目の前にはいまどき見慣れない初老の紳士が立っていた。
「ええ、そうですが・・・・?あなたは?」
彼は私の質問に答える前に自分の用件を言ってきた。
「実は占っていただきたい人がおりまして・・・・・。」
雨はまだ変わらぬ様子で降り続いていた・・・・・・。