小山田いくという漫画家を知ったのは、大学に通い始めた年だった。
たまたま入った喫茶店でたまたま手に取った雑誌に、その漫画が載っていた。
もう20年以上も前のことだから細かいディティールまでは憶えていないが、漠然と「2頭身」ぐらいの少年が2人で不良少年をイビルような内容だったように思う。
今でこそすくらっぷブックの第5話「ケンカ友だち」だと判るが、当時はギクシャクした絵のうえにおめでたいストーリー展開で、こんな漫画もあるのかと思った程度だった。
正直なところ、手に取った雑誌が少年チャンピオンだということも認識していなかった。
ところが、自分では気に留めていないのに、どこの喫茶店で雑誌を読んでも、あの2頭身の少年がいたのだ。
よくよく考えると、当時は少年チャンピオンという雑誌に勢いがあったんだよね
他のキャラクターも、丸い頭につま先のない足、手に汗握るような展開も派手なアクションもない、退屈な漫画の筈だったのだが、どういう訳か次が気になって仕方がない。
そんな中で、小山田マジックにはまりこんだのは、「イーゼルカバー」からだった。後々知ったことだが、こういう意見が割合多いようだ。
一気にのめり込んでしまった私は、当時参加していた漫研の関西地区のメンバーを集めて「イーゼルカバー」のスライドアニメを作って、東京本部のアニメ上映会に持ち込んだりして大いに盛り上がったことを覚えている。
いく先生に初めてお逢いしたのは、昭和57年の夏。車の免許を取って初めての長距離ドライブの行き先が小諸だった。
当時先生は私より4歳年上の26歳で、突然訪ねて来たファンと名乗る男を部屋に通して3時間もお付き合い下さった。
今にして思えば、驚くほどフランクに接していただいたのには感激した。と同時に厚かましいことをしたものだ、と忸怩たる思いでもある。