思い出季節
筆者:sakuU 編集:秋月 優菜
【第一部 告白】
そうこれは、今から一年前の話になる夏の季節の話だ。
僕は夏休みを利用してファーストフード店でアルバイトをしていた。
いつも決まって僕が担当しているカウンターに並んでくれる女性がいる事に気付いた。
そして少しずつ、確実に、僕は自分の中に彼女に魅かれていっている気持ちがある事に気付きまじめた。
僕はその女性を好きになってしまったのだ。
もっと彼女と話したり、彼女の事を知りたくなっていた僕は、彼女が来るのを毎日楽しみにしていた。
ある日僕は、我慢が出来なくなって思い切ってその女性がお店に来た時に思い切って告白を試みる事にした。
「すみません」
僕は、ビクビクしながら口を開いた。
「はい?」
彼女からは普通に返事が帰ってきた。
「あの〜今度、もし時間があったら話したいんですけど、ダメですか?」
僕は、心をドキドキさせながら続けた。
「え、私とですか?」
彼女もいきなりのことで驚いていた。
彼女が驚くのは当たり前のことだ。
見ず知らずの人に急にこんな事言われたら誰だって驚くに決まっている。
「あ、あ、の、ダメでしたらダメでいいんですけど」
僕だめだと思い気を落とした。
「少しだったらいいですよ」
彼女は、小さい声で、そう答える。
僕はふられる準備が出来ていたため最初は何かの聞き間違いだと思っていたが、我に返り、嬉しさのあまり心の中ですごく叫んだ。
「じゃあ、あ、あのー今日の午後6時にここのお店の前で待っていますから、来てくださいお願いします」
僕は今日にでも会って話がしたかったので僕のバイトが終わる6時に待ち合わせをした。
「はい」
彼女からはOKの返事が帰って来て、僕は早くバイトが終わらないか楽しみにしていた。
「じゃあ午後6時に待っていますから!」
「はい」
彼女は、返事をして店を出ていった。
そして、約束の6時に近づき僕は、大急ぎで仕事をあがり5分前には店の前で彼女が来るのを待っていた。
その時だけ、一分一分が長く感じられた。
そして、約束の時間になった。
彼女は、まだ来ない、僕は、携帯を取り出し時間を確認して辺りを見回した。
「やっぱり来ないのかなー、いきなりはやっぱりまずかったかなー」
いきなりな話だったうえ逸るあまりに今日会おうなんて言ってしまった事を後悔した。
その時、向こうから走って来る女性がいる事に気付く。
それは、彼女だった。
「ごめんなさい、遅れちゃって」
彼女は息を切らしながら頭を下げた。
「ううん、全然待ってないよ、僕も今来た所だから」
安心と同時に一つの不安が脳裏に浮かんでくる。
これから一体何処に行こうか考えていなかった。
僕はこういう形で女の人と出かけた事が無かった。
必死に考える。
この近くでゆっくり話しができそうな場所といったら……あそこかな?
行き着け、とまではいかないけど僕のお気に入りのカフェがちょうどこの近くにある。
人気がないというわけじゃないけどあまり知られていないカフェだ。
理由は、実際に行ってみればすぐにわかる。
「そうだ、この先にいいカフェがあるんだ、行こう」
もうそこしかないと思い、彼女の腕を掴み歩き出す。
5分ぐらい歩いたところにそのカフェはあった。
「え、ここがお店なの?」
彼女が驚くのは当たり前だった。
どう見てもそこは普通の家にしか見えない。
辺りを見渡してみてもここはもう住宅街、まさに知る人ぞ知る秘密の喫茶店なのだ。
「そうここなんだ、そこらへんの人にはわからないよ?」
僕はすこし自信満万に言った。
「こんな所にお店があったんだね」
そう普通の人には解らない、だが知ってる人は知っている店なのだ!
「じゃあ中に入ろう」
僕は扉を開け彼女を先に入らせた。
彼女が店に入ると足が止まった。
初めての人はいつも驚く、外見とのあまりのギャップに驚く。
僕は彼女の手を取りいつもの席に座った。
「どう?ここのお店気に入って貰えた?」
僕は恐る恐る彼女に聞いてみた。
「ハイ、全然見た目と違うから驚いちゃった!」
彼女はまだ店内を見回している。
知ってる人があまりいないって事は、客があまり入らないって事に結びつく。
その分静かで、ゆっくりできる。
店内も落ち着きのある感じで鼻をつくコーヒーの香りがまたたまらない。
「よかったーもしかしたらこんなお店嫌いって言われたらどうしようかなって思ってたんだ!
「あっそう言えばまだ僕の名前教えて無いね、
僕から自己紹介するね、
僕の名前は、高崎 京って言います。よろしく」
ここぞと言う時に自分から自己紹介した。
「あ、私 片瀬 彩といいます、よろしくお願いします」
彼女も自分の名前を僕に教えてくれたが、ここで嫌な沈黙が僕達を襲った。
当然の事だけど、何を話していいのかわからない。
たぶん彼女も同じだ。
「あ、そうだ、ここのコーヒーとビスケットパンが美味しいんだ。
買って来るね、待ってて」
僕は、急いでカウンターに歩いてった。
「あ、店長」
カウンターに立っていたのは僕と仲のいい店長が立っていた。
「どうしたんだい、そんなに、急いで?
そう言えば、君が女の子連れてここのお店に来るのって初めてだな」
店長は笑いながら慌てている自分を見ていた。
「笑わなくたっていいじゃないですか!僕だって青春くらいしたっていいじゃないですか」
「青春ってクサイなー、若い君が青春って言葉言うなんて」
青春って言う言葉に店長は笑いが止まらなくなっていた。
「もう、そんなこといいから店長、一番高くて美味しいコーヒとビスケット頂戴」
僕は早く店長の前から離れたく注文した。
「分った分った待ってな、彼女もビックリするようなコーヒ入れてやるから」
そう言うと店長はコーヒを入れ出した。
「ハイよ」
僕の前にいい香りのするコーヒと出来たてのビスケットが用意された。
「店長いくら?」
「いらないよ!」
「ハ?」
僕は、一瞬店長が何を言ってんだか分らなかった。
「え、ただでいいって事?」
「ああ、君の青春の為に!」
そういうとまた笑い出した。
「また何で笑うんだよ、じゃあ貰っていくよ」
僕はコーヒを溢さないように急ぐ足を抑え彼女の座っているテーブルに向かった。
「ん!」
僕はテーブルに座って目を瞑っている彩がいた。
一体何をしているのか僕には分らなかった。
「お待たせー」
僕がテーブルについても彩はまだ目を瞑っていた。
「どうしたの!大丈夫!?」
僕はどうしたらいいのか分らなかった。
気付いたらいつの間にか彼女の方を掴んで揺すっていた。
「あ!、ごめんなさい」
南は少し驚きながらあやまってきた。
「一体どうしたの?」
どうして目を瞑っていたのか聞いてみた。
「ナイショ!」
彩は口の前に人差し指を置いてそう言う。
「えー教えてよ−−」
ナイショにされると余計知りたくなってしまう。
「今度教えてあげるね!」
僕はふてくされていた。
「しょうがない、教えてくれるその時が来たら教えてよ」
「うん」
少しうつむきながら彩は頷いてみせた。
まさか彩にとってその行動の意味があんなにも大きな事だったなんて、今の僕には知る由もなかった。
【第二部へ続く…】