あしゅから元気!

書いた人:しおしお


「あしゅかちゃんとサンタさん」の巻

 ※この物語は『あしゅから元気!』を下敷きにしております。この話を読まれる前に『あしゅから元気!』本編を読んで戴ければ判りやすいです。

 

 

 世間では12月24日。
 そうクリスマスイブと呼ばれる日。
 ここ、第三新東京市にもクリスマス気分が街を包み込むわけなのです。
 しかし、外見小学低学年のアスカちゃんはドイツからやってきたアメリカ国籍のクォーター。

 アスカちゃんとシンジくんは、一緒にクリスマスパーティーらしきものを催したあと、夜も深くなって来た頃、眠りにつく時間になりました。

 パジャマに着替えたアスカちゃんは、冷蔵庫の扉を開くと1リットル入りの牛乳パックを取り出しました。
 シンジ君がどうしたんだろうと見ていると、アスカちゃんはマグカップを用意して、牛乳を注ぎ始めました。

「アスカ。寝る前の水分はだめだよ」
「違うの〜。これはサンタさんの分なの〜」

 サンタ?
 サンタって、あのサンタだよね…。

 シンジくんは首をかしげアスカちゃんを見やる。
 するとアスカちゃんはどこから取り出してきたのか、クッキーが入った缶を持ってきていた。
 皿にクッキーを並べると、満足した様子でアスカちゃんはウンウンとうなずいた。

「あのね。あのね。これはサンタさんがプレゼントを配って回っているときに疲れを癒すために置いておくんだよ〜」
「え? そうなの?」
「うん! 朝にはサンタさんが食べ散らかしてるんだよ〜」

 アスカの説明によると、クッキーと牛乳を用意しておく習慣があると言うことだった。
 うーん。サンタさんを信じてるなんてアスカらしいな。

 

 そして、アスカちゃんが寝てしまってから少したって、シンジくんは目を覚ますと、リビングにやってきました。
 シンジくんはリビングでクッキーと牛乳がそのまま入っているマグカップを見やりました。

 勝手に減るなんてことは無いよね。
 やっぱりアスカのためにも僕が飲んでおかないとダメなんだよね…。

 シンジくんはマグカップを飲もうと手を伸ばしたとき、窓がひとりでに開いていく音を聞いた。

「ん? ちゃんと締めたはずだよね?」

 ベランダの方向をみやると、薄暗い中、人影が見えた。

 え…。まさか本当にサンタさん?
 ミサトさんがそんな気を利かせるなんて思えないし…。

 酷い言われようである。

 人影は一歩一歩踏みしめるように部屋に入ってきた。
 シンジは暗闇に目が慣れてきたのか、人影のボディが赤い事に気がつき始めた。

 ボディが赤い…。
 本当にサンタさん…?
 ま、まさかぁ。

 そして、人影がハッキリ判ったときシンジくんは思わず大きな声をあげてしまった。

「なんでエヴァ弐号機!!」

 そう、窓から入ってきたのは赤いボディのエヴァンゲリオン弐号機だったのです。

 ちょ、ちょっと待って。幾らなんでもそれは無いよ。無い。
 エヴァ弐号機がここにいること自体おかしいし。
 なにより、なんで人間サイズ?!

 シンジくんの疑問をよそに弐号機はリビングに置かれたマグカップを掴むと、牛乳を一気に飲み干し、クッキーを掴むとバリバリと食べ始めました。

 ま…。まさかエヴァ弐号機がサンタの代わりをしようとしているのか。
 あ…、でもさっき大きな声を出したからアスカに気が付かれるかも。

「うにゅー」

 シンジくんの嫌な予感は的中し、目をこすりながらアスカちゃんがリビングにやってきてしまった。

「ア、アスカ…」
「うにゅにゅ…」

 二人とエヴァ弐号機の間に気まずい雰囲気が流れる。
 と言うか、エヴァ弐号機に人を気遣うことが出来るかどうか別にして、アスカちゃんがどう言う行動をとるのだろうかと、シンジくんは様子を見守る事にしました。

「うにゅ〜。サンタさん?」

 アスカの問いかけにエヴァ弐号機は大きくうなずいた。
 ちょっと待ってよ。それでアスカが納得するわけがないよ…。

「やったー。サンタさんが来てくれたの〜」

 眠そうな様子のアスカちゃんでしたが、ぴょんぴょんと飛び跳ねました。
 アスカちゃんの目には、エヴァ弐号機ではなく、本当にサンタさんの姿が見えているのでしょうか。

 

 こ…。これは夢だよね。
 でも夢落ちはダメだって誰かが言ってた気がする…。
 だけど、夢落ちにしてほしい…。

 シンジくんの意識はそこで途切れた。
 アスカちゃんとエヴァ弐号機は一体どうなったのか。

 

 

 

「だから、夢落ちはダメなんだって!」

 シンジくんは大声でベッドから飛び上がるように身体を起こした。
 周りを見回すと、となりにはすやすや眠っているアスカちゃんの姿が見えました。

 うわ…。本当に夢落ちになってしまってる。

 そう思いながらシンジくんは部屋からでると顔を洗おうとリビングを抜けようとした。
 そこで見てはいけないものをみてしまう。
 リビングに置かれたテーブルの上には飲み干されたマグカップと食べ散らかされたクッキーの残骸が目に入った。

 ……。
 え?
 本当に起きた…?

 シンジくんは頭の中が混乱していた。
 そんな12月25日の早朝の出来事でした。

 

 

<おしまい>

 

 おまけ。

 ネルフ本部司令部はクリスマス気分はどこへやら、朝から慌ただしい雰囲気を見せていた。
 マヤは何度もデータを見直していた。
 そしてリツコに恐る恐る話しかける。

「あの…。せ、先輩」
「見なかった。これは見なかったことにしましょう…」
「ですよね。エヴァ弐号機が10分ほどロストしたなんて誰も信じてくれないですよね…」

 なんてやり取りがあったとか。

 

<本当におしまい>


 単発小劇場のような軽いノリのお話です。
 本編とは関係は……無いかもです。

(2009年12月25日発表)

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