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日々の読書
毎日読んでる本をさくっと批評!!随時更新?

第3回 「ジャンプ」+「完全失踪マニュアル」


  もしもあなたの身近なひと、家族や恋人が突然いなくなったら?
 しかもあなたになにも告げずに・・・そんな「失踪」をテーマにした小説がこの『ジャンプ』だ。
 主人公はごく普通のサラリーマン。毎朝かかさずリンゴを食べる習慣がある彼のために
 コンビニに行く恋人。往復5分もかからない道のり。だが、それが彼女をみた最後の姿だった。
 
 話はこうして失踪してしまった恋人の行方を主人公が恋人の家族とともに探すことで展開してゆく。
 ただし、主人公の独白という一人称で語られているためサスペンス色はほとんどなく、むしろそこが
 なにがなんだかわからないまま巻き込まれていく主人公の困惑ぶりにリアリティを加えている。

 話が話しだけに何を書いてもネタばらしになりそうだが、あえて感想を書くとすれば、他人がなにを
 考えてるかはその当人にしかわからない、ということだ。そしてできることなら他人の仮面をあばかない
 ことが人間関係をうまくやるコツなのだろう。
あなたは今横にいる人のことがほんとにわかっていると断言できますか?




   じゃあ、上の本を読んで「俺(わたし)も失踪しようかな〜失踪ってラヴ」と思った人はこれ。
 元探偵さんだった著者が下はプチ家出から上は永久失踪までどーんと解説しております。
 まぁ、「どこかに行きて〜」ってゆう欲求はだれしももっているものだし、大抵の人はそれを
 「旅」という比較的健全な手段で発散しているので、別に失踪する必要はないと思いますけど。
 だけれどカードローンや犯罪などでほんとに身分を消さなければならない人もいることでしょう。
 そんな人にはこの本はかなりお奨め。
 普段我々が身分証明書や運転免許書がいかにたやすく他人に利用され、容易に当人に
 なりすますことが可能かがわかります。やばいね。
 (ちなみに「どこかに逝きて〜」って人は『完全自殺マニュアル』読んでください。)



第2回 「スティンガー」の巻

 <あらすじ>
 テキサスのさびれた鉱山町・インフェルノ。
 そこは白人系の「背教者団」とプエルトリコ系の
 「ガラガラ蛇一族」が橋を挟んで対立する辺境の
 町だった。昨日までは。
 この町に墜落した異星人「ダウフィン」を追って
 ハンター・「スティンガー」が来襲したのである。
 対決か降伏か。
 町の少女・スティービーに憑依したダウフィンを
 を巡り、人間VS宇宙人の戦いの火蓋はきって
 おとされた!!インフェルノの最も長い一日が
 はじまろうとしている・・・


           とにかく登場人物がみんなかっこいい!!かっこいいといってもスーパーヒーロー的な
          かっこよさではない。登場人物はギャング(といってもチーマー)のヘッドのにいちゃんや
          そのダメ親父、神父や保険外交員、はては用務員といったごく普通の人ビトばかり。
          だけど、そんな人々が異星人の襲撃という危機に陥った時にみせる勇敢さ、町全体が
          とてつもなく巨大な恐怖にさらされつつも、町を守るため他人を救うため立ち向かっていく
          高潔さがなんともいえず心地良い。

           海外の小説はとっつきにくいという人は多い。その理由のひとつに登場人物が多すぎ、
          かつ外国人であるために名前が覚えにくい、というものがあるだろう。この小説も多くの
          キャラクターが登場するが、無駄な人物はひとりもいない。みんなそれぞれの役割を果た
          している。これは簡単そうでなかなか難しいことで、同じ作者の別の作品をみても必ず
          一人か二人は活躍しきれていないキャラがいるが常なのだが、この話においてはピタリと
          登場人物が話に収まっている感がある。

           また、ひとつの物語の中にいろいろな要素を入れているのも特色だろう。
          本筋の侵略SFの他に青春小説、パニック小説等にも読める。こうした縦線・横線の複雑な
          処理を見事にこなしているため、読後まるで壮大なRPGゲームを解いたような気分にさせ
          られる。なのでRPG好きな方、また良質なハリウッド映画を見たい方にはかなりおすすめ。

          P.S この解説を読むとずいぶん使い古されたテーマのコテコテな小説だと思われるかもしれ
             ないが、本書はそんなところは微塵も無い。ダサくならないのはひとえに作者(訳者も)
             の文章のうまさゆえだと思う。
              
              作者:Robert R.McCammon(ロバート.R.マキャモン)
              訳者:白石 朗
              出版社:扶桑社(扶桑社ミステリ−文庫)
              ISBN4-594-00697-3

              


第1回 「TOKYO STYLE」の巻

   「TOKYO STYLE」は東京に住む一般の人々の部屋を作者が2年間の取材の
  中で撮り集めた写真集である。
   「和風」という変にインプリンティングされたイメージではなく、本来我々が生活
  している「東京」という街の現実のライフスタイルを伝達することが主な目的だ。
   
   小説をメインにおいたコラムを作っていこうとしているのに第一回目にこの本を
  題材としたのは、単に現在所持している本(漫画を含む)の中でもっともお気入りの
  本だからである。最初に購入したのは文庫版だが、もとのでっかい写真集から
  削られている部分があるのでわざわざ写真集の方をまた購入してしまったほど
  なのだ(つまり2冊持っている)。
   いったいこの本の魅力とは何だろうか。
   先に断っておくが他人の部屋をこっそり覗くような背徳的な喜びの感覚は全く
          無い。それよりもいったことのない場所なのに友達の家に遊びに行ったときに感じるある種
          の居心地の良さを感じてしまう。何回も読み直しているからだろうか。
           この本を手に取った人はみんなきっと部屋に住んでいる人物をあれこれ想像することとと
          思う。なぜかといえば写っているのは部屋だけで、住人は誰ひとりとして登場しないからだ。
          それなのに生活感を非常に感じるのが不思議だ。おそらく写真の中に写っている道具や
          内装ひとつひとつにそれを所持する人間の気配を強く感じるためだろう。そんな品々をみて
          「あっこの食器欲しい。どこで買ったのかな」「このジーンズはやばいね。俺なら絶対はか
          ない」「障子はやっぱいいな。次は和風の部屋にすみたい」・・・
          こんなかんじの想像力を掻き立てることができるのがこの本の魅力であるのかもしれない。
           
            ちなみに同じく人間が全く写っていない写真集として「TOKYO NOBOBY」を所持してる
          が、共通点は「人がいない」そのことだけで全く逆のコンセプトを持っているのがおもしろい。
           いづれはこの場で比較してみようと思う。

            この本はインテリアの本ではないので、内装の参考にはあまりならないが、新しい生活
           のイメージを得るための役には立つと思う。ちなみに僕はこの本に刺激され、親元から現
           在住んでいるところに引っ越した。なので、これから一人暮らしをしようと考えている人や、
           すでにしているが生活を変えたいと考えている人にはきっといい影響を与えるであろう、
           おすすめの一冊。

              作者:都築 響一
              出版社:京都書院(文庫版は京都書院アーツコレクション)
              ISBN4-7636-1510-6