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南方大道(みなみかた ひろみち)第四話

昼休みが終わる頃、こっそりと教室に帰った僕は山田君からこう伝えられた。


「時間内に帰って来なかったから、大道の負けだニャー(当時のまま)」


そういう事は先に言えよ。

というか、知らない間に新ルールを作るな。

そして、語尾がむかつく。


それを汚い策略と言えない事はないが負けは負け。

僕は潔く大きく頷き、皆の英雄を見る視線の中で立ちあがって


「OK、とりあえず捕獲してみますか!」

とは言わずに、机にうつぶせで必死にしがみつき


「嫌だ、NO、お断り!バーカ、バーカ」


と皆のブーイングの中で、言い張っていた。


こっちは一度あのパンチを食らっているのだ。

死にたくない。

そんな中、ずれた眼鏡を上げながら石田君が言った。


「ひょっとして、大道はチキン(腰抜け)野郎じゃないのか?」

ざわめく教室内。

誰か一人から唐突に始まるチキンコール。

こういう時の皆は最高に馬鹿な笑顔で、素晴らしいチームワークを見せる。


「チキン!チキン!チキン、ツィッキーン!」

カチーン。思考力ゼロ。


「アスタ・ラ・ビスタ・ベイベー!(地獄で会おうぜ、ベイビー)」


そう言い放ち、僕は吹っ切れた。


続く。