<そして誰もいなくなった>

はっと一息へ とっぷへ

相変わらず諭吉君は、付き合いが悪い(困
月のはじめに一応、挨拶にくるもののいかにも
よそよそしい。所詮仮の宿さ、そんな気持ちが伝わって
こないでもない。私の無駄に長い人生経験からいえば
諭吉君は本当は寂しがり屋である。どうも百人集まって
むれているのが好きらしい。もっとも実際に群れている
ところを見たことないのでうわさに過ぎないのだが。(哀
だから挨拶をするとすぐ仲間たちのもとへ旅立ちます。
名残惜しい、そんな私の気持ちをさっしてか、諭吉君は
たいがい私の代わりに・・・といって部下の漱石君を
9人くらいのこしていってくれます。
でもこの漱石君は実に陰険なやつだったりします。
最初は9人もいた漱石君ですが、挨拶もなしに一人づつ
ひっそりと逃げてゆきます。9人・・・8人・・・7人
・・・6人・・ついに5人になりました。
さてここまで来て残された5人の漱石君たちは慌てはじ
めます。いくら金銭感覚のとぼしい奴でも、これ以上い
なくなっては気付くだろう?そんな気になるからです。
「だいじょぶ、だいじょぶ、こいつ思った以上に馬鹿だぜ。」
としわくちゃ漱石。
「でも、さあ、もともと諭吉のやつがわるいんだよなあ」
とピン札漱石。
「そうだよなあ、勝手にどっかいきやがって」
といったのは偽札漱石
「大体、諭吉の方がえらいって誰が決めたんだよ
俺一人でも諭吉の変わりくらい務まるって」
とツヨキャラ漱石が開き直ります。
「じゃあ、お前に頑張れよ」と言い残して
4人は去ってしまいました。

で、残されたツヨキャラ漱石君はじめは大言壮語の手前
必死に耐えるのですが、最後にこう言い残して去ってし
まいます。
「だって、お腹すいたんだモン。」

・・・・でも、いなくなってよかったです。
最近のお札は食費がかかるからねえ。