二、はじめての絵本(満三ヶ月)
『ママだいすき』
▼なぜこんなに早い時期に絵本を与えようということになったのでしょうか
満三ヶ月というのは赤ちゃんの発達上でも一つの節にあたります。首がすわることもその一つです。泣き方一つとっても甘え、怒りの感情をこめて表現しますし、目も母親をじっと見つめて何か訴えかけるようにも見えます。そのことは、ほかならぬ私のおかあさんという捉え方ができるようになった最初の段階と言えるでしょう。母親に対して「アーイ、アーイ」とよくおしゃべりをし、声を立てて笑います。あやしてくれる人にも「ア、ア」とご機嫌で笑っています。また、一つのものを、いかにも観察しているかのようにじっと見つめています。はじめは自分の手の指でした。
典子の特徴は色の好みがはっきりしていることがあげられます。生後間もなく与えたおもちゃの五色の玉に手を伸ばし、握っているのは青い玉なのです。こんなに早く色がわかるのかと思いつつも、興味があるのなら絵本を買ってあげようと本屋に出かけたのが、この月に絵本を与えた単純な動機でした。
本屋で手にした観点は、作者、題名、小さな本、厚み、出版社などです。はじめて出会う本というキャッチフレーズのブルーナーの本にしようかと考えたり迷ったりしていた時、目に止まった本、それが『ママだいすき』だったのです。
▼どのようにして与えたか
子どもを膝に抱っこしてテーブルの上に本を立てました。
「のり子ちゃん、一緒にご本見ようね。これは何でしょうね。『ママだいすき』って本よ。これは、かばさん。つぎは何が出てくるかな。あら、とらさん。これはおかあさん、これは赤ちゃんね」というように、お話しながら絵を指でなぞったりしました。とても不思議そうにしています。ページをめくると典子が手を伸ばすので、開くときの動きに興味を持ったのかもしれません。「ママおいで―」という
P40・41のところを熱心に見ていたようです。その頃田無市立図書館が完成したのでかしだしけんを作成し『いないいないばあ』を借りました。(昭
50・8・27)この本はベッドに寝ている典子に「いないいないばあ」と言いながら「ばあ」で絵を見ましたが、まだ、この頃は絵本を積極的に与えようという気持ちがない時でした。くまさんのところを見せると笑ったので、「おや、くまさんが気に入ったらしい」と感じた程度です。
▼おもしろいということ<くりかえし>
笑うということも単なる笑いが何かおもしろいことがあったのか、まだまだはっきりしま せんが、反復という動作に興味を持つことが、つぎのことからわかります。おばあちゃんが、御茶をぐうっと飲みほし、湯飲みを顔から離した時、笑ったのです。(生後
111日目)そこで、もう一度湯飲みを口にあて、パッといって湯飲みを口から離すと、声を立てて笑います。この動作を繰り返すと大喜びです。さらに、お乳を飲んでいる時(生後117日目)ゴックン、ゴックンと飲んでいる口を急に乳首から離すと、私の顔を見てケタケタ笑うのです。これも何回も繰り返して楽しんでいます。このことから、繰り返しのおかしさは、隠れていたものが現れる時、いろいろな表情の変 化を伴って子どもの前に見えるからではないでしょうか。もう一つはおそらく、子どもなりに隠れているものを予想し、現れた時「あたった」という喜びを味わっているのではないかと考えました。それは『いないいないばあ』の本に通じるようで、興味を覚えます。


