文・写真 : 櫻子
櫻
子
詩
集








                ここにあります詩は すべて私のサイトで公開済みのものです
                雑・アート21に参加させていただいた折に
                サイトから一部の作品を抜粋し 詩集の形にまとめました
                そちらでは縦書きでの編集でしたが
                ここでは横書きで掲載しました
                [---]となっているものは無題です














----- 冬のうた -----





[ 一 ]





研ぎ澄まされた中天高く
凍えて懸かるセピアの月の
光の色は何故に
これほどまでに温かい



2001/01/12








[ 二 ]




今宵
やさしい声に導かれ
冬空に星を繋ぐ
涙がこぼれるのは
なぜだろう



2001/01/13








[ 三 ]




冬の陽に
きらきらと風花

この髪を飾るか
この胸で溶けるか

風という風もなし
ほんの溜息ひとつで

はらはらと  はらはらと・・・ 




2001/02/02








[ 四 ]




胸が痛くて
星空で泣いた
誰にも届かない
ちいさな声で


月の色は
幼稚園のいちばん奥の
古いピアノの鍵盤と同じで
触れてみたくて
手を伸ばしたら

消えた


消えたのは でも
月じゃなく
ピアノじゃなく
わたし

こんなに広い夜空にも
居場所なんて
なかったんだね



2001/02/09








[ 五 ]




月を追い
花を巡り
風を聞き
あなたを想う

その腕の深さを
その胸の熱さを
眼差しの静けさを
雪の中に想う



2001/02/18







[ 六 ]




放たれた銀の矢は
迷うことなく
遥かな嶺を目指し
夜空に弧を描く
天上の河を横切り
あなたの屋根に
星を降らせる




2001/02/24








[ 風邪薬 ]





厚地の毛布にくるまって
ジンジャーティーのカップで
両手を温めながら
時々 ちら と
枕元の電話を見る
5分チェックで繋いだままの
メール受信の音に耳を澄ます

熱が1度上がるたび
恋しさが深くなる




2001/01/15








[ 雨のち・・・ ]




インクブルーの哀しみ
やわらかく やわらかく
あなたが全部
吸い取ってくれたから

ほら ね!
青空になったでしょ?




2001/01/19








[ 花眠る日 ]




羽根のはたきで
数日の埃を落とされて
また一年を
窮屈な箱の館で


それでも ・・・・・
ねえ お雛さま


長い長い眠りのときも
光を得て目覚めるときも


ただひとり
心に決めたその人と
永遠に離れることなく



あなたは
やはり幸せなのですよね




2001/03/04








[ 逃げ道 ]




宿題はまだ終わらない
おそらくは永久に
なのにわたしは
ノートを胸にかかえたまま
星座を頼りに
深い森に分け入ろうとしている
心地良く甘い湧き水を
探しあてようとしている
泉の水を飲んだら最後
蔓草に手も足も絡めとられ
二度とは戻れないかもしれないのに




2001/03/25








[ 風待ち ]




真実の季節は
いつ訪れるのか


北風が消え去るとき
フローラの唇から
咲きこぼれる花々は
わたしの庭にも届くのだろうか


水の色はすでに
空の色より深いというのに




2001/04/03








[ 雨の前 ]




春摘み紅茶の封を切ろう

今日は曇り空

あなたの助けが必要




2001/06/06








[ 午後 ]




メレンゲを焼き上げる

ただわたしの口の中で

泡の姿に戻すそれだけのために

甘い熱気を

湿った空に逃がす




2001/06/06








[ 潜 ]




蜜の声に融けていっても

脳幹のどこかが怯えている

それがゆっくり

小指の先にまで伝えられて

ひっそりと震え出すのを

ずいぶん前から知っていたことのように

遠く眺めている





2001/06/14





[---]




この嵐の空にも 
星は輝いている
ただこの目に
見えないだけで
厚い雨雲の向うから
確かに光を
投げかけている


今夜 あなたの空は
どんなだろうか




2000/12/31







[---]




森に逢いたくて
木霊に懐かれたくて
山に見守られたくて

身体中の細胞が
さわさわと声を上げている

見慣れた風景に癒されることもある
見知らぬ風景が必要なときもある


今 わたしの耳は
遠い風の音を聴きたがっている




2000/12/29








[---]




やりきれない気持ちの夜
家中の鍋を磨く
見た目が変ることは無い
汚れを洗うわけではないのだから

それでも ------

隅々まで丁寧にスポンジを使い
最後に熱いお湯をかけ
おろしたての真っ白な布巾で
水滴の跡が残らぬように
一心に拭き上げると
さっきまでとは
何かが違うような

そんな錯覚を抱くことができる





2001/01/04








[---]




今夜は
ウォーホールのMAMAのように
赤と白の缶を開けて
Milkでのばして
火にかけて

ライ麦パンと
サラダがすこし
わたしはこれで幸せだけど
あなたがいたら
叱られるかな・・・?




2001/01/16








[余韻]




ときどきね
気づくの


この指先に 掌に
消えることのない
感覚があるの


---- 余韻 ----


そう呼んでも
いいのかもしれない
きっとね


その髪の毛の
信じられないほどの
柔らかさとか
閉じた瞼の上から触れた
眼球の丸みとか


あるいは
頬骨のカーヴとか
すこしひんやりとした
肌の感触とか


それから
わたしの右手に重ねた
その左手の温かさ
力強さ


それから



それから --------




2001/01/28








[---]




ふと気づくと
しきりに髪の毛をいじっている
いつも母さんに叱られた
子供のころからの悪い癖


右手の中指にクルクルと
巻きつけては ほどき
また巻きつけて


考えごとをしている時の
わたしの悪い癖
誰か叱ってくれないかな・・・




2001/02/26








[粧]




どこか気恥ずかしいけれど
殆んどいじったことのない
眉の形を整えてみる
1ミリでもいい
綺麗になりたい




2001/03/03








[---]




哀しみと 
       哀しみを

あなたと
       わたしで

机の上に
       持ち寄ってみても

哀しみに
       変りはないけれど

あなたも
       苦しかったのね

おまえも
       辛かったんだね

そうして
       解り合えたなら

ひとつの 
       やさしい気持ちと
 
ひとつの
       強いこころが
   

生まれていたのかもしれないね

たまに取りかえっこしてみたりしてね



2001/04/18







お読みいただき ありがとうございました
あまり更新していないサイトですが
よろしければお立寄りいただき
掲示板にひとこと いただけると幸いです


櫻子













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