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047:ジャックナイフ 気違い、と少女は男に向かって云った。男は黙っている。否定するべきではない。出来ないとも思う。黙ったまま少女の金の目をぼんやり見上げた(つまり男は無気力さながら腰を付いていて少女はそれを見下ろしている。)少女の目は相変わらず無慈悲且つ無感動で、特別な感情は何も灯しておらず、男はそれに安堵し、しかし同時に落胆しながらゆっくり頭を下ろす。犠牲であると同時に断罪者である少女が云うのだから恐らくそれが真実なのだろう。己と少女のことに関して男は全くの無能であったから素直にそう信じた。そうして、今目の先にある物を視線だけでなどる。其処には既に少女の蜂蜜色の髪はなくて、只床に最も近い場所に己の両手首があった。血が通う色をして膨らんでいる醜い線状の跡が幾重にか走っている。一瞬正体を解しかねた。そしてすぐ、己の愚鈍さを唇だけで嘲った。知っているはずだ。自分で刻んだ無知と利己と背徳の証であるのだから。少し視線を前へずらすと少女の白い足が視界に映る。靴はない。当たり前だった。奪ったのは男だ。裸足の足は微動だにせず、それだけで自分が手首の証を決定的なものにしない理由足り得ると男は思うのだ。つまり男は救いようがない程利己的で、信じられないほど哀れな存在だった。それを理解しているのは少女だけで、しかしやはり無機質な金の瞳の上には同情は勿論のこと軽蔑すら浮かぶことはない。それほど少女は寛大ではなかったし、またそうある気もなかった。只薄紅色の幼い唇がもう一度、気違い、と言葉を落とした。 ☆わぁ短い。受験に向かう新幹線の中で携帯にポチポチうった物。因みに監禁ものだったりしますが、誰か解ります・・・? 友人に見せてみたら「ええと好きで好きでだからうっかり監禁して強姦しちゃってそしたら軽蔑されて何かどうしようもなくなって自傷行為に走ったら更に軽蔑されたところ?」と言われました。よしそれで行こう(行くのか)。けど最後は軽蔑すらされてません。 |