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055:砂礫王国 手を伸ばして届くと信じ それが空を切ったときは じめて失った物を理解し 声を上げて泣き叫ぶ (まだ追い付けると思った) (不可解な自信) (だって笑ってたんだ) (その先の軌跡) そうして捕らえた物は砂礫でしかなくそれすら手の間から消えていく ―――嘘、つきましょうか?救われるなら。 ―――まだ間に合うと笑ってくれ。 振り返って何もなくて、道すら見えずに、引き返せや しないなんて最初から分かっていたくせに、遠くに見 える影を追って思わず歩を踏み出し、その瞬間消え 失 せ、とうとう一人になり、ああ、と息を吐く。 ―――全部忘れたら楽でしょう? 暗い。 どうしても見えないんだ。 縋り付く手を探して見廻す 白い幼い腕を見たような気がして 分かってるくせに、安堵して微笑む ああ、そこにいたのか。 (空を切る腕) 暗闇だけだった。 只、それだけの話。 |