『潮騒』
絶え間なく打ち寄せる波に時々足を取られそうになる
真冬の潮風はその冷たさでほおを突き刺す
僕は冬の波打ち際に一人立ち、ふと目を閉じる
終わってしまったことへの感傷や失った人への追憶が
水に濡れた衣服のように、僕の心にまとわりつく
冷たく重い衣服を肌から離そうとしても
それはただの徒労に終わる
さようなら・・・
最後の君は少し寂しげに微笑みながら
思い切るように僕にその言葉を告げた
あれからずっと
僕はその言葉のもたらした結果にばかり心を痛め
時を止めてしまっていた
僕はようやく分かった気がする
僕が考えるべきだったことは
切り取られた断片なのではなく
それに至る過程だということを
君がなぜ、僕に別れを告げたのか
どれほど君の心が傷つけられていたのか
寂しげに微笑みながら、君がさよならを告げたこと・・・
目を閉じた僕のどこか遠くで
潮騒がいつまでも鳴り響いていた
『祈り』
このせつなが永遠になるのであれば僕は何を捨てても後悔しないだろう
『僕の許せないこと』
君の傲慢さ つまらないプライド
自己保身のための嘘 他人への無理解
君のその全てを、僕は許すことができない
だけど、一番許せないのはそんな君に惹かれ続ける僕自身
『マッチ箱の未来』
願うことでかなえることのできなかった僕の未来は
他人から見れば とてもささやかで
何の価値もないものかもしれない
僕はそれを狂おしいほどに求め続けた
マッチ箱ほどの大きさのそこに
いくつもの想い いくつもの出会い
与えられるかぎりの時間を詰め込んだ
もしも
僕が一生をかけてそれを求めるのならば
その箱を開くことができるのだろうか
その想いを抱きながらも
僕は今日も無意味な日々を過ごしつづける・・・
遠くなる後ろ姿
―――きっと君は振り返らない
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