月夜とダガーとネックレス //
友達ちいやからいただきました。すばらしい作品です。
『砂漠の宮殿』と『ネックレス』がキーワードとして含まれてます。
私もこんな風に上手くなりたいものです。

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その数年後、ガラシムはある小さな取引が大きな被害を呼び、多額の借金に追われ、業を煮やした乱世に飲まれ一生を遂げたという知らせが国中に広まった。
そして―――
少女は、村の中を走っていた。
まだ、十に満たないほどに幼いが、黒い瞳はりんと強い輝きを持っていた。
理由はある。
村の一角にある自分の家により早く向かうためだ。
「父さん、母さん!」
扉を開け放ち叫ぶ。
その間も走りっぱなしだ。
「なに?どうかしたの?」
平民離れした美しさは今も変わらないまま、少女の母は訊ねた。
どうやら、お昼の準備をしていたらしい。
弾んだ声で少女は母親に駆け寄った。
「うちの果物畑でね、遊んでて、ほら。」
少女はキラキラしたまま母親に手を広げて小さな石を見せた。
「すっごく綺麗なの出てきたのー」
「あらほんと」
母親もニッコリとする。
だが、少女は少し残念に思った。
母親が思ったより驚いてくれないからだ。
少女の目は次に父親を探した。
「ねぇ、父さん〜。ほら、綺麗でしょー?」
「ん?ああそれか。―――綺麗だね。俺はこれでも昔宝石職人やってたから見る目あるほうだけど。いい石だ。大切に持ってなさい」
「えー?父さん宝石のお仕事昔してたの?はじめてきいた」
母親が、食卓に料理を運びながら、こちらの話に加わる。
「父さんね。私と結婚した時にやめちゃったのよねぇ?」
少女は口を尖らせた。
「何でやめちゃったのぉ?宝石って綺麗なんでしょー?」
父親は困ったようにひげをさすると、席を立って、彼の妻の頬にキスをした。
「宝石より大切なものを見つけたんだ」

                            おわり
                                                     

どうでしたか?
この他にも面白い作品があるので ◆The disciple of sorcerer◆魔法使いの弟子に行ってみてくださいな。
                                                           
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