diary
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2001/09/24 生きていくのが大変な人
 TOPのカウンターが500を越えました。ありがとうございます。地味なテキストサイトですが、これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

 今、かなり疲労困憊しています。会社の後輩が一人退職した為、しわ寄せで毎日毎日駆けずり回っています。もう身も心もボロボロ。
 辞めていった後輩は、今年の新入社員のKさん(22歳)。Kさんは夏頃から会社を休みがちでした。理由は主に体調不良。
 Kさんはとても温和で優しい男性です。物腰柔らかで、少し無口で、いかなる時も回りの人達への気配りを忘れない。誰からも好かれていたKさん。任された仕事は責任感と情熱をもって完璧にやり遂げていました。Kさんの教育係を任じられた私も、「若いのによく出来た人だなあ」と感心していました。
 仕事も順調、人間関係も良好。でも、Kさんの頭痛や腹痛の原因は「会社」でした。
 Kさんが頻繁に会社を休み始めた時、何かの病気を患っているのかと思いました。
 Kさんが会社に欠勤を申し出る時、必ず私宛に電話を掛けてきます。
 「白河さん、申し訳ないのですが、熱が下がらないので今日はお休みさせてください」
 「わかった。でも、欠勤や遅刻の連絡は直接課長に言った方がいいよ」
 何度そう言っても、Kさんは相変わらず私に欠勤する旨を伝えてきます。私の方も、課長や部長にKさんの欠勤を報告するたびに、”またか”と嫌な顔されるのでたまったものじゃありません。
 「白河さん、済みませんが具合が悪いので、今日はお休みします」
 「どうにか頑張れないのか?早退しても良いから、来るだけ来なさい。欠勤が多すぎると給料が減るし、査定にだって響くよ」
 私が少しきつめにKさんの出勤を諌めるようになった頃には、既に度重なる欠勤の為にKさんの評判はガタ落ちで、上層部では彼の解雇をほのめかす意見も出ていました。
 欠勤さえなければ彼は優秀な同僚です。宥めたりすかしたり、色々な手を使って私は彼の欠勤癖を改めさせようとしました。
 「心配をお掛けして申し訳ございません。頑張ります。ありがとうございます」
 笑顔で、礼儀正しく彼は礼を言います。でも、営業会議の為にKさんと私で資料を作り、打ち合わせをして、プレゼンの時の役割分担を決めて、いよいよ会議当日という日にKさんはあっさり病欠します。私の期待を裏切った後ろめたさがあるのか、こういう時は事務の女の子に欠勤の電話を掛けてきます。
 気づいた事があります。Kさんは人から悪意を向けられる事に弱いのです。冷たい目で見られたり、叱られたりすると、うじうじといつまでも気に病んでいます。人の顔色を伺って、そこに自分への非難や軽蔑が含まれているのを感じると異常に動揺してしまうのです。頭の回転は速いし、人当たりもいい、好青年そのものなのに、致命的に心が弱いのです。
 彼は退職届を出しました。無断欠勤が続いた後、郵送で届いた退職届に皆唖然としました。私は腹立たしさでやり切れず、彼の自宅に電話しました。彼は両親と同居しています。電話には彼のお父さんが出ました。どうにかお願いしてKさんを電話口まで連れてきてもらったのですが、
 「もう辞めたんだから関係ないでしょう。ちゃんと退職届も出したんだからいいじゃないですか。電話、掛けてこないでくださいよ。ほっといてください」
 と一方的に電話を切られてしまいました。まるで、会社でひどいイジメに合ったか、雑巾のようにこき使われて退職に追い込まれてしまったような言い草でした。呆気に取られました。傷つけられた被害者面するKさん。
 私に、笑顔で「頑張ります!」と答えたのは演技だったのか?
 明るく温和で誰からも好かれる仮面の下には、幼稚で自分勝手な本性が隠れていた。
 仮面を被り続けるのが辛くなったのか?本性がばれてしまったら、尻まくって逃げ出すのか?
 何だかやりきれない気分です。

 今、「カナンの才人」を書いています。
 近々お披露目したいです。

 うおー、何か暗いぞ−・・・。
 振られるわ、仕事はきついわ。人間、ついていない時ってこんなもんですよね。ははは。
 
2001/09/19 されど愛しい人々
 振られました。15日にあまりにバカな日記を書いたせいでしょうか。もちろん、別れのチュウなんかしませんでしたよ。穏便に別れたつもりですが、やっぱりギスギスした雰囲気でしたねぇ。相手に好きな人ができて、実は私にも別に思う人がいたので、まあ、当然の結果であったわけですが。お互いに別の人に恋をした時点で、心の中では完全に恋人同士を解消していたわけですが、それでも一回は「別れ話」っちゅうものをせなアカンのですね。

 きびしかったです。かなり。車の中で、私が「別れよう」って言って、相手が「うん」と頷く。なんなんだ、このジメーッと重苦しい湿った空気は!いいじゃないか、二人とももう好きな人がいるわけだし。どうして、「別れよっか。元気でな」「うん、じゃあね〜」って明るい雰囲気で別れられないんだ。こういうシリアスな状況が本当に苦手な私は、その場から走って逃げ出したかった。

 でも、その時はほとほと参りながらも、ふざけて場を和ませたり、ちゃっちゃと会話を切り上げて相手を車から放り出そうとは思わなかったんですよ。やっぱり、まだ好きなんですね。もうこれ以上一緒にいられないってわかっていて、なおかつ暗く深刻な会話しかできなくなっていても、別れがたい。1分でも一緒にいたい、顔を見ていたいと思う。未練たらたらです。別れを目の前にして、いっそのこと別れるのをやめちゃおうかって思う程、相手が愛しく思えてしまう。困ったものです。それは相手も同じようで、なかなか「さようなら」の一言を切り出さない。だらだらと思い出話を繰り返す。別れがたいけど、ド深刻な思い出話に付き合わされるのもシンドイ。こんな思いをして別れるなら、付き合わなきゃよかった。

 家に帰ってきて、一人で少し泣いてしまいました。ロマンチストですから。でも、1分で泣きやみましたよ。最近泣くことが多くて、これは社会人としていくらなんでもヤバいだろうって反省したばかりですから。
 浜崎とか聞くと、今ちょっとヤバいです。
 すれ違った人がCK Eliteとかつけていると、かなりヤバいです。
 色々な事で別れた相手を思い出して、ぐっと胸が詰まってしまう。
 弱いな、俺。
 まあいいさ。
 
 「どんなものにでも等しく時間は降りそそぎ、全てのものは時の海に沈んで朧になる。いつか取り出すその日まで」
 


2001/09/16 反則技
 遅れましたが、「彼女」の後半と、掌編「帰郷」をUPしました。
 「彼女」はすでにUPしてあった前半部分も書き直して再UP。ページ分けもだいぶ変えてしまいました。かなりの反則技です。申し訳ございません。直さずにはいられない個所がチラホラと・・・。
 「帰郷」は、またしても他の場所で書いたものを引っ張ってきました。暗めの話ばかりなので、ちょっと救いのあるものも載せてみようかと。


2001/09/15 さよなら日誌とロマンチスト
 例えば、ボールペン。ボールペンの失い方、どれが一番悲しいですか?
 1・心無い誰かに盗まれる。
 2・不注意でなくしてしまう。置き忘れてしまう。
 3・壊れる。もしくは最後までインクを使い果たして、捨てる。
 私はダントツで3です。
 今日、100円で買ったボールペンを使い切りました。いつもはどこかにやっちゃってオシマイなのですが、今回はちゃんと寿命をまっとうさせてやる事ができました。ところが、なかなか捨てられないのです。別れがたく、かといって筆箱に戻すわけにも行かず、しばらく手の中でもてあそんでいました。
 別れは苦手です。人も動物も物も。特に、”役目を果たして去っていくものとの別れ”っつうシチュエイションには滅法弱いです。更にその相手が”長年一緒にいたもの”だったり、”自分から別れを切り出す”という状態だったりすると、ナミダのツボ直撃です。
 たかが100円ボールペンを捨てられない自分が情けない。なんだかね、ボールペンと私で何かを成し遂げたような達成感と一体感を感じるんですよ。使い切っただけなのに。戦友との別れって感じです。小説だったら一番の泣き所ですが、登場人物がボールペンとサラリーマンじゃぁねえ・・・。
 そして私はいよいよボールペンを捨てる決心をしました。事務所にいたので、片隅のゴミ箱の前でこっそりと別れの儀式を済ませます。
 別れの儀式とは。さよならのチュウをして「ありがとう」と囁くのです。・・・ごめんなさい、俺はとてつもないロマンチストでかなりの変態です。
 ちなみに、キスといってももちろんディープキスではありません。ボールペンを咥えたりもしません。ちょん、と唇を触れさせるだけです(何にせよバカ間違いなしなのですが)。
 悲劇が起こりました。ゴミ箱脇のドアが開き、オバサン社員が入ってきたのです。慌てて口元に寄せていたボールペンをくるりと回転させて頬っぺたを掻く振りをする私。”考え事をしながら、ボールペンで頬っぺたを掻いていたんだよ〜”。頼む、そう思ってくれ。
 「何してんのさ。キス?」
 目を閉じてボールペンに口付ける私の姿を、オバサンはしっかり目撃していたのです。オバサンの冷たい一言に、「いやあ」と曖昧に笑うしかありませんでした。おかげでボールペンを捨てそびれてしまいました。机の引出しにしまってあります。明日、もう一度別れの儀式をやり直さなければ・・・。
 大きいものだと車やデスクトップパソコン、小さいものだと財布や文房具等。実にさまざまな相手と別れの儀式をしてきました。あ、でもシャンプーの空ボトルとか煙草の空き箱とはしません。一応基準があるのです。そういえば、恋人と別れの儀式をしたこともないです。キスしてありがとうって言える程綺麗な別れなんてそうそう無いですよね。一番巨大な物といえば、家。アパートの部屋を引き払う時、あたりを見渡して誰も見ていないのを確認すると、ドアにキスしました。バカ垂れです。
 恥をしのんでこんな事を書いたのは、もしかしたら「あ、なんとなくわかる!」って言ってくれる人がいるのではないかと期待したからです・・・。

2001/09/13 チョットマッテ、イマカンガエル
 11日の夜、寝そべってテレビの台風情報を見ていました。温泉旅行をブチ壊してくれた台風15号め。憎たらしいったらない。
 ふいにニュースのアナウンサーが「えー、只今大きなニュースが飛び込んできました」と、手渡された原稿をたどたどしく読み上げ始めました。テロ事件の第一報です。貿易センタービルが煙を噴いている映像が流れて、その後すぐにニュースは台風情報に戻りました。台風が通過した各地の様子が、現地中継を挟みながら伝えられ、その合間に「台風の情報の影に隠れてしまっていますが、先ほどお伝えしたニューヨークの事件は大変な事件なのですよ」と女性アナウンサーがコメントしました。「ほう、そうなのか」と私は台風情報が終わったテレビを消して、風呂場に向かいました。
 初めて貿易センタービルに飛行機が突っ込む映像を見た時、てっきりヘリとか小型飛行機が故障か操縦ミスでビルにぶつかってしてしまったのかと思いました。
 あれよあれよと言う間に、2機目が激突。ペンタゴンにも1機が墜落。そして、ツインタワーの崩落。
 風呂から上がり、好物のオロナミンCを片手にテレビをつけた私は度肝を抜かれました。次から次へと飛び込んでくる衝撃的な映像に、口を半開きにしたまま食い入っていました。なんじゃこりゃあ・・・。午前5時位までテレビに張り付いていたでしょうか。
  寝る直前、もう一度2機目の飛行機がビルに突っ込む映像が流れました。あれは旅客機で、中には民間人が乗っていて、ビルの中には何百人(その時点ではそう報道されていました)もの人が働いていて・・・。それらの情報を知った後に見た激突の映像に、体が震えました。頭の中は、「ちょっと待って、今考え中」と混乱状態なのですが、体は硬直してダラダラと涙が出ました。涙の原因が怒りなのか恐怖なのか、悲しみなのかすらもわかりませんでした。とにかく涙が止まらなくて、布団に入っても眠れず、結局起き出して出社までテレビを見ていました。
 あれから3日。色々な事を考えました。衝動に任せて、長々といくつかの文章を書きましたが、とても人様にお見せできない物ばかりです。何か見当違いな事を書いているような気がするのです。どれも薄っぺらな気がするのです。大きな勘違いの元に嘆き悲しみ、憤慨しているような。思い浮んだ事を言葉にするそばから安っぽい嘘になっていく、書いた本人ですら全く納得できない文章。しばらくは封印しておきます。読み返して書き直す事もしません。まわりの物書きさん達も、私と同じ思いをしている人が多いようです。
 「書けないよ、これは。書きたいけれど」
 それだけ衝撃的で深刻な出来事なのです。
 今はただ、犠牲者の方々のご冥福をお祈りします。

2001/09/11 台風温泉
 こんなときに箱根の温泉に行くなんて、お前は馬鹿ったれだ。何人の人にそう嘲られたでしょう。でも、仕方なかったんです。宿は予約してあるし、滅多に取れない連休ですし。行くしかない。
 とういう訳で1泊2日で箱根に温泉旅行に出かけて参りました。死ぬかと思った・・・。
 まず、往路の時点で散々な目に合いました。東名高速で箱根を目指したのですが、とにかくひどい風と雨。台風接近中なのですから当然なのですが。路面は水しぶきで白くけぶり、センターラインが全く見えません。前を走る車のテールランプだけを頼りに運転していました。すると、ふいに後ろからクラクションを鳴らされました。しかも、「ビーッ」と鳴らしっぱなし。どうやら私の車を追い抜きたいようで、盛んにパッシングや右ウィンカーを繰り返していますが、私のすぐ前には黒い軽自動車がいます。確かに私も「追い越し車線にいるくせに、前の黒い軽、遅いな・・・」とは思っていましたが。あんまりにもうるさくクラクションを鳴らすので、仕方なく私は左に車線変更しました。猛然と追い越していくデカいトラック。そして、黒い軽自動車のすぐ後ろにつけたトラックは、またもや「ビーーッ!」とクラクションを鳴らしっぱなしにし、ギリギリの車間距離で黒い軽自動車をあおりまくります。恐れていた事が起りました。ビビッた黒い軽自動車が急に私の車線に飛び込んできたのです。今ブレーキを踏んだら確実にスピンしてサヨナラだ・・・。必死にクラクションを押して加速を促しました。どうにか追突は免れたのですが、本気で死を覚悟しました。そのあと、そのトラックと並走する状態になった時、後部座席に座っていた友人がいきなり窓を全開にして「ゥウオオラァァァァァ!テメエ!ぶっ殺すぞ!!」とトラックに向かって吠えました。勘弁してくれよ・・・。
 温泉は最高でした。台風でキャンセルする宿泊客が続出し、浴場は貸しきり状態。浮かれた私は、泡風呂、打たせ湯、寝風呂、薬湯、サウナ、水風呂と、全裸で縦横無尽に風呂場を駆け回りました。鼻の穴全開でどっぷりと温泉に浸かり、上機嫌で友人とラルクやグレイを合唱する馬鹿な私・・・。なんせ外は暴風雨。観光にも行けず、とにかく温泉に入り浸りました。
 さてそろそろ夕飯の時間だと、風呂から上がろうとした時の事です。「頭ふらふらする・・・」友人が湯あたりを起こして洗い場にへたり込んでしまいました。ぐったりとした友人を引っ張ってどうにか脱衣所までは連れて来たのですが、「駄目だ〜」と脱衣所の床にマッパで大の字に寝そべる友人。一応股間にタオルを掛け、扇風機で風を送ってやったのですが、友人はなかなか回復せず、結局夕食も取らずに部屋に引き上げていきました。友人の彼女はマジギレし、「バッカじゃないの!」と友人を罵倒しながらも友人の刺身を平らげていました。
 帰路も色々と大変でした。なんせ、まさに台風真っ只中にチェックアウトしたのですから。東名高速、国道一号線等、付近を通る道路は朝のうちからことごとく通行止めになっていました。
 恐怖の箱根の山道。ただでさえ急勾配急カーブで、運転が下手糞な私にはかなりの難所なのに・・・。山を下ってきた大量の水がガケから噴き出して路面を打ち、滝の中を進むようなものでした。叩きつける風と路面の水にハンドルを取られ、ドリフト初体験。怖いの何の。おまけに折れた枝がところどころで道を塞いでいます。湯あたりを起こした友人は腹が減ったのか後部座席で温泉卵をむしゃむしゃと頬張っていました。挙句に食べ過ぎて「気持ち悪いから車を止めろ・・・」と言い出す始末。友人の彼女は本気で「置いていこう、こんな奴」とキレ、険悪になる車内。対向車が一台も来ないので、おかしいなあと思っていたら、やはり登り口の所で封鎖されていました。車両進入禁止のゲートのところに立っていたおじさんに「え、下ってきたんですか?がけ崩れとか、大丈夫でしたか?」と驚かれました。なんだかなあ。
 台風を追うように東京を目指しました。茶色い激流と化した川にのんきに歓声を上げる友人達。カメラマンである友人は「撮影するから車止めろ!」とまた無茶な事を言い出します。参りました。箱根越えをするトラックや一般者で、対抗車線は全然進まない大渋滞でした。箱根へ入る道は全部通行止めになっていたのです。おかげで、信号などで車を止める度に、対向車線に車を止めて下りてきたドライバーに窓を叩かれ、「箱根の方、どう?」と聞かれる始末。「駄目ですね」そう答えてあげる事しかできません。トラックの運転手さん等は諦めたのかハンドルに足を上げて爆睡していました。

 今、温泉に浸かって癒した分を上回る運転疲れでぐったりしています。まったく、トホホです。 

2001/09/04 穏やかな喧嘩
 今日は一日婦人服売場の売り子をしていました。ちなみに、私の仕事は婦人服とは1ミクロンの関わりもないのですが、「関連会社の取引先が参加する催事の手伝い」というわかったようなわからないような理由で、デパートの特設会場で催された「夏物大処分市」なるものに刈り出されました。商品や陳列棚の搬入などは主催者の指示に従っていればいいので楽でしたが、開店した後は本当に参りました。
 まず、開店と同時に雪崩れ込んでくるお客さん達の誘導。「走らないでくださーい」「危ないですよー」なんて叫んでいるそばから、突進してきたオバサンに突き飛ばされた挙句「ちっ」と舌打ちまでされる始末。
 会場を縦横無尽に駆け回る女性達に圧倒されながらも、一応、持ち場の婦人服売場に立ち、営業スマイル全開でお客さんのお相手を努めさせて頂きました。
 しかし、お客さんに「このシャツの色違い、ない?」と訊かれても、陳列ワゴンには満員電車並の密度で群がる女性の群。そこに突入して在庫を探し出すのは至難の技です。「このスカート、洗濯しても大丈夫?」って、そんなの私にはわからない。「これ頂くわ!」って服の束を押し付けられても、私はお会計係ではありません。まったくの役立たずで、出来る事といえば床に落ちた服を拾ったり、トイレやレジの位置を教える位。
 そして、一番の目玉、「タイムサービス」。午後2時と4時の2回、会場中央の巨大ワゴンに「激安特価品」が投げ込まれるのです。私はダンボールに詰められた洋服をワゴンに陳列する役を命じられました。これがまた大騒ぎ。タイムサービスのアナウンスが会場に流れるなり、ワゴンに殺到するお客さん達。私がワゴンの上でダンボールを開封するなり無数の手がダンボールに伸びてきて、中の洋服をつかみ出そうとします。「ああ、ああ・・・ちょっと・・・」と言う間にダンボールはひっくり返され、中身は全て掻きだされてしまいました。おそろしい。洋服を奪い合う女性達にもみくちゃにされながらも空ダンボールを抱えてようやく人ごみから脱出すると、ワゴンから少し離れたところではオバサンが正座した膝の上に洋服を山盛りにして物色しています。どうやらワゴンの中から洋服一山を抱えて離脱し、ゆっくりと吟味しているようです。その隣に別のオバサン3人組が立ち、「これいらないならちょうだいよ」「いいよ」とまるで友達同士のように服を分け合っています。
 騒ぎに誘われて寄ってきたお客さん達は、十重二十重の人垣に阻まれてとてもワゴンには近寄れません。しかし、”オバサン”はそんな事にはめげません。「ぎゃああああ」と絶叫しながら群の中に突っ込んでいきます。「いやあああ」「痛い〜!」と喚きながら人を押しのけ、強引に割り込むのです。”大混乱よ〜、大騒ぎよ〜、もう何がなんだかわからないわ〜!”という空気を強制的に作り出し、他人を押しのける理由にしているのでしょうが、傍から見れば大混乱なのは彼女だけです。まわりは冷ややかに彼女を睨んでいます。最近、オバサンの恐ろしさを思い知らされる事が多いです・・・。
 一回目のタイムサービスがようやく沈静に向かい始めた頃、「すみません・・・」と二人組の若い女性に声を掛けられました。「ハイ?」とにこやかに振り向くと、彼女達は二人とも困り果てた様子でお互いをちらちらと見ています。見ると、一人はスーツの上着、もう一人はスカートを持っています。一人がおずおずと「このジャケットとスカート、二つで一着なんです」と言い出しました。「?」でした。話を聞くと、なんとその上着とスカートはセットで4900円で、一つのハンガーに掛かっていたのを彼女達が同時に手に取り、一人は上着、もう一人はスカートを取ったというのです。二人は赤の他人で、もちろん二人とも上着とスカートをセットで買いたいのです。お互いに譲る気はさらさら無いらしく、解決策を求めて「係員」の腕章をつけた私に声を掛けたのですが・・・。
 どないせいっちゅうんじゃい。
 調べてみたところ、在庫はその一着のみです。
 「あの、ジャンケン、でお決めになってはいかがですか?」と間抜けに提案してみましたが、二人とも「ええー・・・」といった感じで牽制しあっています。不思議なことに、彼女達は直接会話しようとはしないんですね。私を中継して、「私が先に手に取った」だの「譲る気はない」だのと、至極穏便に意見を交わしています。和やか過ぎて逆に不気味です。唯一無二の解決策であるジャンケンの意見を却下された後は、私も途方にくれ、三人とも黙り込んでしまいました。
 「ジャンケンにしましょうよ」と再度切り出すと、彼女達は渋々了解しました。私が上着とスカートを預かり、「せーの、ジャンケンポン」と掛け声を掛けてあげました。勝負は一回目で決まり、買った女性にスーツを手渡しました。スーツを勝ち取った女性は、負けた女性に「・・・ありがとうございます。ごめんなさい」と丁寧に礼を言い、言われた女性も「いいんですよ」と笑顔で去っていきました。
 うーん、なんて礼儀正しい戦いなんだ。でも、ちょっと不気味だった・・・。


2001/09/01 汚い部屋への招待
 昨日、正確に言うと今日なので今日の日記に書きますが、novels1に「彼女」の前半部分をUPしました。
 これでようやく3つ目(いや、まだ2.5個かな)なのですが、見事に3つとも暗く重い話です。傍迷惑な話ですが、これらの話を書いていた当時は、「いかに強烈に人間の醜さや愚かさを書けるか」と言う事に腐心していたんですね。そういう部分をしつこく書き表す事で、現実の人間関係でのトラブルで受けるダメージを軽減しようとしていたのかもしれません。「常に最悪の事態を想定しておけ。いつかその時が来ても嘆き悲しまずにすむから」。そういう心理でした。
 匿名掲示板で書いた話ですから、全く読み手の事を考えていないんですね。良くも悪くも、素の自分で書きました。掃除もせずに、ゴミが散乱した汚い自宅に他所様を引っ張り込んでくるようなものです。で、「汚いね、でもうちも似たようなものだよ」とか「うわー、ヒドイ。でも、このカーテン、うちのと似てる」とか言われたりなんかすると、なんかとても嬉しいんですよ(笑)。

 さて、少しだけ自己紹介をさせていただきます。
 以前の日記で書いた通り、名前はまだないのですが。
 年齢は20代前半です。社会人です。結婚はしていません。結構なチェーンスモーカーですが、吸っているのはマイルドセブンの1ミリという煮え切らなさです。お酒とギャンブルは滅法苦手です。
 こんなところでしょうか。って、間抜けな自己紹介ですね。そのうちどこかにプロフィールでものっけます。

 今日から9月ですね。中高生の方々はもう学校が始まっているんですよね。(長期休みの直後の授業って、やけに苦痛に感じませんか?)


2001/08/29 ホームレス
 午後6時15分、私は西新宿にいました。予定していた訪問先を回り終えて、さてそろそろ帰るかな、と考えていました。課長に「社には戻らず直帰します」と電話を入れようかと思いましたが、課長のご機嫌がナナメだと「一度戻って来い」と言われる可能性も高い、微妙な時間帯です。30分程時間を潰してから報告を入れることにしました。
 西新宿でのお気に入りのヒマ潰しポイントは、工学院大学の前の小さな公園です。公園といっても、広さは25メートルプール程で、一面のタイル張りの中にぽつぽつと金属のベンチが並んでいるだけの物です。ベンチに腰掛けて、空を切り裂いて立ちそびえる高層ビル群を見上げながら煙草を吹かしていると、田舎者の私はそれだけでぐらぐらと都会の空気に酔ってしまします。特に都庁近辺は実に私好みで、その辺を歩いていると異様に気分が高揚してわけも無く早足になってしまいます。都会に憧れる田舎者の悲しい性です。
  ケンタでビスケットを2つ、スタバで胸焼けしそうな位ドブドブとクリームとガムシロを入れたアイスカフェラテを購入して、私は工学院大学に向かいました。
 その公園?はいつも比較的空いています。お昼時はランチを取るサラリーマンやOLで賑わうのでしょうが、私が行くのは大体午前中か昼過ぎなので15個位あるベンチは半分も埋まっていません。
 夜に来るのは初めてで、ライトアップされた公園と高層ビル群の夜景の美しさに、またもや私は「おお、絵葉書のようだ」とチープな感動に酔いしれました。バカみたいにぽかんと口を開けて上を見上げながら公園を歩き、空いているベンチを探そうとしてぎょっとしました。どのベンチにも人影があるのです。夜景をさかなにいちゃつくカップルかども?!と思いきや、それはホームレスの方々でした。ベンチに寝転がる人、膝に頭がつくほど前かがみになって座っている人、見渡すと地べたにダンボールを敷いて寝ている人もいます。誰も皆置物のようにぴくりとも動かず、その為に公園に入ってきた私はすぐにはその存在に気が付かなかったのです。そうか、ここは夜はホームレスの人たちの休息場所になるのか・・・。
 ケンタとスタバの紙袋を抱えて、私は途方にくれました。ホームレスの方々は既に新宿の風景の一部で、その存在に対して私は特に何の意見もありませんが、さすがにホームレスの隣に腰掛けてビスケットを頬張るのは気が引けます。うろうろと公園を歩き回り、結局植え込みの柵に座って紙袋からビスケットを取り出しました。メープルシロップを垂らしたビスケットをむしゃむしゃと食べながら、夜景を眺めていると、一人の男の人が歩み寄ってきました。ワイシャツにネクタイ、スラックスの一見普通の会社員風の男は、私の近くで立ち止まるとじろじろと私を眺めまわしてこう言いました。「煙草1本10円で売って」。私のワイシャツの胸ポケットに入った煙草を見てそう言ったのでしょう。
 ホームレスなのか、普通のサラリーマンなのか判別つけがたく、私は取り合えず1本煙草を差し出しました。男はポケットからライターを取り出して煙草に火をつけると、無言でライターと10円玉を私に手渡しました。
 「あ、いいですよ」と10円玉を返そうとすると、首を振って受け取ろうとしません。男は私から少し離れたところに並んで腰掛け、無言で煙草をふかしていました。ビスケットを食べ終わった私も煙草に火をつけ、やはり黙って煙草をふかしました。不思議と気まずいとは思いませんでした。1本目を吸い終わる頃、
  「ああなりたくないと思っているんだろう」
 と男が言いました。見ると、男はホームレスの寝ているペンチを見つめています。何と答えたものかと躊躇っていると、男は「ありがとさん」と言って立ち上がりました。咄嗟に「煙草、もう1本吸いますか?」と訊ねていました。男は頷き、煙草を受け取るともう一度「ありがとさん」と言って煙草を胸ポケットにしまって立ち去っていきました。男は真っ直ぐに並んでいるベンチの一つに歩いて行って置いてあった紙袋二つを持つと、公園から出て行きました。たぶん、ホームレスの人だったのでしょう。去っていく後姿を観察すると、彼のスラックスはやけにヨレヨレでシミだらけでした。ホームレスと一言に言っても、夜は野宿していても日雇いの仕事をしてお金を稼いでいる人たちも多いと聞きます。おそらくそういう人達なのでしょうが、比較的きちんとした身なりをしていて一見そうとはわからない人達もかなりいらっしゃるんですよね。以前、私の会社の駐車場でぼんやりとしゃがみ込んでいる人がいて、「どうしましたか?」と聞きに行こうとするところを「あれはいつもいるホームレスだよ」と同僚に止められた事があります。その人もヨレヨレながらもスーツ姿でネクタイを締めていました。ネクタイ。私は取り合えずネクタイを締めている人を見れば、「ああ、お仲間だ」と無意識に思います。会社勤めのサラリーマンの象徴であるネクタイ。手放しがたい社会との絆みたいなものなのでしょうか。
 少し前に雑誌で読んだのですが、ホームレスの人たちには、いつかはこの生活から脱して社会に戻ろうと思っている人と、もう何も考えられなくなっている人がいるそうです。前者の人たちはホームレス生活が長びくに連れ、「いつかは・・・」という意欲が薄れ、段々と無気力になります。肉体は衰え、感情は希薄になり、意識から他人を、音を、時間の流れを、世界そのものを排除してしまいます。時間と共に、思考も感情も細切れにされ、どんどんと刹那的に生きるようになります。お腹が減った、寒い、かゆい。苦痛を取り除く事が、彼らにとっての「生きる事」です。そうして、後者の「何も考えられなくなっている人」になっていくのでしょう。髪も髭も伸ばし放題、ぼろぼろの衣服を体に巻きつけ、得体の知れない物でぱんぱんに膨れた紙袋を抱えて駅の隅でうずくまる人達。
 やはり、「ああはなりたくない」と思います。
 今日出合ったネクタイ姿の男性も、「ああはなりたくない」をいう思いが消えないうちに、帰る場所のない寂しさと孤独を忘れないうちに、彼の望む姿に戻ることが出来るといい。そう思う私は傲慢でしょうか。


2001/08/25 おばちゃんバトル
 今、次に"novels1"にUPしようと思っている「彼女」の書き直し作業をしています。丁度3分の2位が終わったところで、一両日中には完成させてお披露目したいです。「彼女」は、自作小説や詩を自由に書き込むことができるBBSで、初めて書いた話です。書き込むと、読んでくれた人たちが同じBBS上で感想を返してくれるわけですが、・・・しちゃめちゃにこきおろされました。もう、酷評も酷評。完膚なきまでに叩きのめされ、しばらくは浮上できませんでした。(めげずに、次にそこで書いたのが現在UPされている「さよなら日記」です。)「彼女」は結構思い入れのある話なので、”今度こそは・・・”と気合を入れて書き直していますが・・・。うーん、力みすぎが裏目に出ないといいな・・・。
 最近残業が続いています。更に職場では”第三次おばちゃん戦争”が勃発していて、かなり険悪な雰囲気の中で仕事をしています。
 私の職場の事務さん達は8割が女性です。正社員と派遣とアルバイトで構成されている事務チームですが、ぶっちゃけた話、事務に関しては役職を除いて全員仕事の内容は一緒です。でも、給料は違うんですよね。手取りの高さで言うと、派遣>正社員>アルバイトの順です。こっそり聞いたところ、なんと派遣会社から来ている人は時給1500円も貰っているそうです。うらやましい。派遣会社を通さずに会社が直接雇っているアルバイトの人達はというと、平均して時給850円位。派遣の人と比べると、実に一時間あたり650円、一日あたり5200円の差があるわけです。これは大きいです。
 今回の”第三次おばちゃん戦争”はその事が火種となり、現在ゴウゴウと燃え盛っています。
 「派遣は時給1500円」という噂を耳にしたアルバイトのおばちゃん、Tさんは「なにい!同じ仕事をしているのにこの差はなんだ!」と怒り狂い、会社に時給の値上げを強硬に要求しました。会社側はこれを突っぱねました。会社側にも言い分はあります。現在いる3人のアルバイトは元々「補助要員」として採用したのです。補助とは、お茶汲み、おつかい、コピーとり、ファイリング等々。対して派遣の人達は、主にパソコンを使う顧客管理や書類作成等で活躍して貰う為に雇いました。それがいつしかそれぞれの仕事の分担が曖昧になり、今では全員お茶も汲めば電話も取り、パソコンも使いこなします。しかし、会社側からすれば、Tさんを含めたアルバイトはあくまでも「補助要員」なのです。確かに派遣会社から来ている人達のパソコンのスキルは大した物で、彼女達の右に出るものはいません。(私もはエクセルなんかは彼女達に一から仕込んでもらいました)
 賃上げ請求を却下されたTさんはすっかりふてくされてしまいました。派遣の人達が全員若い女性である事も彼女のカンに触ったみたいです。派遣の人達は派遣先でいざこざを起こさないように、基本的に低姿勢です。もめ事を起すとあっさり仕事を切られてしまいますから。結果、Tさんや正社員のおばちゃん達に顎で使われる事も多いのです。”あれこれ用事を言いつけている若い女の子達の方が自分より給料が良い”、Tさんは納得が行かず、遂に恐ろしい手段に出ました。職務放棄です。事務所で何台もの電話が鳴り響き、それぞれが早急に片付けなければならない仕事を抱えててんてこ舞いしている中、Tさんは悠々とトイレを掃除し、お茶を淹れ、チカチカしている蛍光灯を付け替えたりしています。「手伝ってよ」と頼むと「私はアルバイトですから、それは私の仕事じゃありません」と慇懃に答えます。元から人手不足でバタバタしている職場ですから、電話が鳴ってようと人が駆け回っていようと皆慣れっこですが、その中でのんびりとメモ紙作り等をしているTさんの存在にはかなりイライラさせられます。課長や部長は、Tさんの賃上げ請求を「アルバイトはあくまで補助で簡単な仕事をしてもらう為に採用している」という理由で退けた手前、何も言えません。Tさんには正社員や派遣社員が担当する仕事を拒否する権利があるのです。
 そこで立ち上がったのが正社員のおばちゃん、Aさんです。すっかり険悪なムードになってしまった事務ブースで、、「ああ、もうTさんの事はほっときなよ。目障りだろうけど、そのうちクビになって消えるから」と言い放ったのです。ちなみにTさんとAさんは以前から犬猿の仲です。第一次・第二次おばちゃん戦争もこの2人の戦いでした。私はどちらかというと正社員のAさんに味方したい気持ちです。Aさんは口は悪いですが、お人よしで涙もろく、機嫌を損ねると大変ですが、普段は人の良さが全身からにじみ出ている、いわゆる「お母さん的存在」です。キツイ一言の後にはフォローを忘れず、自分が間違っていたとわかった時は、おばちゃん特有の「あ、ごめんごめぇん」というあまり反省の色がうかがえない謝罪ながらもきちんと謝ります。きちんと気配りが出来て、常識もある人です。皆が頼りにしている職場の母です。
 Aさんの暴言に怒髪天を突いたTさんは、ますます意固地になって通常業務を拒否し、更にAさんの悪口をばらまき始めました。聞こえよがしにAさんのやる事なす事にケチをつけ、皮肉を言い、Aさんのプライベートな事まであげつらってAさんを批判しました。まるで事務所は小学校の教室のような状態です。もうたまりません。外回りに出て、半日しか事務所にいない私ですら強烈な居心地の悪さに閉口しているのですから、事務チームのストレスは恐ろしいまでに高まっているのでしょう。こわいこわい。
 今日も休憩時間に煙草を一服していた私ににじり寄って来て「Aさんなんかの言うことを信じちゃだめだよ」と囁いてきたTさん。もう勘弁してください。
 男連中はうかつに手出しを出来ず、終戦の日をひたすら待ち望んでいます。いっそ、Tさんが名誉の戦死を遂げて戦場から去っていってくれればなあ・・・。
 さて、私の会社では過去に「おねえちゃん戦争」というものも起こりました。それが、今書いている「彼女」の元ネタになっています。
 でも、「おばちゃん戦争」は将来何があっても小説のネタにはしないでしょう。

2001/08/21 プールで同期会
 今日は半年に一度の同期会でした。今日休みが取れた同期5人で屋内プールに行って来ました。
 同期会というと飲み会か食事会が一般的ですが、同期の中に一人猛烈に活動的な男がいて,、私たちの同期会は登山やスノボなど毎回結構なイベントになっています。
 この日に備えて日サロなんぞに行ってちょこっと肌をサビさせてみたりしたのですが、日頃の運動不足ですっかり貧弱になってしまった体はごまかしようがありません。夜中のテレビショッピングでよく目にするボディーブレード(ぶるぶる震える棒です)の購入を真剣に考えてしまいました。
 はしゃぎまわる夏休み中の子供達に混じってウォータースライダーや流れるプールで一日楽しんだわけなのですが・・・。そこは同じ会社の同僚5人、会話はどうしても仕事関連の話になってしまいます。台風の話をしていても、パソコンの話をしていても、気がつくと仕事の話に流れ着いています。仕方がないんですよね。会社以外で顔を合わせる機会なんて殆どないのですから。「せっかく遊びに来ているんだから仕事の話はやめようや」と言った本人が、舌の根も乾かぬうちに上司のグチを延々と垂れていたりします。
 今は横一線の平社員である私たちですが、そろそろささやかながら肩書きを持ったり、遠方への転勤を命じられたりする奴が出てくる頃です。流れるプールでエアマットに寝そべりながら、「最近そっちはどうよ?」「そっちこそ、上手くやってる?」と探りを入れあい、ウォータースライダーの順番待ちの列に並びながら「企画通ったんだって?」「異動の話とか聞かない?」とかまを掛け合い、・・・なんだかなあ・・・、といった感じでした。同期会らしいといえばらしいのですが、場所がハワイアンな屋内プールだけに、何か妙な空しさと悲しさが漂っていました。
 この同期会を企画した幹事の男だけは、ビキニパンツでムキムキの肉体を誇示し、流れるプールで家族連れを華麗なクロールで颯爽と抜き去り、肌をバーンと露出したお姉さん方にうっとりと見惚れ、唯一健全かつ目一杯に夏のプールを満喫していました。
 しかし、最近の若いカップルは恐ろしいですね。裸同然で抱き合い、絡み合い、キスしては見つめ合い、思わずぎょっとして目を逸らす事数え切れず。
 プールの片隅に小さなジェットバスがあり、そこに浸かって呆けていた時の事でした。一組のカップルが入ってきて、私のすぐ隣で男性が女性を膝に抱きかかえていちゃいちゃし始めたのです。ふと見ると、女性のビキニの胸がもぞもぞと動いています。なんと、男性が後ろから手をまわし女性のビキニの中に手を突っ込んで胸を揉んでいるのです。ジェットバスなので、泡で水面の下は見えません。しかし、なんと大胆な。そうとわかると、女性の腕が後ろ手に縛られたように腰のあたりに回されているのも、男性の局部を触っているのではないかと勘繰ってしまいます。気まずさも限界に達し、ジェットバスから上がろうかと思った時、女性の強烈な一言が。「もう。やめてよ、水が入っちゃうでしょ」。・・・水が・・・どこに入るんですか?ねえ、何をしてるんですか??二人だけの世界にどっぷり浸っている彼らの周りでは、子供がバタ足で泳ぎ回り、母親達がそれを咎め、疲れたサラリーマンが放心状態で泡立つ水面を眺めているのに。
 帰り際、幹事の男が言いました。
 「次の同期会はディズニーランドな」
 帰る方面ごとに3台の車に分乗して解散したのですが、車内ではやはり会社の話題ばかり。それに加えて、違う車に乗って帰った人達の悪口。「誰それは出世の為に休日返上で出勤している」、「あいつはチクり魔だから信用できない」、「あの人はパチンコで借金している」等など。
 もうやめようよ、こんな同期会。やるにしても、その辺の飲み屋でやろうよ。

2001/08/19 PNが決まらない
 今日は10日ぶりの公休日でした。スーツを一着新調して、靴と秋物の普段着もいくつか買い足して、帰りに本屋とタワレコに寄って、中々有意義な休日でした・・・、の筈だったのですが、あっさり昼過ぎまで惰眠を貪ってしまいました。渋谷か新宿まで出るつもりだったのですが、最寄駅の駅ビルで妥協し、案の定気に入ったものがなくて食料品等を買い込んだだけでとぼとぼ帰路につきました。次の休みこそは!
 ところで、ペンネームが決まりません。
 このサイトでは、私が今まで方々で書き散らしてきた小説やエッセイをかき集めて発表して行きたいと思っています。今のところ、私一人で運営していますので、管理人=小説・日記の筆者、です。実はまだ自分の名前(PN?HN?)を決めていません。作品毎にころころと著者名を変えている私には、「これぞ!」という愛着のあるPNがありません。しかも、過去に使用したPNはふざけたものばかりで、これからアップ予定の小説、「カナンの才人」は”S”、「彼女」は”私”(PNではないような)、「揺れる暗闇の世界」は”1”、今アップしている「さよなら日記」は”和也”という名前で書きました。「タレナガシノ、」と他多数の作品に到っては無記名で発表しました。せっかく個人サイトを持てた訳ですから、ここらで統一のPNを持ちたいと思っているのですが、これがなかなか決められません。今まで使った物から選ぶのも、ちょっと・・・。
 苦手なんです。小説の登場人物の名前は、結構さくっと決められるのですが、自分を表す名前となると、七転八倒の末いくつか候補を思いついてもなかなか決断に踏み切れません。ようするに、カッコツケなんですね。”これはちょっと恥ずかしいかな”、”これじゃ地味かな”、”ああー、なんか違うー”と悶えに悶えて、未だに白紙の状態です。情けない。
 悩み疲れた挙句、逃避がてら”どれどれ、皆様どんなPNを使っているのかな?”とネットでプロアマ問わずPNを検索してみたのですが、これがなかなか面白く1時間ほど人様のPNを漁りまくりました。
 PNを系統分けしてみると、
 1・耽美系(例/闇月狂華、天瀬那祗、氷見誓夜、etc.)
 2・インパクト系(例/千ガロン、萬田帝国、もっこす☆猛、etc.)
 3・ほのぼの系(例/春野たんぽぽ、ののみやノノコ、しんしん)
 4・本名?系(例/佐々木典子、木村幸一、巌元鷹之介etc.)
 のおおむね4種に分類できるのではないかと。複合技もありますね。
 プロの作家でミステリを書いている清流院静流さんなんかはもうばりばりの1ではないかと。いやあ、あのPNには度肝を抜かれましたね。彼の本を読んだことは無いんですが(笑)。
 (一応、上記に連ねた名前は、ネットで拾ったものをちょこっと改造しています。清流院氏以外)
 という訳で、今の私は名無しさんです。BBSは「白河」という名前で書き込んでいますが(”管理人”だけではちょっと間抜けなので)、これは友人が住む土地の名前を一時拝借したものです。字面が気に入っているので、これでもいいかなとは思いますが、せめて「白河○○」と下の名前が欲しい・・・。
 いっそ本名にしようかな・・・。

 台風が近づいていますね。皆様もお気をつけ下さい。

 


c2001/08/18 超能力少女
 片道一時間半の電車通勤。私のカバンの中には常にポータブルMDと文庫本2冊が入っています。文庫本は毎晩寝る前に適当に本棚から2冊抜き取り、翌朝電車の席に座ってからどちらを読むか決めます。気が乗らないと途中でもう片方の本に乗り換えたり。MDも同じで、いつも何枚かディスクを持ち歩き、聞きたい曲を探して忙しなくがちゃがちゃとディスクを入れ替えたりしています。休日は日がな一日寝床でごろごろしているくせに、何故か通勤電車の中では1秒たりとも退屈したくないという強迫観念に駆られるのです。
 今日の帰りの電車での選曲は「パッヘルベルのカノン」、本は閉じたまま膝の上に乗せて、うつらうつらしていました。私はクラッシック音楽は苦手なほうですが、「パッヘルベルのカノン」と「G線上のアリア」だけは例外で、2・3ヶ月に一度の周期で憑り付かれたようにその2曲を延々リピートして聞きたくなります。そういう時は大抵疲れている時ですね。精神的にも肉体的にもぐったりしている時。
 途中の駅で二人の女子高校生(中学生かも?)が電車に乗り込み、私の目の前に立ちました。土曜の夜遅く、しかも夏休み中の筈なのに、二人とも制服姿でした。こう言っては失礼ですが、今時珍しく化粧っ気のない地味な感じの少女達でした。ちょっと微笑ましく眺めてしまうような雰囲気です。
 ヘッドホン越しに漏れ聞こえてくる彼女達の会話に、私の眠気は吹き飛びました。さり気なくMDのボリュームを落とし、転寝を装いながら、私は聴覚を研ぎ澄ませて、つまり耳をダンボにして彼女達の話を盗み聞きしました。
 どうやら、・・・銀縁メガネをかけた少女の方は超能力者らしいのです。驚きです。内心「おお」と唸ってしまいました。
 「最近、うまく能力(超能力?)が使えないの」とメガネの少女は悩んでいました。メガネの少女が一方的に喋りまくり、見るからに内気そうなもう一人の少女が時折相槌を打ちます。メガネの少女の話によると、彼女は”弟の交通事故を事前に予知”し、”友達の背後霊を除霊”し、”タロット占いで友達の恋を手助け”し、更には”意識を集中させて消しゴム位なら宙に浮かせられる”らしい。すごい。予言者で霊能者で占い師でエスパーです。無敵です。彼女は他にも色々と超能力話を披露してくれましたが、ここでは涙を呑んで割愛します。 
 メガネの超能力少女は、最近その能力が衰えてきたとうな垂れていました。「こういう相談が出来る友達は○○ちゃん(内気そうな少女)だけだから」と悲しげに言っていました。
 ところで、私は霊や超能力の類はまったく信じていません。
 「メガネの彼女の正体は何でしょう?・・・1・超能力者、2・嘘つき、3・精神を病んでいる人」という設問があったら、迷わず「2の嘘つき」と答えます。「3・精神を病んでいる人」も捨てがたいのですが、ちらちらと何度かメガネの少女を盗み見た限りではそんな風にも見えませんでした。メガネの彼女は、「ちゃんと周りが見えている目」をしていました。私が勝手に想像するに、メガネの彼女はおそらく自分には超能力など無い事を自覚しているのではないでしょうか。
  「”特別な存在”に憧れる少女が手に入れた超能力と言う架空の能力」、私はそう解釈させて頂きました。
 それにしてもメガネの少女の感性の豊かさには驚きました。想像の世界と現実を器用に重ね合わせて、人間関係や恋愛や勉強の事で悩むのと同じレベルで、超能力の衰えや悪霊に真剣に悩まされたりする。空想を日常生活に引っ張ってきて、第三者まで巻き込んで想像の世界の登場人物に仕立ててしまう。
 うらやましい、と思いました。現実に空想を織り込ませて楽しむ能力。
 毎朝満員電車でもみくちゃにされ、会社で上司に叱られ顧客に怒鳴られ、トホホと落ち込む私に、その能力を分けて欲しい。
 メガネの少女は私が降りる一つ手前の駅で電車を降りました。その時の少女達の会話に私は再び度肝を抜かれました。それまでメガネの少女の悩み相談に付き合わされて、「うん」とか「そうなの」と気の無い相槌を打っていた内気そうな少女がこう言ったのです。
 「あんまり悩まない方がいいよ。私もたまに力が弱くなる時があるから。そういう時は力を使わない方がいいって。頭が痛くなったり体調を崩すよ」
 内気そうな少女も超能力少女だったのです。
 駅から自宅までの道のりを歩いている途中、ずっと超能力少女達の事を考えていました。色々と彼女達について想像しているうちに、1本中編小説が出来上がってしまいました。舞台は私立の女子高、登場人物は超能力少女4人組。パッヘルベルのカノン風味(笑)。近いうちに書き始めたいです。
 ありがとう超能力少女達。


c2001/08/15 い、痛い。
 指を切ってしまいました。
 慣れない事はするものじゃありません。
 私の会社ではミスコピーや不要になった書類を切ってメモ帳にしています。勿論顧客情報や重要書類はシュレッダーで細切れにしていますが。事務のおばちゃんが「経費削減よ!」と始めた事なのですが、そのおばちゃんというのがいわゆる「お局様」で、彼女が始めた「メモ紙作り」は事務の女性達に半ば義務として浸透しています。生産されるメモ紙の束は消費量を大きく上回り、他の部署におすそ分けして尚ダンボール1箱の在庫があります。まるでメモ紙生産工場です。女の子達が就業中に真剣な顔をしてせっせとメモ紙を裁断しているのをみると、(他にしなきゃならない事はないのかい?)と訊ねたくもなりますが、彼女達には彼女達の仕事の流れというものがあるのでしょう。余計なお世話を焼いてはいけません。
 今日の午前中、取引先の殆どがお盆休みに入っていて、手持ち無沙汰だった私はメモ紙作りに参加してみる事にしました。紙を5〜6枚まとめて折り、カッターで切り、更に半分に折り、カッターで切り・・・。無心で作業に熱中する事20分。結構飽きないものです。そして、ざっくりと指を切ってしまいました。
 紙を押さえていた左手の人差し指の先にカッターの刃が引っ掛かり、「あっ」と慌てて右手で切った指を押さえるとみるみるうちに血が溢れてきて机の上に滴り落ちました。
 「何やってんの!」
 と真っ先に駆け寄ってきたのはくだんのおばちゃんでした。
 「馬鹿だね、余計な事するからだよ!」
 ばっさりと一刀両断に切り捨てられて、かなり凹みました。
 セロテープで指の根元をきつく巻いて、恐る恐る傷の様子を見てみると傷口が見当たりません。ティッシュに血を吸わせて、じっくりと観察して初めて人差し指の腹を切り落としてしまった事に気がつきました。「無洗米」のマークってご存知ですか?楕円形の米の胚芽の部分が欠けて凹んでいるんですよ。指の頭がちょうどその形そっくりになっていました。がーん、です。
 マキロンとティッシュとバンソウコを持ってきてくれた女の子が「いや〜!」と悲鳴を上げました。てっきり私の指を見て叫んだのかと思いきや、彼女は血がぽたぽた垂れている机を指差しています。
 「白河さん(私の事です)の指のカケラが落ちてる!」
 指のカケラって・・・。私の方が「いや〜!」です。
 指のカケラといっても、白く濁った皮で裏面がちょっと赤い、米粒2個位の大きさの物です。
「病院に行ってきな!」とおばちゃんに有無も言わさず会社から追い出されたのですが、課長は有給休暇中で先輩社員は外出中、いくらおばちゃんの許可をもらっても長時間席を外す事は出来ません。
 取り合えず近くの薬局で軟膏と消毒液とバンソウコウを購入して会社に戻ると、案の定おばちゃんに「何で病院に行かないの!後で大変な事になっても知らないよ!」と叱られました。ごめんね、お母さん・・・という気分です。
 血で汚れた机は誰かが拭いてくれて綺麗になっていました。机の上にティッシュの包みが載っていて、「何これ?」と聞くと「取っといた方がいいかと思って・・・」と言われ、開けてみると・・・指のカケラでした。い、いらないよ。
 今も指先がずきずき脈を打って痛いです。慣れとは恐ろしいもので、キーボードを打っている時、うっかり気を抜くと無洗米状態の左手人差し指でで躊躇い無く「T」を押してしまったりして、ぎゃっと飛び上がります。
 これで飲み会の時の「怪我・病気自慢」で披露できるネタが出来たな、と虚ろに笑ってみたりして。