ドカ飯チャーハン


 ぼくのように、なにか企んだり、デザインしたり、
ヘナチョコ文章を書いたりする人間には、
「食住接近」が理想的な環境。

 ま、このようなことで口に糊する人間でなくても、
住まいと職場が近いにこしたことはないし、
誰しも、通勤電車でチカンに間違われる恐怖にオビエながら
足を踏まれるのは嫌なもの。

 ただ、ぼくたちの仕事って、
ほとんどプライバシーがないに等しい。

 例えば、金曜日の夜に依頼を受けて、
月曜日の午前中に、荒いものでイイから見たい、
って言われ「エエ−−!!」となったとする。

 すると電話の向こうから
「アンタ、もしかして、寝るつもりじゃあないでしょうね」
と、地獄の底からパチパチと火炎の燃える音が聞こえる。
「へぇぇ〜〜い」とばかりに受話器を置く午後7時。

 たとえ向こうは、受話器の反対の手に
「この電話を切ったら、土日をエンジョイするにだあ」
とばかりに、テニスラケットを握っていたとしてもだ。

 また、そんなヘビィなスケジュールでなくても、
ふだん何気なく街を歩いている時に、
「あれを書こう」と頭の中でカモシテいたものが、
突然、どっかから降ってきたかのように
「ポッ」と何かが浮ぶ時がある。
ま、要するに、アイデアが浮ぶ、というやつですね。

 それが例え、自分の自転車が撤去されようとしていても、
なにをおいても「まずはそれを書きとめたい」衝動にかられ
忘れてはならん、とばかりに仕事場を目指すのよ。

 それは曜日なんて関係ないし、
どんな人と会っていても、ニヒル犬顔をしながら、
必至で覚えようとしている。


 つまり、ぼくのカレンダーには、
「日付はあっても、曜日はない」状態なのよ。


 で、ぼくの仕事場のある街には、
しっかりと刻印された曜日がある。
街中の商店が一斉にお休みする日。


 それは「悪魔も眠むる水曜日」


 曜日感覚を売り渡したぼくが、
水曜日だということを忘れ、うっかりヒルメシに出ると、
ここも休みあそこも定休日で、
街中をサマヨイ、流れ流されヘトヘトとなって、
挙句の果ては「ヒルメシ流人」となって、
吉野屋で「特盛り・玉子付きの人」となるハメに。

 オバカですねぇ、吉野屋でハフハフいっている時に
「お、そうかあ、今日は水曜日だったかあ」
となる次第なのですよ。


 で、今日は水曜日。寂しいよう。

 オカゲで昨日で仕事がひと段落したので、
今日は外出もせず、のんびりと仕事場で自炊。


 さてさて、何を作ろうかとなったとき、
普通は「どんなもの」を思いめぐらせるものだが、
ぼくの場合は「どれだけ食べようか」と分量を考える。


 たいがいは「遠慮なくドカ飯が喰いたい」となる。


 仕事場のキッチンには、その日に備えて、
ってワケではないが、その希望を満たしてくれるものが、
それなりに「よ、いつ来るかと待ってたぜ」とあるのだ。

 ぼくのドカ飯のレパートリーの主役は、

「ニンニク・野菜タップリ、トマトホール和え
 仕上げにタバスコバッバッ炒め、
 小意気なバジル使用、粉チーズてんこ盛り」

もしくは、

「玉子2個使用、そこらにあるものミジン切り、
 豆板醤、オイスターソース仕立て、
 二合めし炒めチャーハン」

 そのどちらも、皿に入りきらない蛮人分量。


 今日の気分は、
スプーンを50回くらい往復させ、
顎がだるくなる後者のチャーハン。


 まずは、冷凍してあるご飯のカタマリ5個を
電子レンジでチ−ンの作業。

 薄暗い電子レンジの中で、
ブーンと回転しているご飯を横目に、
玉ねぎ1個、人参半分、赤ピーマン一個、ベーコンを、
ざくざくとミジン切り。

 この赤ピーマンは、先日、
「若鶏と野菜のトマトソース煮込みオレガノ風味」
(あ、これは自宅で夕食用だからね)
なるものを作った時の余りもの。

 見かけは赤唐辛子を10倍くらいにした大きさで、
一瞬ギョッとするが、その味はさっぱりしていて、
野菜特有の優しい甘味もある。
色が鮮やかな分、使い勝手のいいスグレもの。
値段も、普通のピーマンより安いしね。

 で、醤油、塩、コショウ、中華味の素、ゴマ油、
豆板醤、オイスターソース、
これら調味料をコンロの横に整列させる。
その横には、アツアツのラップをはがされて、
湯あたりして、ぐったりしたオヤジのような2合めし。


 さて、ここからがメインエベント。

たとえ、ダスキンの集金がきても相手にしない。

 アツアツに熱したフライパンにたっぷりの油をひき、
油の煙がモア〜と出したところに、
トキ玉2個分をジャァァァッと投入。

 スカサズかきまぜ、半熟の状態にご飯を投入し、
カンパツ入れず、玉子とご飯を和えるように混ぜる。

 ジャァァァァァァァ

 この時点で、醤油、塩、コショウ、中華味の素を
ご飯をかき混ぜながら、パッパッと加える。

 ジュ、ジュワァァァァァァァ

 お次、人参、玉ねぎ、ベーコンを入れ、
かき混ぜながら火が通るのを見極める。

 ジュッ、ジュッ、シャッシャッアァァァ

 豆板醤、オイスターソースをその日の気分で入れる。
今日は過激なのがイイと、豆板醤は多め。

 で、赤ピーマンをパラパラと投入し、
ふた混ぜしたら、ゴマ油を3滴垂らし、
フライパンを振りながら全体に馴染ませる。

 ジャッ、ジャッ、シュゥゥゥゥゥ


 はいー、これで出来上がりぃぃぃ、
所要時間は、約4分。ドンナモンダイ。

 当然、皿には乗り切らない量なので、
フライパンのまま、スプーンを突っ込み、
ハフハフ、フグアグアグ、を繰り返すことに。

 この時、大きめのコップに、
氷ざっくりのヒエヒエ水を忘れないこと。


 オイスターソースのコクのある甘味が鼻をつき、
熱さとともに豆板醤のピリ辛が襲ってきて、
焦げた醤油味の玉子コーティングのご飯を噛みしめ、
歯ごたえのある赤ピーマンが癒してくれる。


 ガルルゥゥゥ、ハフモグ、・・・・一心不乱。


 これを食べ終ったあと、必ず思うこと。


「空腹のときが懐かしい」であり、

「胴体全部が胃になった、ベフ」なのだ。



 ではでは、ゴッツアンでぇーす。

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