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ぼくは大阪市内の下町の出身。
「でんがな、まんがな(誰がそんなこと言うか!!)」
と大阪の子らしくコテコテに育った。
今では、この地元中学の卒業生と間違われるほど、
チャキチャキの江戸っ子ぶってんねんけどな。
大阪の子供はみんな、半ドンの土曜日は、
途中道草もせず、時間を気にしながら一目散に家に帰る。
これは給食がなくて、お腹が空いたからではない。
昼の12時から始まるTV番組「吉本新喜劇」を観るため。
これを観ながらお昼ご飯を食べるのが、
大阪の子供の定番で、この時間に外にいる子供は、
変わり者か、家にテレビのない子だ(言い切ったぞ)。
全国区のドリフのように、
子供同士の話題にのぼるものではなく、
親の代からこれを観ている、日常の一部。
だから、自分の子供が「吉本新喜劇」を観て笑っていると
親はわが子も成長した、もしくは、やっと仲間入りした
と腕組みをして喜ぶ。共通言語が確立した瞬間だ。
つまり、この番組で大阪人として、
「スリコミ」がなされているようなもの。
この番組のオープニング。
定番のテーマ曲とともに、ドンチョウが上がる。
舞台には、いくつかのテーブルのある食堂。
そこで2人組が、食事をしながら漫才のような会話。
会話のオチがつき、ひと笑いしたところで、お勘定。
店の者が出てきて、食べたものを確認、
大声で「キツネうどんと大めしで800万円!!」。
店内にる全員が、ドヒャアーと椅子から転げ落ちる。
ここから主役級が登場して本題にはいる。
この設定が10話あるうち8話がそれ。
つまり、「オキマリ」であり「ごあさいつ」なのだ。
このパターンがないと、裏ぎられた気分なにるほど。
大阪では古いタイプの、明るい店主のいる店は、
おおむね「260マンエン」のおつりを渡される。
困るのよ、そのときの対応が。
で、この舞台設定のお店が「大衆食堂」。
大阪にはどの町内にもある食堂タイプ。
様々な家庭料理が皿に入れて並べられ、
好みのものを取って、ご飯と味噌汁を注文する。
ご飯も大・中・小があり、
味噌汁にいたっては、しじみ汁、豚汁、吸い物、玉吸、
豚汁にゅう麺、豚吸い、天ヌキ汁・・・・
挙げていくとキリがないほど、
店によって種類があり、その店の名物にもなる。
あそこの店に食べにいった、は
「同じ釜の飯」ならぬ「同じ鍋の汁」を
喰った仲として、お互い頷き合うのだ。
一見、自分で選べて安くすみそうだが、
料理の前に立ってあれこれ選んでいるうちに、
気がつくととっても「豪華な値段」になってしまう。
かといって、控えめに選ぶと、
とても殺風景な食卓が出現し、
ケチ、もしくは、周囲から「困っている人」に見られ、
見知らぬ人から、お裾分けを受けたりする。
東京に出てきて、恋しく思うものがいくつかあるが、
この「大衆食堂」もその一つだ。
こちらには「定食屋」というものがあるが、また違う。
いや、似て非なるもので、まったく違うのだ。
で、今日は大阪でいう、その「大衆食堂」に。
場所はこの仕事場からチャリで約5分。
小雨の降る中、仕事がらみの近くのヤシロ食堂へ。
ここは以前から気にはなっていたのだが、
なにしろ、入ってみて「似て非なるもの」の時、
ガルル状態だと、そのショックは計り知れないし、
立ち直れないかも、と近寄らないでいた。
しかし寒い・・・豚汁が恋しい・・負けました。
で、結果からいって、まあまあ正解。
大阪の店ほどではないものの、
惣菜関係や一品メニューもあるし、
味噌汁関係は少ないが、豚汁もある。よかった。
さば塩焼き270円、ゴボウ煮150円、
豚汁220円、大飯220円。しめて860円也。
まずは、ゴボウ煮の登場。
ゴボウ、さつま揚げ、人参、豚肉を
程よい甘辛さで煮込んであり、
ゴボウの歯触りがザクザクと心地よく、
独特のゴボウの香りがクンと鼻にくる。
と同時に大飯と豚汁登場。
大飯は、あのズッシリ感のある丼に、
こんもりと盛られていて、心強い。
肝心の豚汁。
大根、人参、コンニャク、ゴボウ、豚肉、ねぎが、
小さめの丼に、モワモワの湯気を立てている。
七味唐辛子をパパッとかけ、
フウ〜フウ〜、一口ズズゥ。
ん〜〜、アジアジとあったまるのはいいが、
客待ちし過ぎていたのか、
煮込み過ぎてあまり出汁の味がしない。
昆布もカツオも、待ち疲れてしまって、
トットと早退したようだ。とっても残念無念。
ひょっとして、最初からいなかったのか、疑りたくなる。
少しして、さば塩焼きがプシプシと登場。
ここのシステムでは、焼き魚は切身で選び、
注文を聞いてからコンロで焼く。
半身のさばが、焼きたての音をプシプシ。
これに醤油をツツ−とかけると、
ジュッジュッといい音をたてる。
焼き魚は、まずこれがご馳走なんですねぇ。ジュッが。
で、ハシを突き立て、切身を半分に割り、
適量をお口にパクり。大根おろしがほいところ。
大根おろしの付いていないサバの塩焼きって、
「服は豪華だけど、足元は素足」みたいで、
なんだか、それなら無理するな、って言いたくなる。
さばハグ、ご飯パクリ、豚汁ジュル、こぼうザクザク、
このローテーションで、あっという間に「ベフの人」に。
で、お茶をすすりながら、
三角巾をしたおばちゃんにお勘定。
千円札を出したが、おつりは240円。
「240マンエン〜〜!!」ではなかった。
やはりここは大阪ではない。当たり前だけど。
ではでは、ゴッツアンでぇーす。
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