「ホスピス設置病院の啓蒙を」
平成13年3.24 山根光正
〔平成12年4月23日沖縄タイムス「茶のみ話」に投書。未掲載〕
人間に限らず全ての生あるものは100%の確率で死んでいく。
でも、は煩雑な日常に紛れてついそのことを忘れてしまったりする。ラジオからの耳学問だが、高名な
美食家だった蜀山人がいまわの際に、誰でも死ぬのはわかっていたが、「己が死ぬとはこれやタマラン」と
言い残した(とか)。いかにも人間的な最後で印象に残っている。
毎日曜日、タイムス紙面に「明日へのラブレター」が掲載されている。4回目の4月23日は「命の
ともしび見つめて」の見出しで仏教ホスピスの木曽さんを紹介していた。死の恐怖の迫る患者の手をとり、
ゆっくりと話を聞く。「肌に触れること。触り合うのが、人間、一番効くんです」と木曽さん。木曽さんは
「患者のゴミ箱でありたい」とおっしゃる。ないと困るし、さりとて真ん中にあると邪魔・・。
自分の人生の終焉のひとときを思う。病院にお願いしたいこと、それは、不治の病なら延命だけの治療を
いたずらにしてほしくない。意識は朦朧としたままで、鼻から喉から管だけを通される。そんな己の姿は創造だに
したくない。
痛みは除去してほしい。人間としての尊厳は保ちつつ、残された僅かな日々を全うしたい。
大事なことは心のケア。木曽さんのような方と触れあいながら、安らぎを得たい。
ホスピスは全国で40件。でも仏教ホスピスのある病院は、木曽さんが通っている病院が唯一。高齢化社会
の到来だ。国はもっともっとホスピス設置病院の必要性を啓蒙すべきである。