「『風評』でなく『国策』被害」
平成13年12.30(12/16新報掲載)
山根光正
11月28日の琉球新報「社説」を読んで共感した。私自身、米中枢同時テロ発生以来、米軍基地
は即時撤去すべきだと考えるようになっている。そしてそのような内容の新聞投書も行ってきた。テロ
以後、観光客減少という新たな問題が生じてきた。航空会社やホテルやバス会社などでキャンセルが相
次いでいる。テレビ画面でホテルの支配人が「修学旅行のお客さんからの予約取り消しが続き・・」と
沈痛な表情で語っている。
テロと基地問題は決して無関係ではない。でも基地問題を訴えれば訴える程、沖縄は危険という印象
を全国民に与えてしまう。現に、身内に観光土産品店に働いているものもいる。話題と言えば、日に日
に客足が遠のいていくことについてばかりである。基地撤去を投書することは沖縄観光にとって火に油
を注ぐ結果となりはしないか、暫くの間は投書は控えるべきではないだろうかと考えていた。そんな矢
先にでたのが28日の社説だった。
意気消沈していたこちらの気持ちに活をいれてくれた。そしてこう考え直した。”基地問題は決して
黙することではないんだ、現実に基地があるからこそキャンセルも発生したのだ。ならば今こそ基地撤
去は声高に叫ばれなければならない時機なんだ”と。その意味で社説執筆者の勇気に敬意を表すると同
時に感謝もしたい。それにしても唯一の離島県であるわが沖縄は悲しい島だと思う。東京から遠く離れ
た海上に浮いている小さな島に日本全土の大部分の基地が押しつけられている。
同時テロ発生時に感じたことは日本政府首脳の不誠実な態度についてだった。首相や代議士など、誰
一人として沖縄の安全を俎上にのせた人はいなかった。日本の中枢(東京)が狙われるかもしれないの
だ、沖縄どころではない、と言うのがリーダー達の本音だったと思う。それまでは政治家は口癖のよう
に言ってきた「基地問題では沖縄県民に過重な負担をおかけしている、すまない」と。それが真実なら
ば、県民が不安な気持ちでいたその時にこそ真っ先にかけつけ「大丈夫ですよ。沖縄県民は政府が守り
ますよ」との力強い言葉をかけてほしかった。
社説が述べているように、沖縄の経済危機は「国策」被害であると私も考える。それならば国は、被
害解消に向けて最大限の努力をしていただかねばならない。一つの方法として代議士の皆さんにお願い
したい。地元に帰り、沖縄観光について呼びかけてほしい、そして全国各地から観光客を誘致してほし
い。被害に対する補償も検討されるべきである。それと野中広務氏が来県講演で述べたとされる「テロ
は装備された基地は狙わない」がもし本当にそうであるならば、そのことももっともっと全国民に知ら
せてほしい。そして世界最強の米軍基地を日本の警察が守るという、おかしな警備もやめてほしい。沖
縄県民は今こそ日本政府と国民の真摯な対応を待っている。