散歩              平成16年6.12  山根光正
   「不審者を見たらすぐ110番」とか「知らない人に声をかけられたらすぐ警察へ」とかの張り紙を目にする。嘆かわしいことだと思う。 でも、昨今の殺伐とした世相を考えるとこのような張り紙も致し方のないことかもしれない。物が豊かになった分、反比例するように人の 心は貧しくなる。悲しいことだ。
 自分自身が不審者に間違われているのではないかと思ったりする。子犬を連れた女性がやって来た。私を見て反対側の道路に移動して しまった。己のいでたちを見る。つばの破れた帽子にヨレヨレのトレパン、手にはダンベル。これでは(不審者に)間違われても仕方がない のかもしれない。
 女の子が二人前方を行く。振り返ってこちらを見た。目を合わさないように気を使う。笑顔をつくろうか、でも、おかしくもないのに笑 うのはかえって不自然だ・・。散歩をするだけなのに気を使わなければならないご時世、生きにくい時代になったと思う。