ゆたかはじめ先生の講演
沖国大の後援会主催による第1回講演会が昨秋開催された。「後援会」とは小・中・高校でいうPTAのような組織である。講師はゆたかはじめ先生で、演題は「沖縄が好き 風が好き」だった。学生や教職員、それと学外からも多数の方がお見えになった。
ゆたか先生は65歳で定年を迎えられた。これからの人生をどのように充実させようか、と大都会の喧噪の中でお考えになった。北海道に行こうかそれとも海外にしようか、奥様と相談された。「泡盛でサーフーフー(ほろ酔い)」しながら、砂糖キビの白い穂波の島、ウチナーに思いをはせられた。那覇のマチグァー(市場)に引っ越して来たのは定年二十日目のことだった。¥講演に感動した。先生はウチナーの文化を「ぶらさがり文化」だとおっしゃる。那覇の公設市場周辺は先生の散策コースだ。アロハ姿に島ゾウリ、おつむはウチナーの太陽のように輝いている(失礼)方がニコニコしながら通りすぎるとその方がゆたか先生だ。店先にはいろいろなものがぶらさがっている。麦藁帽子にポロシャツ、ハンドバッグにコーモリ傘、下駄にバナナにイラブーまで。通りを風が吹き抜ける。ぶら下げられた小物が思いおもいにカチャーシーを踊り出す。息をのむような景観だ。これぞウチナー文化だと感嘆される。
先生はまた、琉球には二つの文化があったと話された。 一つは冊封使歓待にみられるような首里王府の「もてなしの文化」で、いま一つはウマンチュ(庶民)の厳しい生活の中から生まれた大衆の文化。 いずれの文化も琉球独特のもので素晴らしい、と絶賛された。世界遺産に登録された「琉球グスク群」も先生にとってお気に 入りの場所に違いない。
先生はウチナーが好きで歩くのが好き。例えば、初日は辺戸岬から辺土名まで歩く。辺土名でバスに乗り帰宅す る。次回はバスで辺土名まで行き、そこから名護までてくてく行く。このようにして南北大東も含めて沖縄全島を二度も歩かれた。
講演を拝聴しながらお褒めの言葉だけをいただいていいものだろうかと思った。案の定、沖縄社会の改善点も指摘された。アメリカ世 からヤマト世に替わったが、現在社会はさしずめ「車ヌ世」だとおっしゃる。交通渋滞のある地域に町の活性化はない。かてて加えて 排気ガス問題は嫌煙権同様、もっと社会問題化しなければならないとおっしゃる。そして、持論の路面電車に持ってゆかれた。モノレールは2003年から運行される。私(山根)個人はモノレールに諸手をあげて賛成してきた一人だ。でもここにきて、中北部への電車運行も考慮すべきだと考えるようになった。
ゆたか先生の講演は古酒を堪能しているような、そんな味わい深い内容だった。何故か、何度も目頭が熱くなった。大教室全体にさわやかな”風”を感じたのは私一人だけだったのだろうか・・。