<告白>

副作用のせいで40度近い熱が出た。
口内炎が口中に出来、痛々しい。
元々色白ではあるものの、一層の白さが浮き立つ。
何度も嘔吐し、消耗の度合いは日々増している。
しょっちゅうだから慣れてるといいつつ、朦朧としているようだ。
作り笑いに力がない。
仕事はオフ日だった。

フラフラの体でなんとか起き上がろうとするので
ベッドに腰掛け、支えになる。
うつろな目で病室の窓から見える夕日を眺めていた。
美月が一人では絶対に見たくないという時間帯だ。
猛烈に淋しくなり、酷くなると涙が出てくるという。
俺がいるという、一人ではない状況である事が
少しは淋しさを紛らすと良いのだが。

何も話さない。
黙ってもたれている。
頼られている気分だった。
無意識のうちに、好きだと言っていた。
何故だかはわからない。
目を見てもう一度言った。
美月は微かに笑って目を閉じた。

一瞬、死んだのかと思った。
人の死に際に立ちあった事はないが
あまりに静かで、そして穏やかだったから。
冷や水を浴びたようにぞっとして、慌てて抱きしめた。
体温があることを確かめたかった。
頭は肩から滑り落ちようとしている。
全く力が入っていない証拠だった。

ナースコールを押す手がみっともないほど震えた。
かつてこんなに動揺したことがあっただろうか?
インターフォンに向かって怒鳴る。早く来てくれ。
医師立ちが来るまで体を離すことが出来なかった。
診察の末、消耗のせいで意識が落ちたとの事。
不眠が重なったこともあったらしい。
つまり、そのまま眠ってしまったのだ。

今でもあの顔は忘れない。
人が静に息を引き取る時はあんな顔だろう。
不治になったら延命はしないという彼女の言葉が蘇る。
痛み止めのみを使用し、最後は静に終わる事を選択するだろう。
その時はああいう落ち方をするのではないだろうか・・・。