<自殺未遂>
いやな予感がした。
何の根拠もない、まさに第6感というやつだ。
仕事に向かう途中。
急遽首都高の乗り口で方向転換した。
美月は眠りたかっただけだという。
だが明らかに致死量を目指した服用をしていた。
その気になれば薬などどこででも手に入る。
アルコールとの併用で、朦朧としていた。
ひとまずかかり付けの医師を呼ぶ。
診断の結果、内臓に異常はなく
点滴のみですんだ。
それよりも、電気をつけた時にはじめた見えた
美月の腹部の打撲の方が問題だった。
そちらも診察してもらう。
眠りに落ちたのを確認し、安心する。
机の上のPCが自動のメール受信をはじめた。
何気なく開いてみる。
1通のメールが開けられていた。
そこにはたった3行。
どうしても君とセックスしたかった。
なのに拒否するから犯したまでだ。
また逢おう。
ストーカーだった。
これだけが原因でない事は明らかだが
引き金になったのは確かだろう。
ベッドのしたに脱ぎ捨てられた下着には、
男性の体液と思われるものが付着していた。
何で殴られたらここまでの痣がつくのだろう。
猛烈な怒りに駆られた。
しかし、美月が気がつくまでは放っておけなかった。
一人にはしておけない。
話せる状態なら、ちゃんと話を聞きたかった。
多分彼女は、聞けば淡々と語るだろう。
話してくれるのであれば、ちゃんと聞きたかった。
痛々しかった。
癌が発見された。
仕事では、使えない人間からのやっかみがあった。
自分のしたいことを存分に出来ない苛立ちがあった。
立場上猛烈なプレッシャーが八方からかかっている。
そこへ、これだ。
あまりに惨かった。
もう彼女の笑顔は見れないのではないかと思った。
うっすらと意識が戻り、
俺の顔を見て幾筋も涙を流した。
嗚咽も何もない。ただ無言で。
手を握る事しか出来なかった。
今は何も言わなくて良い。
今までの不眠の分を取り返せ。
眠ってくれ。
気付いてやれなくてごめんな。
絶対にこいつには報復を与えるから。
約束するよ。