二十歳のころに・・・・。

おぼろなる春

  おぼろなる春の季は
かなたまで見えやらず
かすみにかくるる雀の 
いそがしげに鳴くなり
永くわれを待たせし木々は
今にして新しき葉を見するなり
艶ある緑に輝けど
かすみがために
おぼろになりて揺るるんり
風に若葉は揺るるとも
雀のほかに耳に入るものはなし
うす雲にかくるる青き美空の下に
白き緑はまたもかすかに揺るるなり

 

(1967年4月)