「初雪」
起きてみると、雪が降っていた。
純白の結晶は、静かに地面へ積もる。
その光景はとても幻想的で……美しかった。
掛け値なしに綺麗だと思った。
自分の中の子供心が「外に出よう」と叫ぶ。
―――よし、行こう。
普段着に着替えて、お気に入りの緑のジャンパーを羽織って、マフラーを首に巻いて、手袋をして。
傘は持たない。雪を身体で感じられないから。
準備万端、と外に踊り出る。
視界は、白一色だった。
足元にはゆらゆらと空から落ちる雪が覆っていて。
上空の雲は休むことなく雪を吐き続けている。
歩いてみる。
一歩一歩進むたびに、柔らかい雪の感触が伝わってくる。
さくっ、さくっ、と。
他にもいくつか足跡がある。人が通った跡だ。
誰かが踏んだ後の雪を歩くのはあまり面白くない。
だから、まだまっさらな雪の上を通る。
そこに残るのは自分の足跡。
……何だか楽しい。
公園に着いた。
雪を一握り手に取ってみる。
すごく冷たい。でも、気持ちいい。
固く握って投げてみる。
壁には、白い点がひとつ残った。
雪だるまを作る。
小さな小さな雪だるま。
完成したのを手のひらにちょこんと乗せる。
このまま持って帰りたいけど、溶けちゃうから。
公園の滑り台のてっぺんに置いていった。
家に帰って風呂に入る。
それからホットミルクを一杯だけ飲み干す。
すごく、あったまる。
最後に。
空に向かってひとことだけ。
「ありがとう」
また、よろしくね。