死には死を

 

アンドス製薬会社、社長室。

「現在の調査状況を報告しろ。」

“こちらA班。未だに怪物の足取りがつかめません。”

“B班です。怪物がいたと思われる倉庫を発見しました。血痕と、人の足跡があり、現在調査中です。”

“C班です。避難勧告の出されている地域に、一台の車が侵入しましたがどうしましょう?”

「適当に始末しておけ。なんとしてもあのサンプルを探し出すのだ!」

男は、荒々しく通信を切った。ルーツ・アンドス。アンドス製薬会社、二代目社長。表では、ガンの特効薬などを発明し、わずか5年で世界中に支店を出すほどに急成長した会社。しかし裏では、生物化学兵器や、特殊な武器を作っているという噂が流れているほどである。

「くそっ!貴様のおかげで、実験体のサンプルは手に入れ損ねるわ、そのサンプルは町を歩き回ってるわで、いったいどうしてくれるっ!」

アンドスは、机の上にあった灰皿を目の前に立っていた男に投げつけた。男は瞬時に銃を抜き、灰皿を打ち落とした。銃口からはひとすじの煙が立ち昇っていた。

「あんな派手に博士を追い回すもんだから、わしに反感を抱いてるやつが警察に垂れ込み追って!今じゃわしがこの事件の最重要容疑者になってしまったわ!」」

「しかし、今更になってなぜあのサンプルを探すのでしょうか?放牧は済んだのですから、無理に取り戻さなくても時期に帰ってきますよ。」

男は、銃を丁寧に懐に戻しつつ言った。

「じゃあお前はあいつを無傷で捕まえることができるのか?」

男は、「さァ」というようなジェスチャーを見せた。ルーツはいすに座りなおし、机に伏せた。

「あぁ…このままでは私の苦労が水の泡になってしまう……。」

ルーツは、今にも鳴きそうな声で言った。

「……元はといえばお前がしくじらなければこんなことにはならなかったんだ!お前が責任もって連れて帰って来い!」

「…わかりました。では、私の部隊を使ってもよろしいですか?」

「サンプルさえ戻ってくれば、お前なんぞいらん!さっさと行け!」

男は、一礼すると早々と社長室を出て行った。社長室の前にはひょろ長い男が一人立っていた。

「よぉ、大将ォ。お説教は済んだかぁい?」

「あぁ。派手にやらかしたからな。」

「ひゃひゃひゃっ。そりゃぁ、社長はキレルわなぁ。そんでぇ?次の仕事は何なんだぁ?」

ひょろ長い男は銃を取り出して、ニヤニヤ笑っている。彼の名前は、ジェイ・マルーラー。

元アメリカ陸軍兵士。しかし、麻薬に手を出し、十万人も集まったライヴ会場で、機銃を乱射。死傷者二千五百人に上り、精神科へ送られた。その後、現在に至るまでの経緯は不明。過去の情報も全て抹消されていた。

「逃がしたサンプルをつれて帰ってくることだ。」

マッド・クオーク。彼も同じく元アメリカ陸軍少尉。戦争時に伝染病にかかり、急遽帰国。完治後アンドス製薬のガードマンとして雇われる。体格のよさと、銃の扱いが社長に気に入られ、アンドス極秘特殊部隊の指揮官におさまっている。

「逃がしたのを捕まえるのかよぉ。結構面白そうだなぁ。」

「その件はお前に任せる。俺はやることがある。」

そういうと、クオークはその場を去った。

「ヘリ班を呼び戻せ!上空から、例の侵入者を抹殺するぞ!」

「おいおい。侵入者ってだれだよぉ。」

「避難勧告が出された地域に、入っていった車があったそうだ。今αチームがつぶしに行ったが、まだ応答がない。おそらく…。」

「なんだってぇ!あんたのとこの部隊が全滅するなんてあり得ないだろお。」

「だから行くんだ。お前はサンプルを捕まえてくればいいんだ。」

「へいへい……まったく、おいしいところだけ持ってきやがるんだよなぁ……。」