この本のおかげで私は和歌好きになりました。「掛詞(かけことば)なんて駄洒落じゃん」とか馬鹿なことを言って
いた私の目を覚まさせてくれたのは、何を隠そうこの本です(笑)。
解説が分かりやすいのも素晴らしいところですが、私はなによりうたの解釈のしかたに惚れました。たとえば、
東雲(しののめ)の別れを惜しみ我ぞまづ鳥よりさきになきはじめつる
うつく (古今・恋三)
といううたを、
「暁の別れが悲しくて、コケコッコと朝を告げて鳴く鶏より前に、私が泣いてしまいますわ」
と訳して、「なんとものんびりのあっけらかんスタイルで、読むたびに笑いを誘われる」と説かれるのですよ。
なにげなーくこのうたを出されたら、私なんかはさめざめと泣く女のうただと受け止めるでしょうが、それをあっさり
くつがえしてみせる解釈のしかたと、「こけこっこ」の擬声語だけで納得させてしまう訳のうまさは、ほんとすごい
です。
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