お嬢様、これは触手です(5)お嬢様の日常
翌日、すべては何事もなかったかのように進んだ。目覚めたとき、気だるさ以外に、あの陵辱を示すような痕跡はなかった。体は清められ、シーツは取り替えられ、パジャマも着せられた上で寝かされていたのだ。
ユーシナは、あれは夢だったのだと信じようとした。だが、体には傷が残されていた。ミーアニーナに噛まれた痕が、赤くなって、乳房にいくつも残っていたのだ。
ミーアニーナはいつもどおり、ユーシナを起こしにやってきた。その様子はいつもとまったく同じで、昨晩の異常さはまったくうかがえなかった。ユーシナには彼女が何を考えているのか全く分からなかった。
ユーシナは調子を合わせることに決めた。何もなかったことにするのだ。何も。
ありきたりな日常だった。二人はお茶を飲みながら談笑さえした。ただ、昨晩のことだけは一言も話さなかった。このまま昨晩以前の状態に戻れるのだと、ユーシナはほとんど信じかけた。
だが、それも夜が来るまでだった。
ミーアニーナはいつものようにやってきた。彼女が部屋に入ってくると、ユーシナはもう平静ではいられなかった。脚ががくがくと震えていた。喉元までせり上がってきた恐怖で、頭がくらくらした。
「お嬢様」
ミーアニーナが気遣わしげな表情で一歩近づくと、ユーシナは、
「ひっ」
と小さな悲鳴を上げ、一歩後ずさった。
ミーアニーナの顔に悲しげな表情が浮かんだが、ユーシナにはそれに気づく余裕はなかった。
ユーシナは怯え切った様子で、今にも泣き出しそうになりながら哀願した。
「お願い…乱暴にしないで…何でも言うことを聞くから…」
ミーアニーナは悲しげな瞳で、じっとユーシナを見つめた。やがて彼女の手が頬にそっと触れると、ユーシナはびくりと体を震わせた。ミーアニーナはその様子を見ると、手を引っ込めた。
「…分かりました、お嬢様」
何かをあきらめたような声で、ミーアニーナはいった。
ぴたりと口に生温かい物が触れた。弾力があり、ぬるぬるしていて、甘ったるい芳香を放っている。男根触手の先端だった。全裸になったユーシナは、ベッドの上にぺたりと座り込んでいた。ミーアニーナがその正面に膝立ちになり、割れ目から男根触手を伸ばし始めると、ユーシナは恐怖から逃れようと、固く目を閉じたのだ。
ユーシナは口を半開きにし、男根が侵入してくるのに任せた。男根は口の中を規則正しく行き来した。ユーシナは身を固くしたまま、されるがままになっていた。じゅぶ…じゅぶ…口の中でいやらしい音がする。粘液と唾液が入り混じった物が掻き混ぜられる音。その淫らな液体が口の中に溜まり始めると、ユーシナはごくりと喉を鳴らして飲み込んだ
次第にミーアニーナの息が荒くなってくるのが分かった。ユーシナは、また彼女が昨晩のように凶暴になるのではないかと気が気ではなかった。握り締めた拳は恐怖のために震えていた。
「お嬢様…飲み込んでください…」
やがてメイドがいい、口の中に精液がほとばしった。
吐き気がするような甘ったるい淫らな匂いが充満し、ユーシナは必死でそのどろりとした液体を飲み込んだ。喉を伝って熱いものが流れ落ちていく。それと同時に、体がカッと火照り始めるのが分かった。
「んぐ…ぐ…ぷはっ…けほっ…けほっ…はっ…はあっ…はあっ…」
男根が引き抜かれるや、ユーシナは咳き込み、幾分かの精液を吐き出してしまった。
やがてそれが収まると、メイドはユーシナに横になるようにいった。ベッドに背中を倒しながら、ユーシナは早くも下腹部が疼いているのに気づいた。飲み込んだ精液の催淫作用がそうさせているのだ。全身が過敏になっていた。背中に当たるシーツの感触さえも快感に変わる。昨晩ミーアニーナに噛まれた部分がズキズキと疼き、乳首が固くなってジンジンし始めた。
「くっ…ぅ…」
ユーシナは思わず出そうになった喘ぎ声を飲み込んだ。ぎゅっと目を閉じて、顔を背ける。ミーアニーナに感じている顔を見られたくなかった。
やがてミーアニーナの手がユーシナの両脚を左右に開いた。ユーシナの性器はすでにヒクヒクと蠢き、愛液を垂らし始めていた。
ぐちゅり…男根が入ってきた。
「うっ…ぐ…んっ!」
ユーシナの体がびくんと震え、背筋が反り返った。濡れてはいるものの、きつく締まった膣の中を、ずぶずぶと男根が進んでくる。
一旦奥まで達すると、男根は、口内を犯したときのように、規則正しく行き来し始めた。
「んっ…くぅ…うぅ…ぐっ…はっ…はっ…はあっ…んんっ!」
ユーシナは喘ぎ声を我慢しながら、じっと耐えていた。男根の動きは激しくはなかった。その先端は奥まで届いておらず、ユーシナの体全体を揺さぶるようなこともなかった。だが、体内を異物が行き来する感覚はおぞましく、それに快感を感じてしまう自分がこの上もなく嫌だった。
やがて男根が子宮口にぐいと押し付けられ、熱い精液がほとばしって子宮の中を満たしていった。
平穏な生活が戻ってきた。自分がじっと陵辱に耐えてさえいれば、ミーアニーナが凶暴になったりはしないということも分かってきた。ただじっとして、彼女が自分の中に精液を注ぎこむのを我慢していればいいのだ。彼女は毎晩、何度も何度もユーシナを犯した。回数を数えたことはなかった。疲れて途中で眠ってしまうからだ。ただ、眠った後も犯され続けていることは間違いなかった。
いや、もうユーシナは犯されているのではなかった。セックスですらないのだ。二人とも、快楽を求めたりしているのではなかった。種付奴隷が、種付の作業を行っているだけなのだ。子供さえできれば、こんな苦行からも開放されるのだ。
だが、ある日のこと外出から戻ると、ミーアニーナが赤い顔で苦しそうにしていた。既視感がユーシナを襲った。無理やり犯されたあの日と同じだった。ユーシナはさっと顔色を変えた。
「ミーアさん…」
メイドは申し訳なさそうにいった。
「お嬢様…お願いします…」
無力感がユーシナの全身を冒していった。逆らうことはできなかった。恐怖がユーシナの心臓を締め付けていた。
「分かったわ」
震えそうになる声を抑えながら、ユーシナはうなずいた。
ワンピースの裾に手を入れてパンティを脱ぐと、あの日と同じようにベッドの陰に四つん這いになった。あの日と違うのは、自らワンピースの裾をたくし上げて、下半身をむき出しにしたことだった。触手の粘液や精液で服が汚されるのが嫌だったのだ。それから声が漏れないように、その裾を口に含んだ。
屈辱感がユーシナを苛んだ。自らの奴隷を恐れ、その言いなりにならなければならない自分が情けなかった。白昼、こんなあられもない姿で這いつくばっている自分が浅ましかった。そして犯されているところをメイドたちに見られるかもしれないことを思うと、自分の惨めさに吐き気がした。
ミーアニーナの手が腰を掴み、熱い男根がユーシナのまだ準備のできていない割れ目に強引に侵入してきた。
「ぐっ…」
痛みで涙が滲んだ。ぐしゅっ、ずしゅっ、ぶしゅっ…男根が何度も女陰を突き、ユーシナの狭い膣を無理やり広げながら中へ入ってくる。すぐ耳元で、ハァハァというミーアニーナの荒い息遣いがした。
ユーシナの痛みにはかまわず、男根は奥までユーシナを貫いた。膣がぎりぎりと異物を締め付ける。男根のドクドクという脈動が耳に聞こえるようだった。
「うぅっ!」
ミーアニーナの短い呻きと共に、熱いものが子宮の中へとぶちまけられた。
これで終わったと思った。逆流した精液が、ぽたぽたと割れ目から溢れ出して、絨毯の上に滴った。
ユーシナは噛んでいたワンピースの裾を離すと、肩越しに言った。
「…もう終わったんでしょう? 早く、抜いて」
「申し訳…ありません…」
「え?」
ユーシナが問い返す間もなく、男根が再び動き始めた。
「ひっ! あっ! ああっ!」
不意を突かれたユーシナは、思わず声を上げていた。男根が子宮口を突くたびに頭に火花が散った。あれほどまでに異物を拒んだ膣も、今や精液が潤滑剤となり、男根の動きをスムーズにしていた。
じゅぶっ、じゅぶっ、じゅぶるっ…淫らな音が響き、精液と愛液が入り混じったものが、飛び散った。ユーシナの華奢な体が、貫かれる衝撃で揺さぶられる。
「あっ、ああっ、らめっ、あああっ!」
ユーシナは背筋を仰け反らせて喘いだが、その口元はすぐにミーアニーナの掌で塞がれてしまった。
「んっ…んんっ…んぐっ…くっ…うぅ…んっ!」
腰が痺れるような感覚が這い上がってきた。下腹部が熱い。感じているのだ。犯されながら。脚ががくがくと震えだす。
そのときになって、ユーシナはようやく悟ったのだった。自分はもはや、この種付奴隷のそのまた奴隷でしかないことを。彼女の気まぐれな性欲を満たすためだけの、生きた人形に過ぎないことを。彼女はいつでも望むときに、自分の中に精液を注ぎこむことができるのだ。そして、自分はそれに従うしかないのだ。
その考えは奈落の底に突き落とされたかのような絶望感をユーシナにもたらした。それと同時に、ユーシナの背筋には得体の知れない快感が走り抜けていった。それは、誰かの性欲を処理するだけの存在と化した者だけが感じることのできる、被虐的で倒錯的な堕落した快感だった。虐げられ、辱められ、淫らな屈辱にまみれた者が逃げ込むことのできる、最後の楽園なのだ。
それは吐き気がするような快感だった。虫唾が走るような恍惚感だった。手足の感覚が薄れていくのと入れ替えに、その快感は全身を覆いつくしていった。
ユーシナはたちまち絶頂に達した。仰け反った体がびくびくと震え、割れ目から愛液が噴き出した。頭の中が真っ白になる。わずかな時間を置いて、お腹の中に精液が注ぎこまれるのが分かった。そのおぞましい感覚を感じながら、ユーシナは理解のできない幸福感を一瞬だけ感じた。それからユーシナの意識は急速に闇の底へと沈んでいったのだった。