触手姫物語(10)








騎士の贖罪(前編)



由緒正しいエルトワ家のミリス、第一王女シーア姫の栄光ある近衛騎士ミリスは、今や罪人として裁かれようとしていた。城を捨てて旅の空にある第二王女シール姫を連れ戻すという、シーア姫から直々に授けられた任務に失敗したのだ。

裁きは正式なものでもなければ、公平なものでもなかった。場所はシーア姫の豪奢に飾られた私室。数人の近衛騎士たちがミリスを取り囲み、シーア姫が無限の権力を背景に断を下すのだ。

ミリスの報告を聞いても、シーア姫の表情は変わらなかった。シール姫によく似た青い瞳と、美しい金の髪。だが、気弱でおとなしそうなシール姫に対して、シーア姫はいつも眠そうで、何を考えているのか分からない。

シーア姫はしばらくの間、つまらなそうにミリスの顔をじっと見つめていたが、ようやく口を開いたかと思うと、一言だけいった。

「地下牢へ連れて行きなさい」

ミリスが呆然とする間に、二人の騎士が彼女の両腕を取り、引きずるようにして引っ立てていった。

ミリスは地下牢の陰惨な雰囲気に震え上がった。剥き出しの石の壁、ひんやりとしてそれでいて生温かいようなねっとりとした空気、コツコツと響き渡る足音、数少ないランプがゆらゆらと揺れて、不気味な地底の迷宮をおぼろげに浮かび上がらせている。

ミリスはすべての衣服を剥ぎ取られ、頑丈な石牢へと放り込まれた。高い位置にある窓と、食事を差し入れる隙間から、廊下のランプの明かりがかすかに入ってくる以外は、すべてが闇に包まれている。ミリスは心細さと、主君の思いもよらない仕打ちに、すすり泣いた。

どれくらいの時間が経っただろう。重い石の扉が開き、黒い影が、

「出ろ」

といった。ミリスは影の命じるままに従った。

影はこの王宮の地下牢の獄卒だった。がっしりした体格で、ミリスよりも頭一つ分高い。

ミリスは牢とは違う木の扉のついた小部屋へ連れて行かれた。乱暴に背中を押されて、中によろめきつつ入る。背後で、ギギと音を立てて扉が閉まった。

薄暗いランプに目が慣れてくると、すでに一人の先客がいることが分かった。

「姫様…」

このような場所には場違いな、美しいシーア姫の姿がそこにあった。シーア姫はいつものように裾の短いドレスを身に付け、魅惑的な太腿もあらわに、脚を組んで椅子に腰掛けていた。

ミリスは尊崇し、敬慕している女主人の姿を見て涙ぐんだが、シーア姫はつまらなそうな表情で立ち上がると、石の壁に飾られているさまざまな器具から、いくつかの物を選んで、獄卒に手渡した。

ミリスはそれを見てはっとした。慌てて室内に目を走らせる。天井からぶら下がっている鎖、手術台のような拘束具付きのベッド、三角木馬、そしてそれ以外のさまざまな淫具…ミリスは背筋に寒気が走るのを感じた。奥手な彼女にも、ここが女性を責め苛む為の部屋だということは明らかだった。

獄卒は、シーア姫から受け取った器具を、無言のままミリスの体に取り付け始めた。足にはおもり…首輪…目隠し…最後に天井からぶら下がっている鎖の先に両腕を繋がれる。

完全に無防備になったミリスは、シーア姫の視線を意識して、恐怖よりもむしろ恥かしさに震えた。

そのシーア姫が獄卒に向かって話す声が聞こえた。

「これも、塗ってあげなさい」

「ですが姫様、それでは懲罰になりません」

「いいのです。わたくしの大切な騎士なのですから」

コツコツと足音がして気配が近づいた。

「ひっ」

ミリスは思わず小さな悲鳴をあげた。獄卒のものらしい大きな手が胸に触れたのだ。その手は、何かぬるぬるとしたものを、全身に塗りたくっていった。胸から腰へ、背中からお尻へ、そして、最後には股間にまで念入りに塗りつけられる。

「あぁ…ぁ…」

ミリスは喘いだ。何かを塗りつけられた部分が、急速に燃えるような疼きに包まれたのだ。塗りつけられたのは媚薬だった。アソコが熱い。はやくも愛液があふれて太腿の内側を伝って流れていく。鎖に繋がれた両手を動かせないもどかしさの為、ミリスはじれったそうに身悶えした。

だが、次の瞬間、ひゅんっという風を切る音と共に、ミリスの背中に激痛が走った。

「キャァアアアアア!」

ミリスは激しく体を仰け反らせて悲鳴を上げた。

だが、激痛はすぐに焼けるような熱さに変わり、さらにそれは燃えるような快感へと変化した。

「あぁ…ぁ…あ…ひぃ…ぃ…」

ミリスは快感のあまり、鎖にぶら下げられたまま、膝をがくがくと震わせた。涙が目隠しの下から頬を伝い、石の床にぽたぽたと零れ落ちる愛液が小さな水溜りを作る。

シーア姫はその淫靡な光景を眠そうな瞳で見つめながら、普段と変わらない声音で話し掛けた。

「ミリスさん、これは罰です。我慢してください」

再び鞭が振り上げられ、ミリスの背中に振り下ろされた。

「ヒィイイイイイイ!」

鞭が飛ぶたびにミリスの体は激しく跳ね、悶えた。背中には無残な赤い筋が次々と増えていくが、ミリスは強力な媚薬のために、歓喜の叫びを上げ続けた。

シーア姫はその光景を無表情に見守っていたが、やがてミリスが気を失うと、獄卒に次の指示を与えた。



ミリスは気が付くと、悪夢が去っていないことを知った。彼女は三角木馬に上に座らされていた。全身を縄で縛られて。媚薬がまだ効いているのだろう。皮膚に食い込んでくる縄や三角木馬の鋭い縁が、痛みと共に焼けるような快感をもたらしていた。

「気が付きましたか、ミリスさん?」

ミリスは目隠しが外されている事に気づき、シーア姫の方を見た。

「姫様…」

ミリスの声は涙声になった。絶えることなく続いている痛みと快感が、少女を責め苛んでいるのだ。

シーア姫は彼女の哀願するような瞳にも関わらず、淡々といった。

「任務に失敗したことに対する罰は終わりました。ですが、あなたには聞かなければならないことがあります。あなたの報告は明らかに不完全なものでした。なぜ、いったんシールと出会いながら、見逃したのですか?」

「そ…それは…」

「答えなさい。あなたには、すべてをわたくしに話す義務があります」

シール姫に強制されたあの淫らな一夜がミリスの脳裏を駆け巡った。ミリスはその姉であるシーア姫を前にして、恥かしさのあまりうつむいた。

不意にシーア姫が手を伸ばした。

「あっ…姫様…だめっ…」

ミリスは喘いだ。シーア姫のなよやかな手のひらが、そっと彼女の乳房を包んだのだ。縄できつく縛り上げられ、その隙間から飛び出したふくらみが、シーア姫の手の動きと共に、ゆっくりと変形していく。

「ああっ…うぅ…」

シーア姫の手はやさしく乳房を揉みしだき、固くなった乳首を、繊細な指先で嬲った。ミリスがたまらずによがると、縄が全身に食い込み、木馬が秘所にめり込んだ。

「ひっ…んっ…んんっ…くぅ…ぁああ…あ…あ…」

ミリスの愛らしい顔は、苦痛と快楽のために歪んだ。せり上がって来る悲鳴を必死で押し殺す。

シーア姫は彼女の苦しそうな様子を見ながらも、意に介した風もなく、彼女を嬲りつづけた。やがてシーア姫の手は木馬の頂辺が食い込んでいる股間へと降りていった。半ば木馬に押し潰されている陰核にそっと触れる。

ミリスの背筋に痺れたような衝撃が走り、秘所からあふれ出た愛液が木馬に密着した太腿を伝って流れ落ちた。

「ああっ…だめっ…あっ…ああっ……ああぁ…あぁあああああっっ」

ミリスは全身を痙攣したように震わせると、がっくりと頭を垂れた。

「ハァハァ…」

ミリスの肩で息をしながら、嗚咽を漏らした。逝ってなおミリスは苦痛と快楽から開放されてはいない。木馬の上にある限り、太腿は淫らに開かれ、その禍々しい突起は秘所を鋭く圧迫し続けるのだ。

ミリスはゆっくりと顔を上げた。潤んだ瞳が哀願するようにシーア姫を見つめる。

シーア姫がミリスの頬から首筋をそっと撫でると、ミリスはそれだけで感じてしまったように、肩をすくめて喘いだ。

「あ…あぁ…姫様…」

「さあ、わたくしに全て話しなさい。そうすれば、楽にしてあげます」

ミリスは苦しそうに話し出した。

「シール姫様が…」

「シールがどうしたのです?」

「私と…エッチなことをしたいと…おっしゃられて…そうすれば、城にお戻りになられると…」

シーア姫の眉が、かすかに上がった。

「それであなたはシールとセックスしたのですか?」

ミリスの瞳から大粒の涙が零れ落ちた。

「申し訳ありません…姫様に…あのようなことをするなど…騎士として…騎士としてあってはならないこと…私を…ああっ…私を殺してください…殺して…ううっ…ぅ…」

「どうやってシールとセックスしたのです?」

「…男の人の…アレの形の道具で…私のアソコと…姫様のアソコに…」

シーア姫は無表情で壁にかかった淫具を一瞥すると、その中の一つを手にとってミリスに見せた。紐のように細いパンティの形状だが、秘部に当たる部分に、外と内の両側に向かって男根形の張形が禍々しく突き出している。

「これですか?」

ミリスはべそをかきながらも、こくりとうなずいた。

シーア姫はなおも尋ねた。

「これをあなたが付けて、シールを犯したのですか?」

再びミリスのうなずき。

「あなたは処女だったはずです。どうやってこれを付けたのですか?」

「自分で…破りました」

「それからどうしました? シールは触手を出しませんでしたか?」

「…出し…出しました…」

「あなたを犯した?」

「…はい…ずっと朝まで…」

「わかりました。シールに触手で犯されたのなら、任務を続行できなくなっても当然です」

シーア姫が首を振って指示すると、獄卒は滑車をガラガラと回してミリスをいったん吊り上げ、それから冷たい石の床に下ろした。ぐったりしたミリスを獄卒が抱え上げ、手際よく縄を解いていく。ミリスの肌には、痛々しい縄の痕がくっきりと残っていた。

「姫様…」

ミリスはおどおどした様子で主君を見上げた。

「…私を、お許し…くださるのですか?」

「誰がそんな事を言いました?」

シーア姫がかすかに小首を傾げると、ミリスの背筋に冷たいものが走った。獄卒が低い声で、

「立て」

と命じる。ミリスが怯えながら言うとおりにすると、獄卒は彼女の両手を台の上の枷にはめ、それから両脚を大きく広げさせて、それぞれの足首を床に繋がれた枷に固定した。台の上に手を固定されたミリスは、今や腰を後方へ突き出す挑発的な姿勢となり、しかも両脚を閉じられないように固定されてしまっていた。誰に説明されなくとも、ミリスにはそれが犠牲者を後ろから犯すための拘束具だということが分かった。

「あっ…」

ミリスは喘いだ。シーア姫が後ろから彼女の秘部を弄り始めたのだ。シーア姫は手を動かしながら言った。

「任務を失敗したことはあなたの罪ではありません。しかし、あなたには他に二つの罪があります」

シーア姫の指は、ミリスの陰核を嬲り、さらに秘部の中をまさぐって愛液を滴らせた。ミリスはその絶妙な指使いに、背筋をしならせ、快感のあまりすすり泣いた。

「うっ…うぅ…んっ…んくぅ…ひっ…ああっ…」

シーア姫はミリスの痴態を見下ろしながら続けた。

「第一の罪は、わたくしのシールを犯したことです。これは万死に値します」

「ひっ…くっ…ううっ…んっ…んくっ…ひぁああ…」

「第二の罪は、わたくしの騎士であるにもかかわらず、わたくし以外の手で処女を失ったことです。わたくしの騎士になったときから、あなたの心も体も、全てわたくしの物になったのです。あなたの処女も、もちろんわたくしのものなのです」

シーア姫の指使いはしだいに激しくなっていった。それにつれて、ミリスの喘ぎも大きくなった。

「あっ…ああっ…あひっ…あぅんんっ…ひっ…ぁあああぁぁああ…」

「答えなさい。シールに犯されて気持ちよかったのですか?」

「ひっ…あうぅ…んぁああ…」

「答えなさい」

シーア姫の冷ややかな言葉に、びくりとして、ミリスは喘ぎながらいった。

「ああっ…気持ちよかった…です…うぅ…」

「ここに、アレを入れられたのですか?」

「は…はい…姫様…何度も…何度も、姫様のアレが私の中に入ってきて…あうぅ…私の全身を…ぐちゃぐちゃにして…とても…とても、気持ちいい…んっ…んんっ…ひいっ…気持ちいい…姫様、気持ちいいです…ぅ…」

シーア姫はミリスから離れた。代わりに服装を着替えた獄卒が彼女の背後に立った。獄卒はぴったりとした黒い皮のコスチュームを身につけていた。このコスチュームは囚人を責めるためのもので、股間から男根形の張形が禍々しく突き出している。

シーア姫が軽く首を振って指示すると、獄卒は皮の手袋を嵌めた手でミリスのお尻をつかみ、ぐいっと自分の方へ引き寄せた。

ミリスは脚を突っ張り、身を仰け反らした。

「あぁあああああ…あぁ…入ってくる…入ってくるよぉ…ひっ…」

獄卒は慣れた腰つきでミリスを突き始めた。張形が秘所を貫く、じゅぷじゅぷといういやらしい音が部屋の中に響き渡る。

「あっ…あっ…あんっ…んんっ…くぅっ…うっ…ひっ…あっ…ああっ…」

ミリスはもはや恍惚とした様子で喘ぎながら、獄卒の運動に合わせて、激しく腰をよがらせ始めていた。それにつれて、獄卒も、その長身をしならせて、絶間なくミリスの濡れそぼった秘部を責め立てた。過剰にあふれ出た愛液が、獄卒が腰を叩き付けた衝撃で飛び散り、ほの暗いランプの光に一瞬だけきらめいて美しいシーア姫の頬を汚した。

ミリスは切羽詰った様子で、声を上げ続けた。

「あっ…ひっ…姫様っ…だめっ…もうダメです…いくっ…いっちゃいます…あっ…んっ…いくっ…くぅ…んっ…ひぁっ…ああぁ…だめっ…あっ…ああっ…いやっ…あぁぁあああぁ…あぁぁあああああっっっ…っ……っ…」

ミリスは甲高い絶頂の声を上げると、糸が切れた人形のように、がっくりと拘束台の上に覆い被さるようにして倒れこんだ。

「連れて行きなさい」

シーア姫が命じると、獄卒はミリスの拘束を解いて抱きかかえ、再び牢に入れるべく、部屋の外へと連れ出した。

シーア姫は一人部屋の真中にたたずみ、ついさっきまでミリスが悶えていたその場所をじっと見つめていた。その無機的な美貌からは、どんな表情も窺うことはできなかった。彼女は頬に飛び散ったミリスの愛液を指で掬い取ると、その指先を無言で口に含んだ。


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