二人の触手姫(5)
王国の心臓部である至聖殿は、人の気配一つなく、荘厳な静けさに包まれていた。その暗闇の中を、まるで月の妖精かと思われるような美しい少女が一人、歩いていく。夜遅くまで、地下深くから聞こえていた女たちの喘ぎ声も、今はもう途絶えている。起きているのは少女一人だけだった。
シャンタン王朝の第一王女シーア姫は、地下の洞窟へと降りていくと、光りゴケの発する青緑色の光の中で、父でありこの国の支配者である、巨大な触手生命体を見上げた。
それは、あまりにも幻想的で美しい光景だった。天使の美貌を持った少女と、神話の中から出てきたような美しくもグロテスクな怪物は、しばらくの間身じろぎもせずに見つめ合っていた。
「お父様」
洞窟の中に、少女の透き通った声が響いた。
「今日は話を聞いていただきたくてまいりました」
王の透明な体の中で、青い光がチカチカとまたたいた。
「シールが…」
彼女は妹の名をいい、何かつらいことでも思い出しているかのように、しばらく沈黙した。
「…シールがわたくし以外の人間とセックスしているのを見てしまったのです。あれほど愛していると言ったのに…あれほど、自分はわたくしだけのものだと言ったのに。シールはわたくしだけのものです。わたくしのために生まれてきたのです。身も心もすべてわたくしだけの物でなければならないのです」
そして彼女はうなだれて、つぶやくように言った。
「…わたくしは、シールがいなければ生きていけません…」
それまで沈黙を保っていた王の触手がするすると床を這って、シーア姫のくるぶしに巻き付いた。そのままドレスの上から螺旋を描いて娘の体を這い上がっていく。
「お父様…?」
シーア姫が異変を感じたときには、すでに手遅れだった。
彼女の体は高々と持ち上げられた。足元から無数の触手が伸び上がってきて、彼女の全身に絡みついていく。
「お父様、いけません。わたくしは…あっ…」
それはもう、親子のスキンシップのための行動を超えていた。ドレスが力任せに引き裂かれ、ブラジャーが鈍い音と共に引きちぎられる。触手が乳房のふくらみにそって這い回り、わしづかみにするように締め付ける。
シーア姫は信じられなかった。父王は発情していないはずなのだ。
「お父様、どうして…あっ、いやっ…やめて…やめてください…」
触手が左右の太股を這い上がってくる。先端がパンティの隙間から入り込み、次の瞬間、内側からの圧力に耐えきれず、ブチッという音と共に、パンティが千切れ飛ぶ。アソコに触手が入り込んできた。膣の中をずるずると這い進み、お腹の中でぐねぐねと蠢く。
「いやっ…お父様…やめてください…お願いです…ぁ…」
父の太い生殖茎が、シーア姫の口を塞いだ。苦しそうにくぐもった声を上げる。やがて男根は大量の精液を娘の口の中に吐き出した。必死になってそれを飲み込もうとする彼女だったが、すぐさま次の男根が入ってくる。
男根は下腹部にも群がってきた。一本がシーア姫の秘部に押し入って、激しいピストン運動を繰り返している間、他の数多くの男根が、下腹部の優美な三角地帯から、お尻のなめらかな谷間にかけて群がり、ぐりぐりと先端を擦り付けてくる。
こんなことは初めてだった。今や、彼女に群がっている触手のほとんどが、生殖茎になっていた。父王のすべての男根が集まってきているのかも知れなかった。男根は次々にシーア姫を犯しては、中に大量の精液をぶちまけていった。
やがてシーア姫の下腹部は触手に変化したが、だからといってどうすることもできなかった。父王にとっては、彼女が人間だろうと触手だろうと、掌の上のか弱い存在であることには変わりないのだ。
男根の群は失われた女陰の代わりに、より可憐で甘美な美しい花弁に殺到した。シーア姫の長くて敏感な生殖茎の中を、多くの男根が行き来した。彼女はその相手をするために、大量の愛液を溢れさせた。男根がじゅぽっという淫らな音と共に、花弁から引き抜かれるたびに、白濁した液体の混ざった愛液が、花弁の挿入口からぼたぼたと滴った。
父王の陵辱が終わったとき、シーア姫は虚ろな瞳で、呆然と床に座り込んでいた。その姿は無惨としか言いようがなかった。美しいドレスはぼろぼろに引き裂かれ、今ではシーア姫の体にまとわりついているだけの代物と化していた。そして、全身に余すところなく、白い精液が付着していた。彼女は父の愛を、一滴漏らさず自分の体で受け止めたのだ。艶やかな髪も精液でぐっしょりと濡れて重くなり、美しい頬にもどろりとした液体が垂れ落ちて来ていた。
彼女はぼんやりとした様子で手の甲を口元に持っていくと、そこに付着している父の精液を、ぴたぴちゃと舐め始めた。
触手が伸びて、そっと彼女の体に巻き付いた。シーア姫はゆっくりと父の方を見上げた。今度はおかしなところはなかった。彼は体内の発行器官をまたたかせながら、触手で彼女の頬や首のあたり、そして彼女自身の触手に触れた。
彼女はその音声をともなわない言葉に言い返した。
「それでは、わたくしがシールにしていることは、お父様が今なされたことと同じだとおっしゃるのですか? …だからといって、わたくしがシールを愛するのを止める理由にはなりません。もしお父様がそうなさりたいのなら、わたくしはいつでもお父様のお側にまいります。お父様の望むだけ、わたくしを好きにしていただいてかまいません。なぜなら、それがお父様の愛情なのだと、わたくしは知っているからです…えっ?」
シーア姫の顔に不意を付かれたような表情が浮かび、再び父の触手が何かを伝えた。彼女は突然激しいかぶりを振った。
「嫌です。シールはわたくしの物です。わたくしからシールを取り上げるなどとおっしゃらないでください。わたくしよりお父様の方に優先権があるというのは理屈です。お父様にはお母様や他の夫人たちがいるではありませんか。一番シールを愛しているのはわたくしです。もしそんなことをなさりたいのなら、シールではなく、わたくしにしてください!」
再び沈黙。やがてシーア姫は、力無くうなずいた。
「…はい、分かりました…毎晩この時間に…」
シーア姫は落ちているドレスの断片をかき集めると、胸に抱いてよろよろと立ち上がった。
彼女は立ち去る前にもう一度言った。
「お父様、約束です。シールには手を出さないでください。シールはわたくしだけの物です」