触手の国のメイドさん(13)








姫君にお仕置き(1)



リルン姫は行儀よく椅子に腰掛け、フィズが持ってきた午後のデザートをそっと口に含んだ。

「あまーい」

少女の顔に至福の色が広がった。かたわらでじっと待機しているフィズの頬にも、微笑みが浮かんだ。この愛らしい姫君の幸福は、彼女にとっても幸福なのだ。彼女は少女の幸せそうな顔をもっとよく見ようと、眼鏡の位置を直した。

だが、完全な幸福もそこまでだった。リルン姫はメイドの方を見ると、無邪気にいった。

「ねえ、フィズ、一つお願いしてもいい?」

「何でもおっしゃってください、姫様」

「私、フィズのおっぱいが見たいの。ただ見せるだけでは駄目よ。自分でおっぱいをもむの。そうだ、ひざまずいてやるのよ。私によく見えるように」

リルン姫がこういったことを命令するのは初めてではなかったが、フィズは泣きそうな顔をせずにはいられなかった。

「でも、姫様。そのようなことは夜に…」

リルン姫はメイドの抗弁をさえぎった。

「今でなくちゃダメなの。私、本当はこのケーキをフィズに分けてあげたいんだけど、ケーキは一つしかないし…だから、フィズにはケーキの代わりに気持ちよくなってほしいの」

「そのようなことでしたら、わたくしは…」

「何でもおっしゃってくださいって言ったのはウソなの?」

リルン姫の青い瞳が潤み始めたのを見て、フィズはあきらめのため息をついた。

フィズは言われたとおりひざまずくと、メイド服の胸元をはだけ始めた。リルン姫はケーキを口に含んだまま、きらきらと輝く期待のこもった瞳でこちらをじっと見つめている。

その純真無垢な瞳はフィズにとっては幸福の源だった。だが今は幸福感よりも、全身が熱くなるような羞恥心の方が上回っていた。そして何よりも、自分が哀れにも屈従させられ、自ら辱めを受けているという背徳感が、奈落の底へと落ちていくような快感を生み出していた。

ブラジャーがずらされ、二つのふくらみがぽろりと溢れ出た。フィズはためらいながらも、自分の乳房をそっと掴み、ゆっくりと揉み始めた。

恥ずかしさで顔を上げることはできなかったが、リルン姫の無邪気な視線が痛いほどに感じられた。一杯に溜まっていた涙が、まばたきした拍子にこぼれ落ちる。

「…ぁ…うぅ…ぅ…」

嗚咽とも喘ぎ声ともつかないものが込み上がってくるのを必死でこらえながら、フィズはスカートの下に隠された太股を、互いに固く密着させた。ぬるりとした感じ。早くも溢れ出た愛液が内股を濡らしているのだ。

「フィズのおっぱいって、すごくエッチ…」

リルン姫の羨望とも憧れともつかないうっとりとした声が言った。フィズはその声にかすかな震えを聞き取って、おずおずと上目遣いに主君を見上げた。

「あ…」

フィズは切なげな声を上げた。自分の乳房を見つめている少女の瞳に、隠しようのない欲情の色を読みとったからだ。少女の瞳はとろりと半ば閉じられ、美しく潤んでいた。白皙の頬は美しい薔薇色に染まっている。

「…ねえ、フィズ。私、フィズのおっぱい食べたい」

フィズは立ち上がると、リルン姫が握ったままのフォークを取り上げて、そっとテーブルの上に戻してやった。

「失礼…します」

リルン姫の椅子に寄り添うように立ち、椅子の背を頼りに上体を傾け、胸を主人の顔に近づける。リルン姫が口を半開きにし、愛らしい舌を伸ばした。

「あぁっ…」

少女の舌が固くなった乳首を舐めると、フィズの全身が電流を流されたようにビクリと震えた。膝ががくがくと震え、今にも崩れ落ちそうになる。椅子の背を掴んだ手に力を込めようとするがうまくいかない。内股に沿って愛液が垂れていくのが分かった。

「うっ…んっ…ぁあ…あくっ…うぅ…ぅ…んあっ…やっ…姫様…」

乳首をしゃぶるピチャピチャという音、それに堪えきれない喘ぎ声が午後の静かな部屋を満たした。

やがてリルン姫が唇を離した。よほど興奮しているのか、フィズと同じようにハァハァと喘いでいる。

「私、すごく興奮してきちゃった。あのね、フィズ、私、フィズのえっちなところを見ると、すごく興奮するの。だって、フィズの体、とってもきれいなんだもん。今だってほら…」

リルン姫は舌を伸ばして、フィズの乳首をぺろりと舐めて見せた。唾液に濡れたピンクの乳首が、斜めに差し込んでいる陽光の反射を受けてエロティックに輝いている。少女はうっとりと言った。

「…フィズの乳首、こんなに固くなって、キラキラして、えっちな宝石みたい…」

リルン姫は自分の両腕を抱きしめると、まるで何かに耐えているように体を震わせた。フィズは少女の脚がドレスの下でもじもじと蠢いていることに気づいた。フィズは自分が今にも倒れそうになっているのに耐えながらたずねた。

「姫様、感じていらっしゃるのですか?」

「う、うん…あそこがすごく熱いの。今夜もフィズのこと、めちゃくちゃにできるんだって想像したら…」

恥ずかしそうにうつむいて告白する少女の姿に、フィズはあたたかなものが胸で生まれ、全身に広がっていくのを感じた。この少女を守ってあげたい、その望むことをしてやりたい。

フィズは次にこの姫君が命じることを知っていた。そして自分がその言うがままになることを知っていた。自分は彼女の足元で四つん這いになり、ドレスの下に潜り込んで、少女の最も感じるところを犬のように舐めてやるのだ。それは恐ろしいほどの恥ずかしさを伴うだろう。フィズはその想像だけで全身が熱くなるのを感じた。

だが、今はこの少女に対する慈しみの方が強かった。

「姫様…」

フィズは母親のようにやさしい笑みを浮かべて、そっと手を伸ばし、少女のやわらかな黄金の髪をそっと撫でてやった。

だが、リルン姫はその愛撫から逃れるように、身をよじり、消え入りそうな声で言った。

「ダメ…フィズ…私、そんなことされたら…感じ過ぎちゃう…あっ…あぁ…」

フィズは慌てて手を引っ込めたが、少女の体の震えは止まらなかった。リルン姫は固く両目を閉じ、両腕をぎゅっと抱きしめたまま、びくびくと全身をふるわせたかと思うと、くたっと椅子の背にもたれかかった。

「ひ…姫様…?」

フィズは意外な成り行きに、おそるおそるリルン姫に顔を近づけた。息をしていない。フィズは自分の顔から血の気が引いていくのが分かった。一度始まってしまった触手への変身は止めることはできない。快楽ではなく、陵辱の恐怖がフィズの全身をガクガクと震わせた。

フィズはしばらくの間、眠っているようなリルン姫の愛らしい顔を凝視していたが、ようやく椅子の背もたれから手を引っ込めると、おぼつかない足取りで後ずさった。

だが、不意にフィズは逃げようとする動作を止めた。眼鏡の奥の瞳には、恐怖と共に憐憫の色が宿っている。彼女は泣きそうな声でつぶやいた。

「駄目…できない…」

フィズは震えながらも、再びリルン姫に近づき、その足元にひざまずいた。はだけられたままの胸の前で、祈るように両手を組む。

椅子の脚をつたって床を這ってくる触手が目にはいると、フィズは耐えきれずにぎゅっと目をつぶった。

床に突いた膝から触手が這い上がってきた。腰のまわりを一回りし、先端が乳房へと巻き付く。ヌルヌルとしたたとえようのない快感。固く立った乳首を、別の触手が嬲り始める。

「ぁ…うぅ…んくっ…んっ…」

フィズは必死に堪えたが、そうしている間にも、触手は足首へ、腕へ、首筋へと、次々に絡みついて彼女の自由を奪っていく。無数の触手が蠢く、ヌチュヌチュという音。合わせていた腕が引き離され、体がぐいと持ち上げられる。天地がひっくり返るような感覚。フィズはリルン姫が後ろから挿入しようとしているのを感じ取る。

そのとき不意にメイド服に力がかかり、ビリビリという生地が裂ける音が響いた。

「あっ…だめっ…」

フィズは驚いて目を開けた。彼女の抗議にもかかわらず、触手はその圧倒的な力で、ビリビリとメイド服を引き裂いていく。

一瞬の間にフィズの脳裏を様々な思いが渦巻いた。まだ昼間なのだ。服を破られては、部屋に戻ることができなくなってしまう。それに何といっても…

「いやぁあああっ」

触手が秘所になだれ込んでくると同時に、フィズは叫び声を上げた。リルン姫への愛情のために押さえ込まれていた恐怖心が解放された。自分の人間性が、触手の異常な性欲のために、造作もなく蹂躙され踏みにじられてしまうという恐怖。あらがいようのない触手の快楽につかまったら、二度とまともな自分に戻れなくなるのではないかという、奈落の底へ落ちていくような恐怖。

「いやっ…姫様、おゆるしを…あっ…だめ…いけません…あぁ…いやぁああ…」

涙と、粘液に汚された眼鏡のレンズを通して、重い扉が歪んで見えた。あの扉から…あの扉から誰かが入ってきたら、犯されている自分の姿を見られてしまう。いつまでも戻ってこない自分を心配して、他のメイドが見に来るかも知れない。あるいは自分の喘ぎ声が、すでに外まで聞こえてしまっているかも知れない。誰かに見られるということを考えただけで、絶望と、そして得体の知れない快感が全身を冒していく。

「ああぁ…だめ…いやぁ…」

ぽろぽろと涙を流しながらも、フィズの声には甘ったるい響きが混ざり始めた。

全身を触手が這い回っている。肌の露出した部分はすべて粘液でベトベトに汚されている。いったい何本の触手があそこに入っているのだろう。お腹の中で蠢く感触。ゴリゴリと膣の襞を擦っている。じゅぽっと音を立てて触手の一本が引き抜かれると、内股を驚くほどの生暖かい液体が流れ落ちる。そしてまた新たな触手が、すでに一杯になっている膣に強引に潜り込んでくる。そうやって体内から圧迫されるたびに、フィズは苦しげな喘ぎ声を上げた。

そのとき、フィズは扉が開き始めたことに気づいた。

「いや…だめ…こないで…あぁ…」

フィズは絶望に喘いだが、その哀願は陵辱に打ちひしがれた少女の弱々しいつぶやきにしかならなかった。こちらに向かって歩いてくる足音を聞きながら、フィズはぎゅっと目を閉じた。

「あぁ…見ないで…見ないでください…」

足音はフィズの目前で止まった。頭上から声が降ってきた。

「フィズリリーナ、これはどういうことですか?」

その冷たい声に、フィズははっとして頭上を見上げた。リルン姫の姉であるファーナ姫が、こちらを見下ろしていた。

「ファーナ様…助けて…お願いです………」

フィズの哀願に、ファーナ姫は無関心そうに言った。

「フィズリリーナ、あなたが犯されている姿はいつ見てもよいものです。ですが、メイドの調教を始めるには早すぎる時間のようです。なぜこんなことになったのですか? あなたがリルンを誘惑したのですか? いくらあなたが淫らでいやらしい奴隷だとしても、リルンをそれにつきあわせることは許しません」

「そんな…」

フィズが言いかけると、一本の触手が口の中へ入り込み、中で暴れ始めた。

「んっ…んんっ…くっ…うぅ…」

粘液が喉の奥へ流れ込み、フィズは苦しさに悶えた。涙があふれ、同時に口からも涎がこぼれ出る。

ファーナ姫が妹に向かって呼びかけていた。

「リルン、おやめなさい。さもないと後でお仕置きをしますよ」

だが、触手はいよいよ猛り狂ってフィズを弄んだ。フィズはかすかな視界の向こうで、何本かの触手がファーナ姫の脚に絡みつき、引きずり倒すのを見た。触手はフィズと同じように、姉のドレスをも引き裂き始めたが、そうしている間も、ファーナ姫はほとんど無表情で、かすかに眉をひそめただけだった。

ファーナ姫の姿はすぐに触手の群れの向こうに見えなくなった。やがて、フィズは、自分の喘ぎ声に混ざって、ファーナ姫の可憐なよがり声が聞こえてくることに気づいた。

犯されている間、フィズは何度かファーナ姫の姿を触手の向こうに見ることができた。跳ね上がった乳房に触手が巻き付き、いやらしく変形している姿。突き上げられた腰に、背後から何本もの触手が挿入されている姿。一度に見ることができるのは、ファーナ姫の一部分だけだったが、それでもファーナ姫が妹に滅茶苦茶にされているのは明らかだった。

陵辱がどれくらい続いたのかは分からなかった。触手は大量の愛液を噴き出し、フィズは濡れた絨毯の上でその淫らな液体と触手にまみれながら悶え狂った。再び扉が開き、大勢のメイドたちがやってきたような気がした。フィズは朦朧とした意識の中で、「見ないで! 見ないで!」と叫び続けた。その激しい羞恥の中でフィズの興奮は極限に達し、その絶望にまみれた意識はぐるぐると回りながら闇の底へと沈んでいった。


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