触手の国のメイドさん(14)








姫君にお仕置き(2)



フィズは暗い気持ちで部屋の中へと入っていった。

「リルンの様子はどうです?」

とファーナ姫が尋ねる。

「静かにしていらっしゃいます」

フィズは答え、改めてファーナ姫を見やった。ファーナ姫はいつもと何の変わりもないようだった。なぜこの方は、こんなにも冷静にしていられるのだろう。フィズが思っていると、ファーナ姫が不思議そうにいった。

「フィズリリーナ、なぜそんなに悲しそうな顔をしているのですか?」

フィズは今日の午後起こったばかりのことを思い出して肩をふるわせた。涙が溢れてくる。堪えきれずに、フィズは両手で顔を覆い、啜り泣き始めた。

「泣いていては分かりません」

ファーナ姫の手が、そっと彼女の肩を抱き、ソファに座らせた。フィズは涙声でいった。

「…わたくし、姫様に犯されているところを、みんなに…ファーナ様だって…ファーナ様はなぜそんなに落ち着いていられるのですか…」

フィズがなおも泣いていると、ファーナ姫の手が彼女の顎を持ち上げた。美しい顔が覆い被さってくる。

「あ…」

抵抗する間もなく唇を奪われた。ファーナ姫の柔軟な舌が侵入し、フィズの口内を蹂躙し始めた。じゅるじゅると音を立てながら、唾液が吸い上げられ、また逆流してくる。ファーナ姫の催淫物質を含んだ、甘い唾液だ。すべてを受け止められずに、口の端から溢れ出し、喉へと垂れていく。

ファーナ姫は唇を離すと、まだぼうっとしているフィズに話しかけた。

「フィズリリーナ、王宮にいるメイドのほとんどは、主人の慰み物になっています」

「存じています。でも、ファーナ様、わたくしは皆の見ている前で…」

「些細なことです。あなたもいずれ分かるでしょう。愛し合う姿を見られるのは、とても幸福なことです。そして他の者が犯されている姿を見るのは、とても楽しいことです」

「そんな…」

「フィズリリーナ、ここは王宮なのです。ここではあなたなど、私たちの慰み者に過ぎません。早くその事実を受け入れることです。あなたの体は犯されることにあんなにも喜びを感じているのに、あなたの心はそれを認めようとしていません」

ファーナ姫の淡々とした言葉に、フィズは怯えたように小さく答えた。

「も、申し訳ございません…」

「そんなことより、リルンのことです。何があったのか、詳しく話してください」

フィズが震えながらも、リルン姫に犯されるにいたった顛末を話すと、ファーナ姫は不快そうに眉をひそめた。

「よくありません。確かにあなたは、リルンの髪に触れただけなのですか。だとすれば、リルンにはそれ相応のお仕置きが必要になります」

「ファーナ様、どうか姫様をお叱りにならないで下さい。もっとわたくしが注意していれば…」

「黙りなさい、フィズリリーナ」

ファーナ姫の言葉にフィズはビクリと身を震わせた。ファーナ姫は萎縮した様子のフィズを冷ややかに見つめていった。

「…これはリルンの問題です。髪に触れられたくらいで変身していては、王族としての責務を果たせません。その程度の我慢ができないようでは、リルンはもう地下牢にでも閉じこめておくしかありません」

フィズはその言葉に頭が真っ白になった。あの愛らしいリルン姫を地下牢に? 彼女は黙りなさいというファーナ姫の命令にもかかわらずいった。

「でも姫様は、まだご幼少です…」

次の瞬間、ファーナ姫の平手が飛び、フィズは床へと崩れ落ちた。だが、フィズはあきらめなかった。泣きながらファーナ姫の足元にうずくまり、その靴を舐めるように頭を低くして訴える。

「ファーナ様、お願いです。姫様には何の罪もありません。もし姫様に罰が必要だというのであれば、このわたくしを代わりに罰してください。わたくし、姫様のためなら、どのようなことでも…」

「あなたは何も分かっていません。よほどの快感を与えられなければ、私たちは触手にならないように堪えることができます。それに、たとえ快感などなくても、努力すれば自ら触手になることだってできます。私を見るのです、フィズリリーナ」

フィズがおそるおそる顔を上げると、ファーナ姫は熱っぽい視線でこちらを見下ろしていた。何かに耐えるように、頬を赤くして瞳を閉じる。数秒の間、ファーナ姫は彫像のように立ちつくした。次にファーナ姫が目を開けたとき、そこにいるのはもう、先程と同じファーナ姫ではなかった。

フィズは目を見開いた。ファーナ姫の両肩から伸びているのは、腕ではなく触手の束だった。ドレスの裾からは、女陰から生まれた触手がこちらへと伸びてくる。フィズは両腕に巻き付いた触手によって、強引に立ち上がらされ、ファーナ姫の方へと引き寄せられた。

「ファーナ様…だめ…」

フィズは喘いだ。メイド服の中へと触手の群れが侵入してくる。足元から這い上がった別の群れが、太股から股間にそって群がりつつあった。ヌルヌルとした異質な感触が、感じやすい肌を蹂躙していく。

乳房へと巻き付いた触手が、リズミカルにやわらかなふくらみを締め上げ始めた。分泌された粘液が、メイド服の表面に染み出してくる。形を変えていく乳房。ジンジンとした快感が胸から全身へ広がっていく。勃起した乳首がブラジャーの内側を擦り始めた。と、細い触手がそこまで入り込み、固くなった乳首に粘液を塗りつけながら舐めるようにして刺激し始めた。

「はあ…はあ…ああ…」

フィズは苦しそうに喘いだ。快楽に脳が犯されていく。気持ちいい。このままどこまでも堕ちていきたい。だが、一方でそんな自分を激しく嫌悪する自分がいる。自分はメイドなのだ。いつも礼儀正しく、影のように、空気のように、主人に仕えなければならない。

それに…

ファーナ姫の青い瞳が、じっと自分を見ている。いつも通りの冷静さ。いつも通りの無感動さで、自分が淫らに喘ぎ、よがっている様を観察している。

(いや、見ないで…見ないでください…お願いです…お願いです…)

突然、フィズは触手から解放され、床へと投げ出された。

(どうして…)

フィズの胸にズキリと痛みが走る。いつもは気を失うまで陵辱されるのに。もっと嬲り者にされていたい。そんな堪えきれない思いがわき上がってくる。体が熱い。本当はそんなことは嫌なのに、体が触手を欲しがっている。なぜ自分はこんなにも淫らで恥知らずなのだろう。恐ろしい羞恥心を感じつつも、ファーナ姫を見上げる瞳は、さらなる陵辱を哀願するように、しっとりと濡れている。

「リルンも本来ならば、私と同じ事ができるはずなのです。あなたの罪は、リルンに快楽を与えすぎたことです。あなたのおかげで、リルンは快楽しか考えられない淫乱な娘になってしまいました。あなたのその淫らな唇と、いやらしい体が、リルンを堕落させたのです」

ファーナ姫の冷たい言葉に、フィズはうわごとのように繰り返した。

「わたくしを…わたくしを罰してください…お願いです…わたくしを…」

「あなたを罰しても、リルンは元には戻りません。今のリルンはけだものと同じです」

「そんな…」

フィズは絶望を感じ、涙を溢れさせた。自分があの愛らしい姫君を、駄目にしてしまった。自分のおかげで、あの姫君は地下牢に繋がれることになってしまった。

だが、恐ろしい罪の意識を感じながらも、フィズの体は熱く火照り、さらなる陵辱を求め続けている。心臓がトクントクンと速い鼓動を打ち、膣が収縮するたびに愛液が溢れ、股間を濡らしていく。

「う…う…」

フィズは床にうずくまって泣き始めた。こんな時でさえ快楽から逃れられない自分が許せない。

(姫様…姫様…)

フィズは救いを求めるように、愛しい主君を思った。もう一度あの触手に愛されたい。あの粘液にまみれ、果てしのない陵辱を受けながら死んでしまいたい。

どれくらい泣いただろう。そっと彼女の肩にファーナ姫の手が置かれた。

「フィズリリーナ、泣くのはおやめなさい。一つだけ方法があります」

「…えっ」

とフィズは、涙でグシャグシャになった顔を上げた。

「このような場合に、昔から使われた方法です。危険な方法ですが仕方ありません。うまくいけば、リルンは正常に戻ります。しかし失敗すれば、リルンはもう理性も何もかも失って、快楽以外のことは何も考えられない、ただの動物になってしまうでしょう。これにはあなたの助けがいります。手伝ってくれますね?」

(姫様が助かる…でも、失敗すれば…)

フィズは呆然とファーナ姫の冷静な顔を見つめていた。だが自分にはもうどうしようもない。もう他にすがるものはないのだ。やがて彼女は悲しげにうなずいた。

「はい、ファーナ様」

「それでは、あなたは部屋に戻りなさい。そろそろ夕食の時間でしょう。決してリルンを部屋から出してはいけません」

「はい」

フィズは立ち上がって部屋を出ていこうとした。足がふらつく。快楽の火種は全然衰えてなどいない。全身が火照って気が遠くなりそうになる。喉が渇く。呼吸が苦しい。

フィズは我慢できずにファーナ姫を振り返った。

「あ…あの…ファーナ様…」

膝がガクガクと震えている。そこから先の言葉が出てこない。

(自分から犯してくれとお願いするなんて…そんなことできない…でも…アソコが…熱くて…熱くて…)

「あ…あ…」

フィズは自分が恥ずかしかった。今の自分がどんな顔をしているのか分かる。欲情に駆られた、牝の顔だ。

「フィズリリーナ、我慢できないのですか」

ファーナ姫の冷たい声が、心臓に突き刺さる。だが、もうどうすることもできない。全身が悲鳴を上げている。フィズはメイド服の胸元を掴みながら、こくりとうなずいた。

「では、自分でするのです。私があなたの逝くところを見ていてあげます。これはあなたへのささやかな罰です」

ファーナ姫の言葉に、フィズは絶望に満ちた表情を浮かべた。再び涙が溢れだしてくる。ファーナ姫は追い打ちをかけるように続けた。

「どうしました? このくらい、リルンが受けなければならない責め苦に比べればどうということはありません。その手で自分のアソコを弄るのです」

(いや…いや…いや…いや…)

フィズは心の中で悲鳴を上げた。だが、彼女の体はまるでファーナ姫の操り人形にでもなったかのように、その命令を実行しようとしていた。両手がスカートをたくし上げ、ぐっしょりと湿ったパンティの中へと潜り込んでいく。

背筋がビクンと震えた。

「あ…あ…ああ…」

指が自分のものではなくなったかのように、勝手に秘所を嬲っている。まるでもう一人の自分に犯されてでもいるようだった。

その自分自身に犯されているフィズを、ファーナ姫が冷ややかに見つめていた。恐ろしい羞恥が全身を蝕み、発火させていく。股間も、指も、ドロドロになっていた。トロトロと溢れ続ける愛液が、ポタポタと落ちて絨毯を汚していく。

「あ…あ…いや…ファーナ様…見ないで…見な…いで…く…だ…」

フィズはもう立っていられず、がくりと膝をついた。それだけでは足りず、上半身がぐらりと揺れ、絨毯に突っ伏す。

それでも指は止まらない。

床に這いつくばって。

ファーナ様に見られながら。

それでも快楽から逃れられない。

(けだものは自分だ)

涙が溢れ、絨毯を濡らしていく。

「あっ…あんっ…ああ…んく…うう…う…」

遠くで自分が喘いでいる声が聞こえる。

もう、何も考えることができない。

高くお尻を突き上げ、腰をよじらせた。そうすれば姫様が喜んでくれるから。何本もの触手が、私の中に入り込み、のたうち、暴れ回る。それは夢? 夢でもいい。全身をくねらせ、夢中になって乳房を床に擦りつける。

「はあ…はあ…はあ…ああ…あっ…あっ…」

目が霞んで見えない。だらしなく涎が溢れて口元をドロドロにする。

「姫様…姫様…ひめさま…ヒメ…サ…マ………」

愛する主君を呼びながら、狂ったように指を動かし続けた。

「あっ…あっ…ああっ…あぁああっ…ああ…ああ…あああああああああっっっ」

ビクビクと背中を仰け反らせ、次の瞬間、フィズの体は絨毯の上にぐったりと横たわった。



「終わりましたか?」

ファーナ姫の冷たい声で、フィズは我に返った。

はあ…はあ…はあ…はあ…はあ…

息がまだ荒い。

それでもフィズは、顔を上げ、

「はい、ファーナ様」

苦しそうに答えた。

全身に震えが走る。寒さのためではなく、あれだけ嫌だと思っていたにもかかわらず、ファーナ姫の前で、これ以上ないほど乱れてしまったからだ。恥ずかしさを通り越して、自分自身の破廉恥さに対して恐怖を感じている。

「では、行きなさい。リルンのことを頼みましたよ」

フィズは命じられるままに立ち上がると、唾液と愛液にまみれたまま、ふらつく足取りで部屋を出ていった。


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