ご主人様にキス(前編)
アルマは鼻歌を歌いながらリズミカルに箒を動かしていた。落ち葉がかさかさと音を立てる。午後の穏やかな日差しが心地よかった。今日は中庭の掃除当番なのだ。アルマは突然はっとしてしゃがみこんだ。
視線の先は主人であるエルランシアお嬢様の勉強部屋。ちょうど家庭教師が来ている時間で、部屋の中にはエルランシアと家庭教師のイリーシア先生がいた。
普通に勉強しているだけだったら、隠れたりはしなかっただろう。だが、そうではなかった。椅子に腰掛けたエルランシア。その隣に座った家庭教師が、その生徒の肩に手を回し、唇にキスをしていたのだ。
アルマはドキドキしながらその様子を盗み見ていた。何度も何度も口付けを交わす。窓から差し込む光で、二人の唇の間にかかった唾液の糸が光る。エルランシアの表情は、アルマの前では一度も見せたことのない、うっとりとして、そして甘えを含んだ幸福そうな表情だった。
「いいなあ」
アルマはうらやましそうにつぶやいた。無意識のうちに人差し指を口に含んでいる。
自分の主人があの家庭教師に憧れていることは知っていた。何しろ美人なのだ。白金色の髪が光を浴びて輝いている。その白い頬は、アルマが一番の美人だと思っているエルランシアに劣らないほど美しい。何より、大人っぽい起伏のある体の曲線が蠱惑的だった。
アルマがずっと見つめている間に、エルランシアの瞳がうっすらと開き、うっとりと快楽に溺れていた瞳に、一瞬理性の色が閃いた。思わず目が合ってしまったのだ。アルマは慌てて背を向けて逃げ出した。こっそり覗いていたことが知られてしまったからには、後でどんな罰を受けるか分かったものではない。
アルマは中庭の端まで走ってきたものの、ハァハァと呼吸を整えながら、名残惜しそうに背後を振り返った。それからアルマはそっと箒を置くと、用心しながら再び勉強部屋の方へと近づいていった。
中庭にたくさん生えている木々の一本に手をかけ、するするとよじ登っていく。こういうことは子供の頃から得意なのだ。アルマは頑丈そうな横枝にうつ伏せにしがみつくと、勉強部屋を覗き込んだ。
メイドに頭上から盗み見されているとは知らない令嬢と家庭教師は、大胆にも次の段階へと進んでいた。キスを続けながら、家庭教師の手がエルランシアの胸を、服の上からまさぐっている。明らかに感じているらしく、エルランシアの頬は薔薇色に染まっていた。
家庭教師がいったん体を離すと、エルランシアは切なそうな表情で何かつぶやいた。アルマは思わず身を乗り出したが、窓が閉まっているので声は聞き取れない。
あろう事か家庭教師はエルランシアの服のボタンを外し始めた。もしメイドでもやってきたらどうするのだろうと、アルマはハラハラするが、二人の恋人たちは気にした様子もない。アルマもすぐに気にならなくなった。胸元がはだけられ、ブラジャーが手際よく外された。明るい光の下にさらされたエルランシアの白い乳房に目が釘付けになる。
家庭教師は再びエルランシアに口付けし、じかに彼女の乳房を揉み始めた。やわらかに変形する白いふくらみ。エルランシアは口を半開きにし、腰を捩じらせている。ここまで届かないが、よがり声を上げ始めたことは間違いなかった。
アルマは自分以外の他人の手によってよがらされている主人を見て、切なさと同時に激しい欲情を覚えた。
「お嬢様…」
つぶやきが漏れる。今すぐあそこへいって、自分の手でお嬢様を気持ちよくしてあげたい。美しく愛らしい唇に口付けしたい。
いつの間にかアルマの片手は、自分の乳房を揉み始めていた。すでに乳首は固く勃起している。もう一方の乳房は自分の体重によって枝に押し付けられ、押し潰された乳首からじんじんと痺れるような快感が全身に広がっていった。
眼下の情事はすでに次のステップに進んでいた。家庭教師の手が、エルランシアのスカートに潜り込んでいたのだ。その麗しい唇は、今や教え子の乳房を舐め回している。アルマの手もごく自然に自分の股間へと伸びていった。
エルランシアの首がゆっくりと左右に振られるたびに、栗色の髪が悩ましげに揺れた。目を閉じて、必死に喘いでいる。その背筋は家庭教師の手の動きに従って、よじれたり仰け反ったりした。
「…先生…あぁ…せんせい…あっ…ぁああ…」
今やエルランシアの喘ぎ声は、窓越しにもはっきり聞こえるほどになっていた。
「お嬢様ぁ…」
アルマはその主人の淫らに火照った顔を見つめながら、切なげに声を上げた。
「あぁ…お嬢様…あんなに腰をよがらせて…あっ…んっ…」
エルランシアの乱れ方が激しくなるにつれて、アルマの手の動きも激しさを増した。とろりとした愛液が掻き回され、グチュグチュと音を立てる。一方の手で枝をぎゅっと抱きしめ、胸を押し付ける。
「んくっ…んっ…んあっ…お嬢様…私も一緒に…あっ…んんっ…んくっ…ぅ…ぅあ…あっっ…あぅっっ!!」
アルマは絶頂に達し、枝に強くしがみついた。快楽の痙攣が収まるまでの間、木に顔を伏せ、必死で喘ぎをこらえる。
やがてぼんやりと目を開けると、目の前の枝に、自分の涎が垂れているのが見えた。
再び視線を勉強部屋に戻す。エルランシアの方も逝ったらしく、椅子の中でぐったりとしていた。乱れた少女の衣服を、家庭教師が優しく直している。やがて家庭教師は少女の頬に軽くキスするとドアの方へと向かった。慌ててエルランシアも立ち上がり、その後についていく。
頭上にいるアルマの場所からはそれ以上は見えなかった。視界から主人が消えたせいで、緊張感が消え、枝の上でぐったりとなる。
「はあ」
と小さなため息。
ふと気づくと、エルランシアがまた窓の近くへ戻ってきていた。イリーシア先生はもう帰ったのだろう。
エルランシアは窓を開けると鋭い視線で中庭を見回した。自分を探していることは疑いない。アルマは木の上で息を殺し、身を縮こまらせた。
だが、次の瞬間、エルランシアは何気に頭上を見上げ、あっさりとアルマを発見した。怖い顔でにらみつける。
「アルマレーナ、下りてきなさい」
アルマは仕方なく、のろのろと木を下りていった。死刑宣告を受けた罪人のように、悄然とした様子でエルランシアの前に立つ。
エルランシアは顔を赤らめながら宣告した。
「分かっているわね、アルマレーナ。主人のあんなところを盗み見るなんて」
「ご、ごめんなさい…」
「ごめんなさいですめば、鞭はいらないわ。罰が必要ね。パンティを脱いでこちらへよこしなさい」
アルマはスカートの下へ手を入れ、いうとおりにした。スカートの中で風が渦巻き、あそこがスースーする。
だがそんなことを気にしている余裕はなかった。エルランシアが受け取ったパンティを広げ、その表面を舐めるようにして見つめている。アルマは重大なことに気づいて顔を真っ赤にした。樹上でのオナニーでパンティはいやらしく濡れそぼっているのだ。
「あなた、私のあれを覗きながらオナニーしたのね? 答えなさい」
「は、はい」
アルマの答えを聞くと、エルランシアはいっそう顔を赤くした。
「信じられないことをするのね。あなたみたいないやらしいメイドは初めてだわ」
「だって、お嬢様があんまり…」
「お黙りなさい。罰よ。スカートを脱いで、そこの木でオナニーして見せなさい。知っているのよ、時々、そこの木の瘤にあそこを擦り付けているでしょう」
「そんな…誰かに見られたら…」
「勘違いしないで。これは罰なのよ。本当ならあなたは鞭打ちにふさわしいことをやったんだから。寛大な主人に感謝しなさい」
アルマは泣きそうな顔でスカートを脱ぎ捨てた。下半身だけ裸という滑稽な姿で、アルマは木に近づいた。ちょうど腰の高さに瘤が盛り上がっている。ときどきここに股間を擦り付けているのは事実だが、いつもスカートの上からで、じかに触れたことはない。仕事中、箒を股間に擦り付けてちょっとした快感を楽しむのは他のメイドもやっていることで、アルマはより刺激の大きい物を使っていただけに過ぎないのだ。
アルマは幹に手を添えると、恐る恐る自分の股間を、盛り上がった木の瘤に触れさせた。ごつごつとしてひんやりした感触。
「うぅ…」
ぎゅっと目をつぶり、思い切って腰を動かす。ゆっくり、ゆっくり。硬い木の皮があそこを嬲っていく。
「あ…ぁああ…」
アルマはすぐに木の感触が変化したことに気づいた。ぬるぬるしている。溢れ出した愛液が、早くも木の表面をべったりと濡らしているのだ。
「やだ…気持ちいい…ぁあ…」
すべりがよくなるにつれ、アルマの動きは次第に速くなっていった。より強くあそこを瘤に押し付けながら、淫らに腰を蠢かせる。硬い木の盛り上がりが、クリトリスを擦り上げ、割れ目を強引に押し広げていく。
「あ…あぁ…いい…んっ…くっ…やぁ…すごく感じる…」
アルマは木の幹を抱きしめた。腰を動かしながら、同時に胸を強く幹に擦り付ける。勃起した乳首がごつごつした木の表面に嬲られ、まるで乱暴に愛撫されているようだった。
全身が快感に犯され、体が自分の意思とは無関係に快楽を求めていやらしく蠢き続ける。
うっすらと涙の滲んだ目を開けると、エルランシアが軽蔑したようにこちらを見下ろしているのが見えた。
「あっ…やだぁ…お嬢様…そんな目で見ないで…いや…いやぁ…あ…あああ…」
いやいやと首を振るが、体はもういうことを聞かない。背筋が快楽に痺れ、今にも崩れ落ちそうになる。愛液は木の瘤いっぱいに広がり、それに触れている太腿までもがぬるぬると淫らな感触を伝えてきていた。
「いやぁ…だめ…あっ…ああっ…いっちゃう…いやっ…お嬢様、見ないで…見ないで…ああっ…あくっ…ううっ…うぁあああああっ…あ…ああぁ…ぁ…っ…」
絶頂の痙攣がアルマを襲い、少女の淫らに火照った体は一瞬びくびくと震えたかと思うと、木の幹に沿って、ずるずると崩れ落ちていった。木の瘤に塗りたくられた愛液が、メイド服の胸からアルマの頬にかけて、べっとりと汚していく。
「とりあえず、これで勘弁してあげるわ。今夜、私の部屋へ来なさい」
エルランシアの言葉に続いて、彼女が投げたパンティが、持ち主の頭にふわりと投げかけられた。
アルマは自分のびしょびしょに濡れたパンティを頭に載せたまま、朦朧とした虚ろな瞳を開けて、ぼんやりと答えた。
「…はい…お嬢様…」