ご主人様志望(後編)
二人が去った後、アルマは天幕の暗闇の中で、全裸のまま呆然としていた。カレレーナが鞭打ちを免れたことにはホッとしたが、「特別な調教」という言葉には不安が残った。いったいカレレーナをどうするつもりだろう。しばらくすると、再び入り口が開けられ、今度は助手のエルルミアが顔を出した。
「アルマ、ご主人様が来なさいって」
アルマは驚いて相手の顔を見つめ、それから慌てて立ち上がった。
「あ、はい」
奴隷商人の天幕に入ると、アルマは思わず立ちすくんでしまった。調教用のベッドに全裸のカレレーナが拘束されている。これまで何度も自分がそうされてきたが、誰かがそうされているのを見たのは初めてだった。大の字にベッドの柱に繋がれ、秘所も何もかもさらけ出された浅ましい姿に、アルマはショックを受けた。「アルマ、駄目、見ないで!」
カレレーナが哀願するようにいった。
思わず、後ずさりしようとしたアルマの肩を、クローリリアの手ががっしりと掴んだ。耳元で奴隷商人はいった。
「駄目よ、アルマレーナ。よく見てあげなさい」
クローリリアに押されるようにして、一歩、二歩とベッドに近づく。
「いや、アルマ、見ないで」
カレレーナが泣きながらいうが、奴隷商人の手はアルマの肩を掴んで離さない。
クローリリアに命じられるまでもなく、アルマの視線はカレレーナの裸体に吸い寄せられたまま離れない。カレレーナはこれから受ける辱めを覚悟したのか、ぎゅっと目を閉じた。
アルマの耳に息を吹きかけるようにして、クローリリアがささやいた。
「さあ、アルマレーナ。今度はあなたがカレレーナを犯す番よ」
「で、でも…」
「大好きなあなたに犯されるのなら、カレレーナも本望でしょう」
クローリリアがそっと背中を押すと、アルマはふらふらとおぼつかない足取りで近づき、ベッドの上へと這い上がった。困惑の表情で振り返ると、奴隷商人が、「さあ、早くやりなさい」と目でいった。二人の助手は椅子に腰掛け、こちらを面白そうな視線で見ながら、互いの体に手を回している。
奴隷商人が腰のベルトから鞭を外して手に持ったので、アルマは慌てて視線を戻した。無防備この上ない友人の裸体を目前にして、ごくりと喉が鳴る。その腹の上にまたがると、アルマは二つのふくらみに手を伸ばした。
「んっ…」
カレレーナが小さな声を漏らし、閉じたまぶたに力を入れるのが分かった。きれいな涙が頬を流れていく。
だがカレレーナが感じているはずの羞恥や惨めさなどに同情を感じる余裕は、乳房の柔らかさを手のひらに感じた途端にどこかへ消えうせてしまった。
「やわらかい…」
つい先ほどカレレーナが自分の胸に触れたときに言ったのと同じ言葉をつぶやき、アルマはゆっくりと乳房を揉み始めた。
「ハァ……ハァ……ハァ…ハァ…ハァ…」
次第に息が荒くなっていくにつれ、乳房を揉む手のひらに力がこもった。
我慢していたカレレーナも耐え切れずに喘ぎ声を上げ始める。
「あぁ…ぁ…んっ…くっ…ぅ…やぁ…ぁああ」
その可憐な声はアルマの欲情をよりいっそう煽り立てた。興奮のあまり頭に血が上る。触れられてもいない乳首が固くなり、じんじんとした快楽の波動が広がり始める。下腹部が熱くなり、滴る愛液がカレレーナの腹部を汚した。
アルマはいったん大の字になったカレレーナの脚の間に退くと、その体に覆いかぶさった。熱病に冒されたような表情で、カレレーナの乳房にむしゃぶりつく。舌を大きく動かして、勃起したその乳首を前後左右に舐り回す。たちまち溢れた唾液でカレレーナの乳房はべとべとになった。
さらなる刺激を求めて、アルマはカレレーナの乳房に歯を立てた。柔らかな肉のふくらみを、固いエナメル質の歯が容赦なくしごいていく。口の中で無惨に形を変えられていく乳房の感触に、嗜虐的な征服感を感じてアルマは陶然とした。さらに、それだけでは飽き足らず、アルマはより強固な弾力を持って抵抗しようとする乳首をも、歯でしごき始めた。
「あっ…あぁあああ…いやっ…いやぁ…そんなにしたら…だめっ…だめぇ…!!」
激しい愛撫にカレレーナは髪を振り乱した。
だが、泣き声の入り混じったその叫びは、もうアルマにとっては快感以外の何物でもなかった。アルマは犠牲者によりいっそう鳴き声を上げさせようと、その無防備な股間に数本の指先を突っ込んだ。
「あぁああ…やっ…ぁあああああ…はあっ…ああっ…ひっ…あぁあああ」
カレレーナの体がびくびくと跳ね回るのを、アルマは強引に押さえつけて責め続ける。
膣の中はとろけるほどに熱くなっている。アルマの指先はその肉襞の間をまさぐり、蹂躙し、溢れる愛液をいやらしい水音と共に掻き回した。カレレーナの悲鳴に合わせて、膣が締め付けてくる。そのたびにアルマの背筋には快楽の電撃が走りぬけた。
「あっ、あっ、あぁあああ、あひっ、やぁあ、あぁあああ、ああああぁあああああ!!」
カレレーナが快楽の絶頂を示す痙攣と共に果てると、アルマもまた言い様のない快楽の熱に全身を侵されて逝った。
「すごかったわよ、アルマレーナ」耳元でクローリリアの声がしたかと思うと、カレレーナの体に覆いかぶさったままだったアルマの体は、背後から抱き起こされた。アルマに噛まれたカレレーナの乳房は真っ赤になり、見間違えようのない歯型が残っていた。秘所に挿入されたままの指先がずぼりと引き抜かれ、そのだらんとした指先からは愛液がぽたぽたと零れ落ちた。
アルマがまだ朦朧としている間に、その両腕が背中にまわされ、手首のベルトの金具同士が鎖で繋がれ、鍵がかけられた。
「あ、あの…」
陵辱の熱狂からさめたアルマが戸惑ったような声を漏らすと、奴隷商人は何も言わずに、背後からアルマの胸と股間をまさぐり始めた。調教はまだこれからなのだ。
眼下では双子の助手がカレレーナの体をまさぐり始めている。
「すごい…カレレーナのここ、ぐちゃぐちゃになってる」
一人がカレレーナの秘所を指先で広げながら、うっとりといった。
もう一人は無言でカレレーナの首筋に舌を這わせ、ゆっくりと乳房を揉みしだいている。
「あ…ぁ…だめ…だめぇ…ぅ…ぅ…ぁ…」
カレレーナはもう抵抗する力もないのか、弱々しくよがり声を漏らしている。
「二人とも、相手の姿を目に焼き付けておくといいわ。奴隷は離れ離れになったら二度と会えないから」
奴隷商人の声に、カレレーナがうっすらと目を開いた。目が合い、アルマは恥ずかしさに顔を真っ赤にした。この状況から逃れようと身悶えするが、クローリリアの腕からは逃れることができない。
諦めと共に視線を戻すと、アルマは相手の瞳が、快楽に朦朧としながらも、切なげに愛を語っていることに気づいた。
(好きよ、アルマ)
アルマは胸がきゅんとするのを感じて、涙ぐんだ。同時に膣が締まり、差し込まれたクローリリアの指を締め付ける。
「あっ…あぁあ…」
「ふふ、お友達に犯されているところを見られて感じているのね」
奴隷商人はアルマの耳を噛みながら囁いた。その言葉は決して正確ではなかったが、結果は同じことだった。
「カレ…レ……ナ…」
犯されながら切なそうに喘ぐ。目の前で犯されているカレレーナに答えるように、奴隷商人の腕の中で身悶えする。
「…リリア様…カレレーナと…いっしょに…」
「欲しいのね?」
「は…はい…おねがい…おねがいします…」
「いいわよ」
奴隷商人がやさしくいうと、アルマのお尻にぬるりとしたものが触れた。それはお尻の間を潜り抜けて前へと回り込むと、奴隷商人の指先に替わって、アルマの中へと潜り込んできた。
「ぁああああ…」
アルマは体を仰け反らせた。膣の中で触手がうねっている。突き上げられた乳房をクローリリアの手がしっかりと掴み、母乳を搾り出そうとでもいう様に揉みしだく。その先端で固くなっている乳首に、触手が絡み付いて粘液を擦り付けた。
快楽に涙を流しながらカレレーナを見下ろすと、その秘所に触手がずぶずぶと潜り込んでいくのが見えた。
「あっ…やっ…あぁああああ」
カレレーナの体が跳ね上がり、びくびくと震えた。
「あっ…あっ…だめ…だめぇ…や…あぁあああ…あぁあ」
触手の蠕動運動に合わせて、いやらしく腰を動かし始める。もうカレレーナはアルマを見てはいなかった。その瞳は限度を超えた快感のために虚ろとなり、その体は快感に反応するための肉人形と成り下がっていた。
だが、アルマにはその淫らで浅ましい姿が、とても美しいもののように思われた。
触手は二人の助手たちにも及んでいた。触手を受け入れやすいように、尻を突き上げ、あるいは片方の太腿を両手で引っ張り、股間を大きく広げた双子の中にも、触手は入り込んでいった。
今や天幕の中は、四人の少女たちが犯される淫靡な喘ぎ声で満たされていた。
「ほら、見なさいアルマレーナ。美しいでしょう。奴隷は犯されているときが最も美しいのよ」
アルマの中を散々に蹂躙しながら、奴隷商人はうっとりと言った。
アルマはその通りだと思ったが、それを口にすることはもうできなかった。アルマは喘ぎと共に唾液を垂らしながら、狂ったように腰を蠢かせ続けた。
目が覚めて天幕の外に出ると、もう昼近くになっていることが分かった。「あら、目が覚めたのね。少し待っていなさい。スープを温めてあげるわ」
ぼんやりと突っ立っていると、奴隷商人の天幕から出てきたエルルミアがいい、野宿用の竈に火を入れた。
ようやくアルマはあたりが静か過ぎることに気づいた。
「あの、エルルさん、他の人たちは?」
「もう出かけたわ」
アルマははっとして街のある方角を見た。もうカレレーナとは会えないのだ。それを思うと自然に涙が出てきた。
後ろでエルルミアがさりげなく言った。
「…カレレーナ、出て行く前に、あなたにキスしていったわよ。唇にね」
アルマはそっと唇に指先で触れた。禁断の一夜が思い出され、体の奥が温かくなった。
アルマはスープが温まるまでの間、ずっと街の方を見つめていた。