触手受胎(4)出産
「あ、動いた」卵が孵化する瞬間はあっけなかった。廊下の窓を拭いていたとき、不意に子宮の中で何かが蠢く感覚に襲われたのだ。
「奥様、何かお腹の中で動いてるんですけど」
アルマがいうと、エトランシーヌは「まあ」と満面の笑みを浮かべ、メイドたちにテキパキと指示を与えた。ヨルンネーアとミルルティアが寝室に水槽を運び込んだ。アルマは全裸になり、ベッドに横になった。
「アルマさん、あなたはただじっとしていればいいの。赤ちゃんは自分で出てくるから」
アルマはいわれたとおりじっとしていたが、次第にお腹の中のものの動きが活発になってくるとさすがに不安を覚えた。それは触手に子宮の中をまさぐられているときと、同じような感覚だった。事実、それは同じものだった。生まれたばかりの触手の子供は、触手の姿をしているものなのだから。人間の姿になるのは、もっと大きくなってからだった。
その小さな触手の動きは外からでもわかった。平らなアルマの腹部が、盛り上がったり、うねったりして、明らかに中で何かが蠢いている様子を見せている。
アルマの息づかいは、次第に荒くなっていった。全身が過敏になってきている。お腹の中の触手が、はやくも催淫効果のある粘液を分泌しているのだ。子宮の存在がはっきりと自覚され、それが包み込んでいるものの形や大きさが実感された。
それは無数の触手を蠢かせて、アルマの子宮を内側から嬲りまわしていた。出口を探してもがいているのだ。その動きは、アルマにとってはお腹の中を掻き回されているに等しく、その異様な感覚は次第に快感へと変わりつつあった。
「奥様…これで…いいんですか…何か、変な気分になってきちゃったんですけど…」
アルマは大きく呼吸しながら、途切れ途切れにたずねた。
エトランシーヌはそのアルマの手を取って、やさしくいった。
「それでいいのよ、赤ちゃんが出てくるときには、もっと気持ちよくなりますからね」
「あっ…」
アルマの体が、内側からの刺激にびくんと震えた。
「ミルルちゃん、アルマさんのあそこはもう濡れてるかしら」
主人の問いかけに、ミルルティアはアルマの足元に座り、両脚を広げて股間を覗き込んだ。
「少し濡れてきてます」
「少しじゃだめだわ。もっと濡らしてあげて」
「はい、奥様」
ミルルティアがアルマの股間に顔を近づけた。
「やっ、だめ」
アルマは反射的に逃れようとしたが、たちまちエトランシーヌとヨルンネーアに押さえつけられた。さらに左右の太腿を抱え上げられ股を開かされた。その無防備となった股間に、四つん這いになったミルルティアが、舌を伸ばす。
ミルルティアのざらざらした温かい舌は、アルマの割れ目に沿って下から上へと蠢いた。
「やあっ」
快感に腰がよじれ、愛液が流れ出したのが分かった。ミルルティアの舌は何度も繰り返して割れ目をねぶり、次第に奥へと入り込んでくる。同時に、ミルルティアの上唇が勃起したクリトリスを擦り始めた。
「あっ…あぁ…だめ…やあ…あっ」
体の中と外から同時に愛撫されて、アルマはおかしくなりそうだった。乳首がカチコチになり、ぴゅっぴゅっと母乳を噴き出し始める。
だが本当の快感はこれからだった。不意に内側から子宮口がこじ開けられる感覚があった。触手の赤ん坊が、細い子宮口を無理やり拡張して外へ出てこようとしているのだ。
「あ…ぁ…あぁ…ぁ…ぐ…」
アルマは苦しさに涙を流しながら、いやいやと首を振った。
下腹部が急激に熱くなった。脚の感覚がなくなり、女陰がとろけそうなほどになる。恐ろしいほどの量の催淫物質が分泌され、脳が急速に犯されていくのが分かった。恐怖とともに、襲い掛かってくる快感に意識が混濁し始める。
苦しさは激しい快感へと変化した。触手が動くたびに、電撃のような快感が背筋を走りぬけていく。だらしなく開いた割れ目から、涙が溢れるようにして大量の愛液が溢れ出した。アルマはたちまち絶頂に達し、その体は壊れた玩具のように、びくびくと跳ね上がった。
「あぁ…ぁ…でる…でてくる…でてきちゃうよぉ…」
アルマはうわごとのようにいった。
「がんばって、アルマさん」
遠くでエトランシーヌの声が聞こえるが、今のアルマには何の意味ももたらさない。
子宮から這い出た触手は、膣を押し広げながら、アルマの体の中を動き続けている。じゅる…じゅぶぶ…膣襞が触手によって蹂躙されていく。
「…ぁあ…ひっ…はぁ…はあっ…あぁあ…あ…もっと…もっと…」
アルマは淫らに悶え狂った。二人がかりで押さえつけられていなければ、ベッドから転げ落ちていただろうほどに激しく蠢いている。そそり立った乳首からは断続的に母乳を噴出し、愛液に濡れた腰は、ミルルティアの顔に自らの性器を擦りつけようとでもいうように、いやらしくくねっていた。
「もっと…もっとぐちゃぐちゃにして…おねがい…犯して…私を犯して…はっ…はあっ…んっ…あっ…あぁあっ」
アルマは熱病に冒されたように喘いだ。自分を陵辱しながら、必死に生まれようとしている触手がたまらなくいとおしい。いつまでも膣の中にいて、自分を犯し続けていてほしかった。
だが、ようやくにして触手は出口へとたどり着いた。一本の脚が割れ目から外へ顔を出し、それを見たミルルティアが「わっ、出てきましたよ」と声を上げたのだ。
アルマは悲痛な叫び声を上げた。
「いやっ、出ないで! いあっ、いやぁあああっ!」
アルマの体は暴れまわった。
「落ち着きなさい、アルマ!」
ヨルンネーアが必死にその体をベッドに押さえつける。
「いやあっ! 出ないで! もっと! もっと犯して! いやっ、出るっ、出ちゃう! いやぁあああああっ!!」
次の瞬間、アルマの割れ目から、ぬるりと小さな触手が生み出され、待ち構えていたミルルティアの手の中へぐにょりと収まった。
アルマは目の前が真っ暗になり、恐ろしい喪失感とともに、ベッドの中へぐったりと沈み込んだ。全身から力が抜け、あれほど熱かった体が、急速に冷えていく。睡魔が襲い掛かってきて、アルマは眠りに落ちた。
目覚めたとき、アルマは妙にさわやかな気分だった。体はきれいに清められ、やわらかなネグリジェを着せられている。きっとエトランシーヌのものだろう。かすかに彼女の匂いがした。上半身を起こすと、自分が寝かせられていたのがエトランシーヌの部屋のベッドだということがわかった。まだ昼間だったが、カーテンは閉められ、室内は薄暗い。テーブルの上には大きな水槽が置かれ、そのかたわらにはエトランシーヌがたたずんでいた。
「目が覚めたのね」
エトランシーヌがこちらを振り返って微笑んだ。アルマはあいまいにうなずき、ベッドから下りて水槽へ近づいた。
水槽の中には、小さな触手がいた。ほとんど透明で、その体内でかすかに光っている燐光がなければ見過ごしてしまいそうだった。無数の触手が放射状に生え、ゆらゆらと蠢いている。
エトランシーヌは乳房を剥き出しにして、水槽の中に向かって突き出させていた。触手から伸びた二本の触吻が、左右の乳首に吸着し、母乳を吸い取っている。
アルマの胸は、何かを成し遂げたときに感じる、誇らしげな満足感でいっぱいになった。同時に、小さな触手に対する愛情がわき上がった。
「あなたのおかげよ」エトランシーヌはやさしい目でその触手の赤ちゃんを見つめながらいった。「かわいいでしょう?」
「はい、奥様」アルマは大きくうなずいた。
「それじゃ、アルマさんもおっぱいあげてみましょうか」
「えっ、私もですか?」
「そうよ。もう卵がなくなっちゃったから、しばらくしたら、アルマさんのおっぱいは出なくなってしまうから。おっぱいをあげられるのは今のうちだけなの」
アルマはネグリジェの胸元をくつろげ、エトランシーヌのまねをして乳房を水槽の中へかざした。少し乳房を揉んで母乳を水の中へ垂らすと、それでアルマの存在を感知したのか、二本の触吻が水から出てきてアルマの乳房へと絡みついた。乳首を捜しているのか、触吻の先端が乳房をまさぐる。アルマはくすぐったさにくすくすと笑い声を上げた。
やがて触吻は乳首を探り当て、その先端に開いた口で、乳首に吸い付いた。
「あっ」
アルマは思わず声を上げた。母乳が乳首を通って吸い出される快感が、電流となって背筋を走り抜けたのだ。
いつの間にか背後にいたエトランシーヌが、その豊かな胸をアルマの背中に押し付けつつ、両手をアルマの乳房に添えた。
「おっぱいをあげるときは、いつものように搾ってあげるといいのよ。まだ小さくて、あまりうまくおっぱいを吸えないから」
エトランシーヌの手が、アルマの乳房を揉みしだき始めた。彼女の腕の中でアルマの体はびくんと震えた。
「あっ…んっ…や…奥様…」
「赤ちゃんが、あなたのミルクをおいしそうに吸っているわ」
「はい…すごくたくさん…吸ってます…すごい…私…吸われてる…」
アルマは身をよじらせた。乳首が硬くなり、母乳が勢いよく吸われていくにつれ、ジンジンとした快感が乳房全体に、そして全身へと広がっていく。
「…だめ…だめです…奥様…こんなに吸われたら…私…おかしく…なっちゃう…」
「がんばって、アルマさん」耳元でエトランシーヌがやさしくささやいた。「赤ちゃんにおっぱいを吸われるのは、とても幸せな気持ちでしょう?」
「はい…私…とても幸せ…です…」
アルマは喘ぎながら、熱病に冒されたような、とろりとした瞳でいった。幸福感と快感が全身に充満し、そのままアルマは絶頂に達した。
授乳は赤ちゃんが満腹になるまで続き、その間、アルマの喘ぎ声が途切れることはなかった。