私のお嬢様(12)さよならお嬢様
目覚めると、すでに日は高く昇っているらしく、カーテン越しにまぶしい光が差し込んでいた。体を起こすと、傍らの椅子に腰かけて、本のページをめくっていたユーナリーナが顔を上げた。「おはよう、アルマさん」
「おはようございます、ユーナさん」
挨拶を返して、アルマは広い部屋の中を見回した。メイド部屋ではなく、シルルヴィーアのベッドに寝ていたのだ。エルランシアと再会した後、茫然としたアルマは訳も分からない間にシルルヴィーアに寝かしつけられたのだった。
「お嬢様とエミは呼ばれてもう出かけたわ」
ユーナリーナが言った。
アルマはベッドから降り、きれいに折りたたまれてるメイド服を手に取って、すばやく身に付けた。ぐっと握りこぶしを作る。
「ユーナさん、私、エルランシアお嬢様のところへ行ってきます」
ユーナリーナは「そう」と穏やかにいった。
「事情は分からないけれど、がんばって」
「はい」
アルマは勢いよくうなずくと、部屋を出て行った。
アルマのノックにこたえて、エルランシアの部屋から顔を出したのは、メイドのベルルリースだった。「アルマさん…」
彼女の顔には、喜びと当惑の表情が半々に表れていた。彼女はドアの隙間から体を出すと、部屋の中を見せまいとでもするように、素早くドアを閉めた。
「元気そうでなによりです」
そう言ってベルルリースはアルマをふんわりと抱きしめた。
「ベルルさん…」
アルマは懐かしい香りに陶然となりながら、抱きしめられるがままになっていた。まるで、はなればなれになっていた母親に再会したかのような不思議な感じだった。
「お嬢様に会いに来たのでしょう?」
「はい」
ベルルリースは体を離すと、じっとアルマの目をのぞきこんだ。
「…どうしてもですか?」
「はい」
アルマは力強くうなずいた。
「わかりました。少し待っていてくださいね」
ベルルリースはアルマを残して部屋の中へ消えた。
アルマは突然高鳴りだした胸を押さえながら、その場で足踏みした。それから急に身だしなみが気になり、あわてて髪を手で梳いた。そうしていると、エルランシアの髪がなぜか短くなっていたことが思い出された。アルマの髪は、彼女と別れたあの日とほとんど変わっていなかった。
やがて再びドアが開き、ベルルリースが顔を出した。
「入ってください、アルマさん」
アルマはごくりと唾を飲み込み、部屋の中へと足を踏み出した。
部屋の半分は、窓から差し込む強烈な光でまばゆく輝いていた。アルマはまぶしさに思わず目を閉じ、それから恐る恐るといった様子でかすかに目を開いた。
豪華な天蓋付きのベッドの脇の、影になった部分に、人影が見えた。アルマは瞬きし、人影を凝視した。エルランシアだった。豪奢だった栗色の巻き毛は、昨晩見たとおり肩までの長さに切り詰められていた。それでも彼女の美しさは微塵も失われてはいなかった。
ベルルリースがそっとメイド部屋のドアを開けて出て行ったが、アルマもエルランシアも、じっとその場に立ち尽くして相手を見つめていた。
やがてエルランシアが、人形じみた冷ややかな表情でいった。
「あなたを忘れようと思って、都に出てきたのに。台無しだわ。どうして会いに来たの? あなたはもう、私の奴隷じゃないのよ」
アルマはかすかに笑みを浮かべ、頬を染めてはっきりと言った。
「お嬢様が大好きだからです。お嬢様だって言ったじゃないですか。私のことが好きだって」
「あんなこと、言わなければよかったわ…」
エルランシアの美しい顔に、憂いの表情が浮かんだ。彼女は視線を落として自分の手をじっと見つめた。
「…あなたがそばにいると駄目なの。気がつくと、あなたを犯すことばかり考えてしまう。我慢できないの。あなたを犯さずにはいられないの。こんなの、ご主人様でも何でもないわ」
「いいじゃないですか」
アルマの明るい声に、エルランシアは「えっ」と顔を上げた。
「お嬢様は触手で、私は奴隷なんですから。私はお嬢様に犯されるためにいるんです。それに、お嬢様だって言ったじゃないですか。私は、いやらしい子だって。お嬢様にまた会えるって思っただけで、あそこが濡れちゃうんです。お嬢様に犯されることばかり考えちゃうんです。今だって…」
アルマは頬を真っ赤に染めて恥じらいながら、メイド服のスカートをたくしあげた。まっすぐに伸びた少女の脚の内側に沿って、愛液が流れ落ち、ソックスまで達していた。
「アルマ…」
エルランシアの瞳が欲情に潤み、アルマは背筋に走るぞくりとした感覚に身震いした。
アルマは湧き上がってくる甘美な恐怖に耐えながら、おぼつかない足取りでエルランシアに近づいた。そして瞳を閉じると、ゆっくりとエルランシアの唇に、自分の唇を押しつけた。エルランシアはアルマの接吻を黙って受け入れた。
歓喜がアルマの全身を走り抜けた。膝ががくがくと震え、今にも倒れそうだった。頭の中が真っ白に染まっていき、唇の感触以外に何も考えられなくなった。
エルランシアの舌が唇を割って入ってきた。アルマは抵抗することもできず、ただなすがままになった。甘い香りのするエルランシアの舌が、アルマの口の中を舐め回し、アルマの舌に絡みつき、ぐちゅぐちゅと音を立てながら唾液を掻き回した。深く接触し、蠢いている二人の唇から、唾液が溢れて喉へと垂れていった。
アルマは自分の体がふわりと宙に浮き、次の瞬間、長い毛足の絨毯に背中を押しつけられていることに気付いた。腰の上にエルランシアが跨り、アルマの上着とブラジャーを捲り上げた。そして彼女の手がアルマの剥き出しになった乳房を鷲掴みにし、乱暴に揉みしだき始めた。
「あっ…痛っ…そんなに強く…ああっ!」
アルマは苦痛にうめいた。エルランシアはもう普通ではなかった。先程までの物憂げな表情は消え、触手らしい欲情に濡れた瞳が、肉人形にすぎないアルマを見下ろしていた。ハァハァという荒い息遣いが、彼女の興奮を示していた。
「黙りなさい、こうして欲しかったんでしょう?」
「で…でも…」
「私に犯してほしくて会いに来たんでしょう。ほら、言いなさい。私をもっと滅茶苦茶にしてくださいって」
アルマは苦痛に耐えながらいった。
「わ…私をもっと…滅茶苦茶にしてください…」
「それからどうして欲しいの?」
「…お嬢様の…触手で…私のあそこをぐちょぐちょにしてください…」
「いいわ、素敵よ、アルマ」
エルランシアは高揚に頬を染めていった。手に力がこもり、アルマの乳房はより強く揉みしだかれた。
「あっ…はあっ…あっ…うぅ…」
痛みは次第に快感へと変化し、アルマの体はびくびくと震えた。あそこが開き、大量の愛液が溢れだすのが分かった。
「逝ったわね」
エルランシアの唇が、嗜虐的で、それゆえ魅惑的な笑みを浮かべた。彼女は立ち上がると、アルマを見下していった。
「脱ぎなさい、アルマ。そして、あそこを見せなさい」
「は、はい」
アルマは言われるがままにメイド服を脱ぎ始めた。それからもちろん下着も。じっとこちらを見つめている、飢えたようなエルランシアの視線を感じて、頭に血が上った。手の震えが止まらない。何度かボタンを外すのに失敗したが、アルマはようやく全裸になった。
ベッドに腰を下ろし、自ら太腿を持ち上げて、両脚で淫らなM字を形作る。大事な部分が丸見えになり、溢れ出している愛液が、たちまちシーツに染みを作り始めた。
エルランシアはするりとドレスを脱ぎ捨てると、自分も全裸になった。そしてベッドの上に上がると、アルマの正面に膝立ちになり、両手でアルマの膝を掴んで、限界まで股を広げた。
「もう、こんなにぐちょぐちょじゃないの」
「いやぁ」
エルランシアにあそこを覗き込まれ、アルマは両手で顔を覆った。
「こんなに溢れさせて。いいわ、もっとぐちょぐちょにしてあげる」
にゅるりとした感触が足首を襲い、アルマはびくりと身を震わせた。生暖かく弾力のあるそれは、ふくらはぎから太腿へと螺旋を描きながら這い上がり、さらにアルマの全身へと絡み付いていった。
「うっ…うぅ…」
アルマは本能的に体を縮こまらせようとしたが、触手に絡まれた部分では、もはや体を動かす自由は存在しなかった。やがて触手は両腕にも及び、顔を覆っていたアルマの両手は、強制的に引き剥がされてしまった。
開けた視界に、無数の触手が映った。それはエルランシアの下半身だった。触手の群れの上に彼女の上半身があり、アルマを熱に浮かされたような視線で見下ろしている。
「アルマ、見なさい。あなたのいやらしいあそこに、私の触手を入れてあげるわ」
そう話す間にも、絡みついた触手がアルマの乳房を揉みしだき始めていた。アルマは全身を襲う絶え間ない快感に堪えながらいった。
「は…はい…おねがい…します…」
数本の触手が左右からアルマの割れ目を広げ、次の瞬間正面から一本の触手がにゅるりとアルマの中に侵入していった。
「あっ…」
アルマは異物の侵入に一瞬体を引き攣らせた。そして、一本目に遅れまいとするように、二本目、三本目が次々に入ってくると、アルマは悲鳴のような喘ぎ声を上げた。
「やっ…あぁあああっ! だめっ…そんな…あっ…ひっ…うぐっ…あぁあああっ!」
触手は収縮する肉襞を蹂躙し、くねりながらアルマの深奥へと没入していった。お腹の中でぐねぐねと蠢く感覚が、吐き気のするようなおぞましさと同時に、どこまでも堕ちて行くような理性を圧倒する快感を生み出した。
「ひっ…あっ…あうっ…うぅ…はあっ…はあっ…あひっ…」
アルマは涎を垂れ流しながら、涙にかすんだ目で自分の股間を見下ろした。ぐじゅっ、ぐじゅっ、と音を立てながら、何本もの触手が出入りを繰り返している。そして、そのたびに、愛液と粘液が入り混じった液体が、じゅぶじゅぶと溢れ出していた。
「あぁ…すてきよ、アルマ…」
アルマの喘ぎ声と、触手が蠢く淫らな音に混ざって、エルランシアの恍惚とした声が聞こえた。
「…なんていやらしい体なのかしら…私、おかしくなってしまいそう」
アルマはのろのろと顔を上げ、光を失った瞳で陵辱者を見上げた。
「おじょう…さまぁ…」
「アルマ…好きよ…もっとめちゃくちゃにしてあげる」
アルマの体が軽々と持ち上げられた。同時に数本の蕾をつけた触手が鎌首をもたげ、一斉に真紅の花を開いた。花弁の中心にある膣口からは、はやくもとろとろと愛液をしたたらせている。むっとするような香りがあたりに充満した。
生殖茎の群れはアルマに殺到し、その花弁で全身を陵辱した。花弁の表面を埋め尽くしている微細触手がそれぞれ独立して蠢き、アルマの敏感な肌を舐め回すのだ。女陰にも一本の花弁がねじ込まれ、子宮口までじゅぶじゅぶと一気に潜り込んでいった。
「あっ、ああっ、あぁあああっ!!」
アルマは背筋を仰け反らせてよがり狂った。膣が限界まで収縮し、圧迫を受けた生殖茎がアルマの中で暴れまわる。
「あっ…だめっ…アルマ…そんなに締め付けないで…ああっ…だめっ…もういきそうっ」
エルランシアは切なげに喘いだ。彼女の触手は今や自分自身を犯し始めていた。両腕は触手に絡めとられて自由を失い、乳房は巻きついた触手によってぐねぐねと淫らに変形を続けていた。
アルマは耐え難い快感にいやいやと首を振った。生殖茎はアルマの口をも塞ぎ、くぐもった喘ぎ声が悲痛に聞こえた。
エルランシアの悲鳴のような喘ぎと共に、すべての生殖茎が、その膣口から愛液を噴き出した。
口の中に吐き出された愛液を必死で飲み込もうとするが、到底追いつかずに口元からごぼごぼと溢れ出した。子宮口に押し付けられた生殖茎から噴き出した愛液は、子宮の中へと勢いよく流れ込み、アルマの腹部はあたたかな液体でみるみるふくれ上がった。
アルマの体は、中も外も大量の愛液を浴びて、その催淫効果に燃え上がった。アルマは逝きっぱなしになり、快感に堪えられなくなったアルマの意識は断続的に途切れた。時間の観念は失われ、アルマの記憶にはとびとびの陵辱の記憶だけが蓄積していった。
あそこから生殖茎が引き抜かれると同時に、大量の愛液が割れ目から噴き出していた。アルマの上にのしかかった無数の触手が全身を包み込むようにまさぐり続けていた。四つん這いになった背後から、何度も何度も勢いよく触手に貫かれた。壊れた人形のようにぐったりしたアルマを、エルランシアが抱きしめて舐め回していた。
「…アルマ…好きよ、アルマ…」
エルランシアの切なげな声が脳裏に刻み込まれ、アルマの意識はやがて完全に闇の底へと沈んでいった。
目覚めたとき、室内はあたたかな朝の光で満たされていた。アルマは薄目を開けたが、すぐにまた瞼を閉じた。触手の甘い香りがまだ漂っていた。つい先ほどまで犯されていたのだろう。全身は粘液にまみれたままで、強制された体の火照りはまだ治まってはいなかった。いつまでもこの陵辱の感覚にひたっていたかった。
やがてエルランシアはどうしたのだろうという疑問が浮かび、アルマは寝返りをうった。だが、アルマの傍らにいたのはエルランシアではなかった。
「ベルルさん?」
アルマは呆けたような声を出した。ベルルリースは全裸で眠りこけていた。そして、まるで触手に犯されたかのように、全身、粘液にまみれていた。
「アルマ」
エルランシアの声に、アルマは体を起こした。
「あ、お嬢様、おはようございます」
足元に裸のままのエルランシアが腰掛け、アルマを見つめていた。その美しい顔には憂いの表情が浮かんでいた。
「止めにきてくれたの」
彼女はベルルリースに視線を移していった。
「あなたの帰りが遅いから、シルルヴィーア様がたずねていらしたのよ。それでベルルリースは私を止めようとしたのだけど…私、あなたを犯すのに夢中になっていたから…」
「お嬢様…」
かけるべき言葉が見つからなかった。アルマがエルランシアの屋敷を追い出される前にも、こんなことがあったのだ。
突然、エルランシアがベッドから降りて立ち上がった。それから彼女は、アルマを振り返り、毅然とした表情でいった。
「アルマレーナ、あなたの主人のところへ帰りなさい」
「えっ、でも…」
「誰が口答えをしてもいいといったの!」
エルランシアの有無を言わさぬ態度に、アルマは彼女に近づこうとベッドの上で四つん這いになりながらいった。
「私、お嬢様が好きなんです。大好きなんです!」
二人の少女はじっとお互いを見つめあった。どちらも視線をそらなかった。張り詰めた空気の中で、ベルルリースの静かな寝息だけが聞こえていた。
不意に、エルランシアの表情が和らいだ。彼女は片手でアルマの頬に触れ、教え諭すようにいった。
「私もあなたが好き。だから、あなたをシルルヴィーア様のところへ返すの。なぜなら、あの方のところにいるほうが、あなたは幸せになれるから」
「お嬢様…」
アルマの瞳には涙が浮かび、それから頬を伝って流れ落ちていった。
エルランシアは笑みを浮かべようとして失敗し、アルマと同じように涙を溢れさせた。彼女はアルマを抱き寄せて、涙声で言った。
「アルマ…私はいい主人じゃなかったけれど…幸せになって…お願いよ…」
「お嬢様ぁ…」
涙で何も見えなかった。アルマはただ好きな人の名前をいつまでも呼び続けていた。
王宮を去る日、エルランシアは見送りに来なかった。アルマは門の近くで彼女がやってくるのを待っていた。だが、内心は来なければいいとも思っていた。もし彼女が見送りに来たら、別れの辛さで胸が張り裂けてしまうだろうから。
シルルヴィーアはリアン王女や、それ以外の何人かの高貴な少女たちから別れの挨拶を受けていた。エミミアーナとユーナリーナは、少し離れた場所で、いろいろなメイド服を着たメイドたちと話をしていた。
やがてベルルリースが一人でやってきて、お嬢様は来ないと告げた。会ったら辛くなるだろうからという伝言を聞いて、アルマは彼女も同じ思いだと知って少しうれしかった。また来年も来ますと約束して、ベルルリースと分かれた。
ひざまずいたシルルヴィーアが、リアン王女の手に口付けし、王女とその一行は王宮へと戻っていった。挨拶が終わったのだ。後は馬車に乗って出発するだけだった。エミミアーナが御者台に上り、ユーナリーナは馬車のドアを開けて待っていた。
アルマが駆け寄ると、シルルヴィーアが紫色の瞳でじっとアルマを見つめていった。
「アルマさん、いいの?」
アルマは王宮を一瞥したが、すぐにシルルヴィーアに視線を戻すと、笑みを浮かべて言った。
「はい、私のご主人様はシルル様だけです」