2002年8月

 


 2002年8月22日 (木)  

 

 キツイ

 二ヶ月前より更にキツイ

 いやなこと
先延ばしにしていたぶん上乗せいろいろ上乗せ山積み

 こういうとき話す友達や気を紛らわせる物事がないのがキツイ

 普段は苦手なテレビがありがたい

 結局私が良くない

 何が悪いのかわかっているけれど

 何もなかったことにしたい

 早くなかったことになれ

 二度と関わらない

 あした泳ぐ

 塩素で目が痛む

 胃イタイ

 こんな弱かったかな



 2002年8月21日 (ミズ)  

 

 「ピストルオペラ」

 「月曜日のユカ」

 「アルファヴィル」


 金井美恵子「あかるい部屋の中で」『マティーニの注文の仕方』




  
十二杯のマティーニを飲んだのだろう、と私たちは、感心して小さな声でささやきあった。

 もちろん、

 アメリカの青年は、うっとりと感動のおももちで、小さな銀盆に載せてボーイが運んできた勘定書きを

 二人分手にとっていた――ここで私の飲むマティーニの作り方はヘミングウェイに教えてもらったその

 ままの作り方でね。グラスもきりきりに冷えているし、ジンもベルモットもきりきりに冷やしてある。

 ベルモットをほんのひとたらし。ほんのね。チャーチル流のマティーニは、ベルモットの壜をひとにら

 みして冷たいジンを飲むというやり方らしいけど、私にいわせれば、それは、やりすぎだね。それでは

 アルコール中毒者と同じだよ――老人はステッキが床に触れて音をたてないように、用心深く、ゆっく

 りと歩いていた。前にこうして歩いている時、ステッキが音をたてたら、ボーイがマティーニを持って

 飛んできたことがあるんだよ。


 
長いあいだジンは苦手と思っていたけれど、うんと冷えたドライのマティーニは、大層美味しく、

 後味が良く、飲みやすく、強い。

 塩分が飛んで、オリーブもまた、味がやさしくなった



 2002年8月19日 (月)  カエル

 

 祖父の遺してくれた八ヶ岳の別荘で少しのあいだ生活して東京に帰ってきました。

 涼しいですね。

 台風がくる。

 白樺派の美術館に行き東山魁夷展

 (彼は芸術家の集うフランスではなくドイツ、オーストリアの素朴で深遠な自然の風景を多く描いた

 画家でしたが、その等身大の姿勢、ありのままの自然を愛する立場、

 単色の落ち着いた色彩、

 有名なものはドイツ留学中に描いたドイツ市内の街や建物の風景の一部でしたが、

 そのリトグラフの、晩年の緻密な技も、若年の造形の粗さも、

 居心地の良さを感じました)

 (美の巨匠で特集だったはずが見忘れた)

 を見たり、陶芸のお店や植物のお店を覗いたりしたほかは、

 食べて寝て散歩して、絵を描いて本読んでぼんやりして木彫って籠編んで、また寝たりした。

 勉強道具も持参したのだけれど、鞄の中にいれたまま。

 憧れるものは数多くありそれぞれの魅力に捕りつかれては

 諦めたり飽きたりして厭になったりしますが、

 あちらの空気と時間の流れは穏やかで、焦ることもなく癒される。

 何気なく量り売りで気になっていた香水を買ったのですが、

 どこかで頻繁に嗅いだ匂い、

 ある種のイメージを振り払おうとしても喚起させる匂い、

 母に確認したらそれはやはり亡くなった祖母の香水でした。

 懐かしいけれど既に固定されたイメージがあるために積極的にはつけられない匂いでした。

 ラ・バタイユ ゲラン ミツコ

 普段と違う図書館に行ったらCDがたくさんある。

 さすが音楽大学に近い図書館だと感心してでも前に買ったチェロ組曲をまだ部屋に馴染ませている最中なので

 クラシックはやめにして、さねよしいさ子を借りた。

 マルコじいさん。

 ボラボラのマルコじいさん

 酒飲みで 貧乏で フニャフニャで 誰にでも 話すのさ ツイてない人生を あれこれと

 ★

 若き日の花は何処へ

 やさしい気持ちでなきたくなる 案外と詩人なのさ 詩人だけど ただ それだけのこと


 
こんな歌詞でこんな歌でした


 それから小説を二冊借りた。

 
父が朝五時に起きて、ニ千円未満!のビデオデッキを買ってきてくれた。

 先代ビデオデッキは随分前に口が壊れていて、何を押し込んでも飲みこみもせず吐きだしもしない。

 見たい映画がある。

 始めて行った地元駅前の寂れたレンタルビデオ屋、

 アダルトビデオばかり充実していそうな佇まい、

 整理も行き届かないが以外と充実している。

 早速借りたのは「八月の鯨」。

 年老いたときの、理想に近い絵。



 2002年8月4日 (日)  ●骨董屋巡り●


 
 
都営大江戸線麻布十番駅下車

 骨董屋めぐりと称して地域散策



 4番出口を出て麻布商店街角から斜めに入った道を行き緩い坂道を登る。

 名前に惹かれる暗闇坂を下る。

 坂を降りきってからぐるりと廻りたぬき坂に至る。

 たぬき坂の登り口から暗闇坂方向にあるいていく。

 ●たぬき坂の一番下のアパート二階に「タミゼ」 (喪中のため休業)

 ●古びたアパート二階奥学校の教室に似た白いペンキ塗りの一室に茶も飲める「プティ・キュ」

 ●アパートの一階部分同じバッハの流れる趣味でもチェロを弾かれる「さる山」さん

 暗闇坂を越える

 ●フレーバーコーヒーと手作りケーキのお店でチョコレートのフレーバーコーヒーのアイス・オ・レ

 ●名前忘れたけれど和色の濃い古道具を扱う倉庫のようなお店

 ●「まいける」 (休業中)

 ●「うちだ」さん 敷居の高い本当の骨董屋さんといったかんじで入られない

 
 ●韓国大使館前の「韓国食材センター」の自動ドアに挟まれて憤慨

 ●万華鏡専門店「カレイドスコープ昔館」は閉店後でガッカリ


 日曜日は休みのお店が多いので以外と散策ではなかったね

 白檀のお香も買えませんでした

 街としては、どうなんだろ

 今度はきちんと予定を組んで行きたいですね

 リベンジ


 学園祭の出店のような、そんな雰囲気も、

 たぶん他に出口があればできると思うけれども、

 お金云々の問題以上にやはりヒトとの関わりが大切で、

 普通にしていたら知り合いにくく親しくなりにくい性質としては、

 やはり篭城するのは怖いなあと思ったりしました。

 その問題さえなければ、わたしは一日あの狭い空間で

 幾らでも音楽聞いて本読んで絵本見て映画見てモノ書いて手紙書いて工作して裁縫してぼんやりして

 時間をつぶすことができる。

 繁盛し過ぎないくらいがいいな でも誰も来ないのも辛いな 売れるのかな

 もしひとり友達で恋人で先生で指導者でパトロンで愛人であしながおじさんなヒトがわたしにあるなら、

 そんなヒトの影ならば

 こういう生活がわたしには合うかもしれない。というより好き

 でも病みそう

 日に当たって喋ることで発散して他者に認められないとだめ

 アイデンティティの問題

 少なくとも世間一般に言われる幸福な図ではないのだもの

 世間とのズレが目下最大の問題らしい

 半分は常識半分は非常識



 ホテルマン 至れり尽せりお食事アリガトウ なんせ豪華なケーキ・セット

 


 2002年8月3日 (土)  いたばし花火大会



 昼過ぎまで寝ていたら突然電話が鳴りふたりが近所に来ているという

 寝起き姿で迎えてなぜか自宅でさんにん和む午後

 花火を見に行く

 犬が脇目も振らず単独でゴルフ場の既定ルートを辿っている

 少しよそ見をしたせいで道を間違えた様子である 

 もと来た道を辿る

 橋と橋のあいだで爆音の二度共鳴する砂利のうえで花火を見物する

 両土手にはひとの群で 夢の島に似ている 
 
 現に空き缶の群れと間違えたのだ

 ひとは怖い

 ときがとまるような たたみかけるような なだれおちるような 火花 花火

 花火に銀色がないのはなぜですか

 蝶々

 刃の傷口も生々しい肉汁滴る炭火焼肉
 
 


 2002年8月2日 (金)  アラシ




 昨夜と今日の雨とで、空気が涼しくひんやりしている。

 六時半から池袋ジュンク堂四階の喫茶室で

 「精神科医・香山リカと小説家・小林恭二のトークセッション」

 があるので、行く。

 俳人住宅顕信の自由律俳句を例に挙げ、

 現代の若者の俳句的対人交流の様子と現代俳句の今について語る。

 住宅顕信については雑誌の書評で丁度知ったところで、

 対談の対象の年代が私どもと近いことから、興味深く聞くことができました。

 会場で学校の友達数人に会う。

 少しお話する。

 しかし家には母に頼んでおいたシュークリームが待っているので、早々に帰る。

 四個食べて満足。