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着物姿が見たいと云ったSを誘い、たまご色の小紋を着て浅草へ赴く。神谷バー前にて待ち合わせ。 振袖を想像していたらしくおとなしいねとSが云う。 振袖はちょっとまずいんじゃないのと訊けば涼しい顔をしている。 仲見世通りに溢れるひとのあいだに隙間はなく、境内の内側は前に進む人と外に向かう人の流れが混ざり合って、 賽銭を投げこむのに一生懸命でつい願い事するのを忘れたことに気付いたのは翌日になってからだった。 やはり拍手がないとお参りに来た気がしない。 縁日を冷やかしたり店を覗いたり、あちこちひっぱりまわす。 銀座線に乗るもカレンダーを買い忘れていた私のリクエストで銀座に寄る。 それから喫茶店を探して歩くが気の効いた場所がみつからず。 ふと仕事の最中に確認したアンリ・シャルパンティエの直営店があったことを思い出して、 寄ってみたところティールームは9時までの営業。良かった。 話して帰る。 さすがに正月三日の夜に客は少なく、Sの気にいったようだった。 ここ一週間ぐらいの間に三回も会っていることに気がついて、 私にはあるまじき頻度だなと思った。 メールが多いといったら携帯電話が静まっている。律儀である。
追記
元旦とか叔父の家からひとり先に帰宅したのは良いが鍵を忘れて、 近くのファミリーレストランで時間を潰していたりした。 元旦なのに彼らは好んでファミリーレストランに来ているのだ。 松浦絵里子の親指Pを再読した。 しかしながら着物とかコルセットとか纏足とか近代文化には女性の拘束着が多い。 男性首位の女性像というか。 3日の夜は向田邦子の恋(新潮社刊、現存の往復書簡をベースにしたもの)を観ていた。 向田邦子の恋人がつまらない男だと母と祖母が言い合っていたが、 絶対確実な場所や人や時間や愛情が、 ひとよりも過酷で忙しい仕事を持つ彼女にとっては必要だったのだろうと思われる。 彼それ自身よりも彼と逢ったり手紙をやりとりしたりする行為そのものが大事だったのではないか。 自らまわりを固めなければ崩れてしまうとわかっていたに違いない。
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